文献情報
文献番号
202106025A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床研究法が医療機器開発研究に与えた影響の実態把握に向けた調査研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21CA2025
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
黒田 知宏(国立大学法人 京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 杉町 勝(国立循環器病センター 循環動態機能部)
- 木村 裕一(近畿大学 生物理工学部 システム生命科学科)
- 大城 理(大阪大学 大学院基礎工学研究科)
- 村垣 善浩(東京女子医科大学 先端生命医科学研究所)
- 佐久間 一郎(東京大学大学院工学系研究科)
- 鈴木 孝司(公益財団法人医療機器センター 認証事業部)
- 鎮西 清行(独立行政法人産業技術総合研究所 ヒューマンライフテクノロジー研究部門)
- 吉元 俊輔(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)
- 櫻井 理紗(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 情報統括部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,167,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成30年4月に施行された臨床研究法においては、「臨床研究」を「医薬品等を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究」と定義し、医薬品及び医療機器を同等に取り扱うこととしているが、臨床研究法は医薬品を用いた臨床研究を主眼に定められており、医薬品と異なる特性を備える医療機器を用いた研究には必ずしも適用しやすいものとはなっていないため、医工学研究者自身が法への該当性を判断することは容易ではない。実際、アカデミアの研究者では判断がつかず、研究の実施を諦めてしまった事例もある。また、ARO(Academic Research Organization)や認定臨床研究審査委員会においても、必ずしも医療機器の分野に精通しているわけではないことから、該当性の判断が過大になされ、本来不要なものまで法の適用となっている可能性がある。このような状態が持続すると、医療機器に関する研究全体が萎縮し、開発が緩慢になることが懸念されるため、第22回厚生科学審議会臨床研究部会(令和3年5月27日開催)以降、その他の課題を含めて見直し、省令改正や通知等の発出を行う方針が示されている。そこで、本研究においては、医療機器開発研究の実態を勘案した早急な運用改善を図るべく、アカデミアや医療機器メーカーを対象として、医工学研究者が自ら実施しようとした研究の臨床研究法への該当性判断に悩んだ具体的な事例を調査・集積し、実態把握を行うとともに、研究者等の判断の指標となるような事例集を作成する。
研究方法
本研究では、アンケート調査とインタビュー調査を実施した。
まず、アンケート調査においては、2021年11月の1ヶ月に渡って、まず、アンケート調査においては、オンラインサーベイによる調査を行った。調査項目は、当該研究で開発・評価しようとした医療機器に関する情報、研究内容や性質(卒業研究に当たるかなど)、自ら下した臨床研究法の該当性、それに対する倫理委員会等からの指摘内容と指摘元、および、当該研究の最終判断(研究を中止したなど)など、16項目のアンケートをオンラインサーベイ形式で行った。
次に、アンケートで報告された事例の中から、学術研究者からの報告一件と、機器開発事業者からの報告一件について、オンラインインタビューを実施した。インタビューでは、当該研究に影響が出た経緯等やその影響等について詳細に聴き取りを行うとともに、報告事例以外の事例についても、聴き取らせて頂いた。
まず、アンケート調査においては、2021年11月の1ヶ月に渡って、まず、アンケート調査においては、オンラインサーベイによる調査を行った。調査項目は、当該研究で開発・評価しようとした医療機器に関する情報、研究内容や性質(卒業研究に当たるかなど)、自ら下した臨床研究法の該当性、それに対する倫理委員会等からの指摘内容と指摘元、および、当該研究の最終判断(研究を中止したなど)など、16項目のアンケートをオンラインサーベイ形式で行った。
次に、アンケートで報告された事例の中から、学術研究者からの報告一件と、機器開発事業者からの報告一件について、オンラインインタビューを実施した。インタビューでは、当該研究に影響が出た経緯等やその影響等について詳細に聴き取りを行うとともに、報告事例以外の事例についても、聴き取らせて頂いた。
結果と考察
オンラインサーベイによる調査の結果、46の回答が寄せられた。臨床研究法該当性を自ら、或いは、外部から指摘を受けて検討した結果、変更・遅延・中止等の、研究遂行に直接影響を受けた事例は、回答の35%に上った。
これらの結果を詳細に検討した結果、変更・中止を余儀なくされた35%の研究の殆どは「臨床研究」に該当せず、計画変更等が不必要な研究であったにも関わらず、所属機関、評価を依頼した医療機関の担当者、あるいは、倫理委員会が「該当する」と判断した事によるものであった。
インタビュー調査においては、臨床研究法に該当しない研究を共同研究先医療機関の倫理委員会から特定臨床研究に該当するとされ、他機関に文書を発行して貰うことで1年以上かけて指摘を覆して研究を漸く実施した例や、承認済み機器の使い勝手評価について医療機関から特定臨床研究に当たるので協力できないとされた例などが報告された。
なお、アンケート調査の結果の一部は、令和4年3月29日に実施された第29回厚生労働審議会臨床研究部会で報告された。
これらの結果を詳細に検討した結果、変更・中止を余儀なくされた35%の研究の殆どは「臨床研究」に該当せず、計画変更等が不必要な研究であったにも関わらず、所属機関、評価を依頼した医療機関の担当者、あるいは、倫理委員会が「該当する」と判断した事によるものであった。
インタビュー調査においては、臨床研究法に該当しない研究を共同研究先医療機関の倫理委員会から特定臨床研究に該当するとされ、他機関に文書を発行して貰うことで1年以上かけて指摘を覆して研究を漸く実施した例や、承認済み機器の使い勝手評価について医療機関から特定臨床研究に当たるので協力できないとされた例などが報告された。
なお、アンケート調査の結果の一部は、令和4年3月29日に実施された第29回厚生労働審議会臨床研究部会で報告された。
結論
臨床研究法の施行が医療機器開発研究に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった。研究者と審査関係者の医療機器開発研究と臨床研究法の関係に対する理解の促進のためには、「臨床研究法に該当しない生体医工学研究事例集」の作成が必要であると考えられた。本研究で策定した事例集が、本邦の医療機器開発研究の促進の一助になることを期待する。
公開日・更新日
公開日
2022-06-10
更新日
2024-05-31