免疫アレルギー疾患の予防・治療法の開発及び確立に関する臨床研究:関節リウマチ患者の生命予後からみた至適医療の確立に関する臨床研究

文献情報

文献番号
200832036A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫アレルギー疾患の予防・治療法の開発及び確立に関する臨床研究:関節リウマチ患者の生命予後からみた至適医療の確立に関する臨床研究
課題番号
H20-免疫・一般-011
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山中 寿(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センター)
  • 田中 良哉(産業医科大学 医学部 第一内科学)
  • 石黒 直樹(名古屋大学大学院 医学系研究科 整形外科学)
  • 簑田 清次(自治医科大学 アレルギー膠原病内科)
  • 福田 亙(京都第一赤十字病院 糖尿病・内分泌・リウマチ科)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院 薬学系研究科 医薬政策学)
  • 桃原 茂樹(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 中島 亜矢子(東京女子医科大学 附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 竹内 正弘(北里大学薬学部臨床医学 臨床統計部門・医薬開発学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性疾患である関節リウマチ(RA)は生命予後も悪い疾患である。生物学的製剤は疾患活動性を抑制し、関節破壊の進行を抑制するうえに、生命予後を改善させる可能性が指摘されている。しかし、日本人の死因は欧米人とは異なり、特にわが国では間質性肺炎やニューモシスティス肺炎などが多く、生物学的製剤が与える影響はいまだ明らかではない。
本研究では、多施設共同研究により生物学的製剤を投与された患者の追跡調査を行い、対照群である東京女子医大IORRAの研究成果と比較することにより、生物学的製剤の導入が最終アウトカムである日本人RAの生命予後に与える影響を検討し、RAにおける至適医療を提言する。
研究方法
本研究参加施設にて生物学的製剤を開始したRA患者全例を対象とし、生命予後を検討する。対象患者にはあらかじめ当該施設に通院しなくなった場合に郵送調査をおこなう同意を取り、6か月以上通院のない場合は郵送調査をおこなう。
通院中の患者も含めて生物学的製剤使用RA患者の標準化死亡比SMR を算出、死因の検討、死亡に関する危険因子を解析し、一般日本人や東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センターのRA患者コホート IORRAと比較する。

(倫理面への配慮)
 本研究の実施は各医療機関の倫理審査委員会の承認を得たうえで行う。ただし本研究は観察研究で、日常診療の範囲内で実施するため、患者に診療上の不利益はない。また、匿名化により個人が特定されることはない。
結果と考察
本年度は、生物学的製剤投与例を多施設共同研究において追跡調査をおこなうシステムを構築した。対照のIORRAコホートでは非通院例に郵送で生存確認作業を実施し、平均返信率は63.7%であった。
日本では、様々な制約により死亡の完全な追跡調査は不可能であるが、本研究では予後追跡調査への同意を得ているため、より確実なRA患者の生命予後が把握できる。
 本研究では、約3,000名の登録と、5,000人年の観察を期待している。対照群であるIORRAコホートでは同期間に約10,000人年の成績が予想され、標準化死亡比の算出や主要な死因の比較も可能であろう。次年度、次々年度の研究成果で上記を明らかにしたい。
結論
生物学生成剤投与例の生命予後を検討する追跡調査のシステムを構築した。今後、死亡率という最も重要なアウトカム指標からみた日本人RA患者における至適医療について提言したい。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-