線維筋痛症の発症要因の解明及び治療システムの確立と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200832034A
報告書区分
総括
研究課題名
線維筋痛症の発症要因の解明及び治療システムの確立と評価に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 久寿樹(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 植田 弘師(長崎大学 医学部)
  • 浦野 房三(長野県厚生連篠ノ井総合病院 リウマチ膠原病センター)
  • 武田 雅俊(大阪大学 医学系研究科)
  • 松本 美富士(藤田保健衛生大学 七栗サナトリウム)
  • 宮岡 等(北里大学 医学部)
  • 行岡 正雄(行岡病院)
  • 横田 俊平(横浜市立大学 医学部)
  • 岡 寛(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
  • 長田 賢一(聖マリアンナ医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1) 線維筋痛症(FM)の正しい医療・看護体制やカウンセリウング等を整えたケアーシステムの基本設計の構築と確立。
2) 患者データベースをもとに病態及び病因解明を進めるとともに、治療薬の開発とその臨床研究を発展させ、種々の神経因性慢性疼痛の分子機構を中心に病因の解析。
以上を基本的目標として疫学調査をもとに、診断基準、病態把握を通して診断のガイドラインを作成。
研究方法
1) 病因・病態解明の基盤的研究とケアー及び薬効の臨床評価を行う臨床研究に大別した。
2) FMの発症メカニズム解明では①薬剤標的分子の探索(神経組織)、②筋肥大の解析(筋組織)、③疼痛特異的分子の探索(モデル動物)の3つの方向性から研究班を立ち上げ、その結果、ガバペンチンの作用メカニズム、特に、脳内移行と疼痛抑制の関係が示唆された。
3) 患者ケアーネットワーク確立のため、臨床研究フィールドを中心に独自のプラットフォームの基本的構築を行うと共に全国レベルの医師・看護師対象のケアー研修会を開催した。
結果と考察
1)発症の影響因子について、基本的生活習慣におけるCase Control Studyでは、FM発症時の出現頻度が明らかになった。頻度の高い項目は既往歴では整形外科系疾患、風邪を引きやすい、自律神経失調、湿疹、うつ病、手術、過敏性腸症候群などの頻度が高く、嗜好品では飲酒・喫煙習慣の頻度が高かった。
2)主として臨床的研究から腱附着部炎型、筋肥大型、メンタル障害型及びその混合型の4つのタイプがあることが判明し、それに対応した治療プログラムを開発中である。
3)FMの疼痛と睡眠障害の相関を明らかにし、疼痛改善と睡眠障害の改善が治療に関連していることを証明した。さらに睡眠障害を改善させる治療薬選択の重要性を示唆した。
4)抗てんかん薬のガバペンチンは、日本人の疼痛、全身倦怠感、睡眠障害において多症例で有害事象も少なく安全で有効な治療法であることが証明された。
5)寒冷ストレスモデルが臨床におけるFMと類似の症状を示す事が明らかになった。分子生物学的療法(プロテオミクス)により、薬剤標的分子及びそのリガンドの解析が進展した。
6)ケアー研修会を通して、本症に対する医師、看護師教育の第一歩を築くことができた。
結論
臨床病態の解析、治療方法の確立に主眼をおき行った結果、治療薬の検討、諸病態に基づく疾患増悪因子の解明など多くの点が明らかにされ、既存の治療薬をそれぞれの診療に対応して用いる方向性が明確に示唆された。

公開日・更新日

公開日
2009-03-30
更新日
-