国際整合性を踏まえたプログラムの医療機器該当性に係る論点抽出のための研究

文献情報

文献番号
202106022A
報告書区分
総括
研究課題名
国際整合性を踏まえたプログラムの医療機器該当性に係る論点抽出のための研究
課題番号
21CA2022
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 孝司(公益財団法人医療機器センター 認証事業部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
2,199,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
プログラムが医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号)」に定める医療機器(法第2条第4項)に該当するか否かは、薬食監麻発1114第5号通知「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」(平成26年11月14日)において基本的な判断の考え方が示された後、様々な製品の研究開発の進展や令和2年度規制改革推進会議での議論を経て、薬生機審発0331第1号薬生監麻発0331第15号通知「プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン」(令和3年3月31日、以下「ガイドライン」)が策定され、さらなる明確化が行われた。ただし、ガイドライン策定時のパブリックコメント募集の結果、多種多様なプログラムを想定した意見が寄せられ、その一部については、より適切な規制のあり方を模索すべく、継続検討となっている。そこで本研究では、プログラムの医療機器該当性判断基準となっているGHTFルールやIMDRFにおけるSaMD分類ルールに立ち返り、プログラム医療機器の該当性に関する考え方の整理を行う。また国外の規制及び国内外の開発・実用化の状況を加味し、今後のガイドライン改定を想定し、あらかじめ論点抽出をすることを目的とした。
研究方法
個々のプログラムの科学技術的な特性のみならず、医療現場やユーザーの受容性や提供する企業のビジネス等、様々な社会的な側面も含めた議論が必要と考え、研究班を組成し、以下の4点について実施した。
(1)IMDRF及び欧米を中心とした海外におけるプログラムの該当性に関する調査
(2)国内外のプログラムの事例収集(医療機器該当/非該当)
(3)ガイドライン案意見募集で継続検討となった点に関する考え方の整理
(4)素案の修正とガイドライン改定に向けた論点抽出
結果と考察
(1)の結果としては、各国のプログラムの規制体系はIMDRFのSaMDカテゴリ分類をベースに形作られている点で大まかに一致していた。そこでIMDRFのSaMD分類をベースにプログラムの医療機器該当性の整理を試みることとした。
(2)では各国のガイドライン等における該当性判断のモデル事例や厚生労働省の事例データベースを確認し、IMDRFのSaMD分類に基づいた整理を行った。その結果、低カテゴリのプログラムにおいて分類の境界線が不明瞭であり、わかりやすい整理を行うのは難しいと考えられた。
一方で(3)では継続検討となっていた「受診勧奨」「疾病候補の表示」「疾病リスクの表示」の3点について、明確な整理が困難であった理由を検討すべく、論点の整理を試みた。その結果、該当性の判断が困難なプログラムは、そのリスクレベルの判断が困難なのではなく、想定されるプログラムの用途が非常に多岐に渡っており、その位置付けが明確に整理できていないことが原因なのではないかと考えた。そこで米国FDAのCDS(Clinical Decision Support)ソフトウェアガイダンスを参考に使用者、入力情報、アルゴリズムによる整理を行ったところ、一定の整理ができた。
(4)では(3)で得られた整理結果の詳細について検討し、疾病リスク・重症度判定を行うプログラムの該当性判断フローチャート案を作成した。
当初計画した研究内容は概ね達成されたが、本研究班内で議論の結果として、より詳細なレベルでの問題も見えてきた。つまり、アルゴリズムの内容(「医学薬学上公知」な情報の具体的事例、公知情報を多段階に組み合わせた情報の信頼性、等)、提示する情報の時間軸(どこまでが現時点での疾病の診療に関する情報か、どこからが将来的に予測される疾病名・疾病リスクか)、臨床的意義が未確立な指標を示すプログラムの承認のあり方、一般ユーザー向け製品の広告表示のあり方、医師法やその他の法令等との兼ね合い、である。
結論
本研究班では海外状況の調査に基づき、IMDRFによるプログラムの特性を踏まえたSaMDカテゴリ分類に基づいた整理を試みたが、リスクベースアプローチでは曖昧さの解消が困難な点があることがわかった。一方で、FDAのCDSソフトウェアガイダンスを参考に、使用者、入力情報、アルゴリズムの種類でプログラムの位置付けの整理を行うことで、「受診勧奨」「疾病候補の表示」「疾病リスクの表示」を目的としたプログラムについて、一定の考え方は示された。また疾病リスク・重症度判定を行うプログラムについてはフローチャートの作り込みを行った。
今後の展望として、該当性判断の考え方のわかりやすい提示が、事業の予見可能性向上、医療機器産業への参入者の増加に資するものであり、患者の保護や医療従事者の働き方改革、ひいては国民の享受する医療の質の向上につながることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2022-09-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-09-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202106022C

収支報告書

文献番号
202106022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,858,000円
(2)補助金確定額
2,858,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 451,000円
人件費・謝金 306,900円
旅費 0円
その他 1,441,109円
間接経費 659,000円
合計 2,858,009円

備考

備考
収入の「(2)補助金確定額」と支出の「合計」の差の9円は受取利息によるもの。

公開日・更新日

公開日
2024-05-22
更新日
-