歯科衛生士の業務内容の見直しに向けた研究

文献情報

文献番号
202106031A
報告書区分
総括
研究課題名
歯科衛生士の業務内容の見直しに向けた研究
課題番号
21CA2031
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
品田 佳世子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 口腔疾患予防学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 荒川 真一(東京医科歯科大学大学院  生涯口腔保健衛生学分野)
  • 沼部 幸博(日本歯科大学 生命歯学部 )
  • 吉田 直美(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科口腔健康教育学分野)
  • 樺沢 勇司(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 合場 千佳子(宮内 千佳子)(日本歯科大学東京短期大学 歯科衛生学科)
  • 犬飼 順子(愛知学院大学短期大学部 歯科衛生学科)
  • 松本 厚枝(広島大学大学院 医系科学研究科口腔保健管理学研究室)
  • 西村 瑠美(広島大学大学院 医系科学研究科口腔保健疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
1,982,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
歯科衛生士の業務の一つに歯科診療の補助行為があり、歯科衛生士は歯科医師の指示の下で歯科診療の補助を行うことができる。本研究では、歯科診療を実施している歯科医師および歯科衛生士に歯科衛生士の診療補助等の現状を知るための質問紙調査ならびに歯科衛生士養成機関へは教育内容についての質問紙調査と実情について教員にヒアリングを行い、これらの結果から歯科衛生士の業務およびその教育内容に関する検討を行うことで、法令改正等のための議論の基礎資料を得ることを目的とする。
研究方法
現在歯科衛生士が行っている歯科診療の補助行為および今後歯科衛生士に求められる歯科診療の補助行為について、現状を把握するため、歯科衛生士は、日本歯科衛生士会の全会員16,000名を調査対象にweb調査を実施した。歯科医師は、日本歯科医師会の会員の中から無作為に抽出した2,050名を調査対象として、質問紙調査を行い、Web回答も可とした。調査項目は、歯科衛生士への質問票、歯科医師への質問票および歯科衛生士の業務内容に関する質問票は共通とした。
分析方法は、分担研究報告書を参照されたい。
2.歯科衛生士養成機関の教育内容の実態調査と、歯科衛生士業務の見直しに伴い必要とされる教育内容に関する意見聴取のため、質問紙調査は、日本全国の歯科衛生士養成機関179校(全校)を調査対象とした。回答内容からヒアリング対象校を抽出し、教育内容に関して具体的聴取を行った。
質問内容は、教育内容に関する記名式質問票(教育内容検討WGの分担報告書 資料1参照)を用いる往復郵送調査法とした。
質問紙調査の分析は、「1. 歯科衛生士養成校教育の現状分析」、「2. 歯科衛生士教育における実体験レベル」解析、「3. ヒアリング調査」インタビュー記録を解析した。
なお、東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会申請(D2021-070)後、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の範囲外であるため審査結果は非該当となった。質問票に、研究への同意確認欄を設け、同意を得た対象者の結果のみ使用した。
結果と考察
歯科衛生士(551名から回答)および歯科医師(664名から回答)へ質問票調査を実施した。
歯科衛生士、歯科医師ともに今回の調査項目すべてについて実施率に差はあるが行っているとの回答が得られた。実施率が高かった業務は、歯石除去など卒前教育において十分教育されていると考えられる項目であった。在宅や周術期の口腔健康管理、摂食機能療法などは4割程度が実施していた。歯科診療補助業務に必要な熟練度は、「歯科医師が十分な経験年数と技術の熟練度に達していると認めている」「歯科医師からの必要に応じて指導を受けている」などを挙げる者が多かった。
 歯科衛生士養成機関全校を対象に、主に歯科診療補助に関する教育内容について、質問紙調査を実施し、134校から回答を得、ヒアリング校を選出し、8校についてヒアリングを実施した。
 各歯科衛生士養成機関で共通して取り組むべき教育内容と位置づけているものに、超高齢社会における社会的ニーズへの対応、さらに歯科衛生士の活動範囲の多様化に伴う、感染対策、有病者への口腔健康管理、インプラント患者の口腔衛生管理等や全身疾患に関する教育や実習の充実も必要と考えていることが示された。
ヒアリング調査で、歯科衛生士養成機関でも、専門学校ならびに学士課程の養成機関それぞれの特徴やメリットをアピールしつつ教育に取り組んでいることが明らかとなった。今後、歯科衛生士が歯科診療の補助を実施するにあたっては、歯科衛生士養成機関での基礎的な知識を十分得た上で、必要度に応じた実践的な実習などによる教育が必要であり、さらにはリカレント教育などの卒後研修や認定歯科衛生士から指導を受ける体制づくりなど、啓発が必要と考える。
結論
E.結論
歯科衛生士の業務の現状を明らかにする目的で、歯科衛生士や歯科医師に対して質問紙調査を実施した。結果、歯科診療補助業務の現状が明らかとなった。歯科衛生士の業務は多様化している。社会から求められている業務を検討し、歯科衛生士として獲得すべき教育プログラムを確立していくことが重要である。また、臨床・臨地実習施設側の理解と実践が必須と考える。侵襲性の高い歯科衛生技術の修得については、積極的に議論し、教育体制構築の検討を重ねる必要がある。
卒業後の歯科衛生士には、専門的知識を用いて判断・行動できることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2022-11-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2022-11-11
更新日
2023-06-19

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202106031C

収支報告書

文献番号
202106031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,556,000円
(2)補助金確定額
2,556,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,227,648円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 754,352円
間接経費 574,000円
合計 2,556,000円

備考

備考
理由: ①物品費:研究遂行していくうえで追加の分析が必要となり、ソフトウェアを購入したため。また、アンケート用紙の印刷の一部を行ったため。
②人件費:データ整理のためにアルバイトスタッフを雇用する予定であったが、研究班員で作業を行うことができたため。
③経費の変動はあったが、研究に支障はなく、期日までにアンケート調査の実施と回答者のデータ収集、分析を行い、研究目標を達成できた。
④実施により、歯科衛生士の診療補助業務について、歯科医師および歯科衛生士から臨床の場で実施されている内容を把握し、意見を収集することができた。また、歯科衛生士養成機関へのアンケート調査から歯科衛生士の教育内容の詳細が把握できた。以上の成果により、本研究の課題である歯科衛生士の業務内容の見直しに向けての基礎資料を得ることができた。
⑤.補充経費はなかった。
⑥.最終的に本課題の研究において支障は生じなかった。

公開日・更新日

公開日
2022-11-08
更新日
-