新しい造血幹細胞移植技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200832044A
報告書区分
総括
研究課題名
新しい造血幹細胞移植技術の開発に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
池原 進(関西医科大学 病理学第一講座)
研究分担者(所属機関)
  • 小島 勢二(名古屋大学大学院医学系研究科 小児科学)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学分野)
  • 赤塚 美樹(愛知県がんセンター研究所 腫瘍免疫学部)
  • 品川 克至(岡山大学医学部・歯学部附属病院 血液・腫瘍内科)
  • 一戸 辰夫(京都大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 同種骨髄移植(BMT)では移植片対宿主病や生着不全が大きな問題である。新しいBMTの技術(灌流法+骨髄内骨髄移植法)では、これらの問題が解決されるだけでなく、ドナーや患者さんの負担が軽減される。さらに、BMTの適用疾患が拡大されるため、難病で苦しんでおられる患者さんにとっては福音となる。
 本研究は、いかなる難病がこの新技術によって治療可能かをモデル動物で解析し、サルを用いて安全性を確認し、ヒトへ応用する。

研究方法
I.小動物を用いた基礎的研究
 1)難病モデルマウスを用いて、骨髄内骨髄移植(IBM-BMT)の有効性を比較する。
 2)IBM-BMTの改良法を開発する。
 3)臓器移植の併用におけるIBM-BMTの効果を比較する。
 4)胸腺移植併用の有用性とその機序を解析する。
II.トランスレーショナル・リサーチ
 サルを用いて、灌流法とIBM-BMTの安全性と有効性を確認する。
III.ヒトへの応用
 ヒトで、"灌流法+IBM-BMT"のPhase I/II研究を実施するための臨床プロトコールを作成中であ 
 る。
結果と考察
1.コラーゲン・ゲルにsuspendした骨髄細胞を骨髄内に注入することによって、ドナーの細胞が骨髄内に、効率よくtrapされ、造血回復能が促進される(Stem Cells 26:2211,2008)。
2.骨髄内へ末梢T細胞を注入するとtoleranceが誘導されて、移植片対宿主病(GvHD)が発症しない。
3.RAのモデルマウス(SKG)を用いて、IBM-BMTによってRAの発症が予防できる。
4.アロの心臓移植の系に、IBM-BMTを併用することによって、心を生着させることに成功した。
5.IBM-BMTに成体胸腺移植を併用することによって、GvHDは抑制するが、強力な抗腫瘍効果を引き出すことができる。

結論
 動物実験の結果からも、新しい造血幹細胞移植技術("灌流法+IBM-BMT")の安全性と有効性が実証された。造血幹細胞並びに正常の間葉系幹細胞を正常のものと置換することがこの方法で可能になる。
 加齢に伴って発症する難病(糖尿病、骨粗鬆症、肺気腫、肺せんい症等)は、間葉系幹細胞異常症である可能性があり、この研究を通して、新しい"幹細胞異常症"の重要性がclose upしてくるものと考える。
 

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-11
更新日
-