臍帯血を用いる造血幹細胞移植技術の高度化と安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200832040A
報告書区分
総括
研究課題名
臍帯血を用いる造血幹細胞移植技術の高度化と安全性確保に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-015
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 俊一(東海大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 東  英一(三重大学 医学部)
  • 足立 壮一(京都大学 医学研究科)
  • 熱田 由子(名古屋大学 医学部)
  • 安藤 潔(東海大学 医学部)
  • 磯山 恵一(昭和大学藤が丘病院)
  • 甲斐 俊朗(兵庫医科大学)
  • 加藤 剛二(名古屋第一赤十字病院)
  • 河原 和夫(東京医科歯科大学 医学部)
  • 高梨 美乃子(東京都赤十字血液センター)
  • 高橋 聡(東京大学医科学研究所)
  • 谷口 修一(虎の門病院)
  • 田野崎 隆二(国立がんセンター 中央病院)
  • 長村(井上) 登紀子(東京大学医科学研究所)
  • 正岡 直樹(東京女子医科大学)
  • 森尾 友宏(東京医科歯科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の臍帯血バンク事業における臍帯血の品質の向上と、臍帯血移植における成績の向上を目指して、臍帯血の採取から臍帯血幹細胞の分離・保存、臍帯血提供体制、臍帯血の移植と長期経過調査にいたるまでの一連のプロセスのすべてについて検証することを研究目的とした。
研究方法
1.臍帯血移植後の造血動態をクローンレベルで検討した。
2.麻疹ウイルスに対するDCワクチンを健常人にワクチンを接種して安全性と効果を検討した。
3.体外増幅臍帯血T細胞輸注療法の需要を調査するためのアンケート調査を行った。
4.安定した臍帯血採取方法が可能となるような臍帯血採取バッグの改良を行った。
5.臍帯血幹細胞の品質評価方法についてバンク間での比較と再現性試験を実施した。
6.「複数臍帯血移植」、「成人臍帯血移植の至適治療法確立」、「小児臍帯血移植におけるシクロスポリンの至適使用法」、「高齢者における臍帯血ミニ移植」などの臨床研究を推進した。
7.HLA抗体の有無と移植成績との関係について検討を行った。
8.移植データの一元化と臍帯血移植のデータベース化を推進した。
9.臨床研究の基盤整備を推進した。
結果と考察
1.臍帯血移植後のヒト造血幹細胞の動態がクローンレベルで初めて明らかにされた。
2.麻疹DCワクチンの安全性と効果について初期的な確認が行われた。
3.白血球数、生細胞率、CD34細胞数、コロニー形成などについてバンク間で標準化が行われた。
4.複数臍帯血移植の臨床研究が順調に進み、累計で55例の登録と47例の移植が行われた。
5.GVHD予防としてMMFとタクロリムスの組み合わせが有望であることが示された。
6.移植時に患者血清中に臍帯血と反応する特異的HLA抗体が存在すると生着不全の頻度が高くなることが示された。
7.新規解析法を用いて細胞系列毎の精緻なキメリズムの解析が可能であることが示された。
8.移植データの一元化が完成し、臍帯血移植のデータベースの構築に着手することができた。
9.臨床研究の進捗管理体制が確立し、臨床試験が順調に進捗した。
結論
 移植される臍帯血の品質と安全性向上、臍帯血移植の成績向上を目的として、後方視的ならびに前方視的研究を実施し、臍帯血採取法の改良、品質評価法の標準化、移植方法の改良などについての提案を行うと同時に、研究成果を学会や論文として報告して医療現場と社会に還元することができたと考えている。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-