同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上に関する研究

文献情報

文献番号
200832041A
報告書区分
総括
研究課題名
同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-016
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 修一(国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 血液内科)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 律朗(名古屋大学 造血細胞移植情報管理・生物統計学)
  • 土田 昌宏(茨城県立こども病院)
  • 秋山 秀樹(東京都立駒込病院 内科)
  • 原 雅道(愛媛県立中央病院 がん医療センター)
  • 岡本 真一郎(慶應義塾大学 医学部)
  • 豊嶋 崇徳(九州大学病院 遺伝子・細胞療法部)
  • 浜口 功(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 中尾 眞二(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 高橋 聡(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
  • 一戸 辰夫(京都大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
同種造血幹細胞移植成績の一元化登録と国際間の共有およびドナーとレシピエントのQOLを視野に入れた成績の向上をめざす
研究方法
①本邦における造血細胞移植症例の情報を異なる団体である学会やバンクが一体となった一元化登録システムを確立し、国際間の共有を目指す。
②小児血縁ドナーの援助プログラムを作成しその評価を行う
③HLA不適合移植を母子間免疫寛容と免疫抑制強化の2点でその安全性を評価する
④GVHD、TMA、感染症について早期診断、病態把握、治療法を確立する
⑤白血病関連抗原に対するGVL効果を強化する
⑥長期生存症例のQOLを評価し、QOL向上も視野に入れた移植法を開発する
結果と考察
小児血縁ドナーの援助プログラムについて後方視的調査を開始した。異なるHLAを持つ母子間において、胎盤および母乳への暴露による免疫寛容誘導をマウスの系で証明した。TMAは日本が独自で提唱している病態概念であり、特に腸管TMAについて、病理医とともに臨床病理学的研究を開始した。移植後の感染症のモニタリングを多種類の微生物に対して少量の検体、低価格で行い、早期診断早期治療を可能とする高感度多項目迅速低価格微生物検出システムを確立し、より多くの新規微生物検出系の開発を行った。臍帯血移植後のCMV特異的な免疫回復を解析し、骨髄・末梢血幹細胞移植とほぼ同等の免疫回復が得られた。白血病関連抗原であるCDK2ペプチド特異的CTLが移植後に証明されるが、移植前に残存する白血病細胞由来樹状細胞がドナーのnaiveCD8T cellを刺激して誘導されることを明らかにした。長期生存例337例を対象にQOLを考慮した臨床的特徴を検討した。腎臓、呼吸器を始めとする臓器障害、代謝疾患、二次がんなど原病以外の疾患を併発していた。また約2割で十分な追跡調査ができていない現状も明らかとなった。慶応大学では眼慢性GVHDに関するNIH診断基準と重症度スコアのvalidationを行い、NIH診断基準に機能的診断を加える必要があることが明らかとなった。
結論
一元化登録は順調に症例登録が進み、移植前のドナーの権利保護、移植後早期の合併症や再発対策、長期性生存例のQOL調査の研究が多角的に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-