文献情報
文献番号
202106014A
報告書区分
総括
研究課題名
飲酒ガイドラインの策定に向けたエビデンスの現状分析研究
課題番号
21CA2014
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
池原 賢代(国立大学法人 大阪大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 磯 博康(国立大学法人大阪大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国のコホート研究を中心に、年齢、性別などを考慮し、飲酒状況とがん、循環器疾患などの各種生活習慣病の発症・死亡リスク、妊婦を対象とした飲酒量と妊娠・出産に関わるアウトカムとの関連について検討した研究論文のレビューを行う。また、各国の飲酒ガイドラインについてもレビューを行い、一般向けのガイドラインに必要な項目やメッセージの内容について整理を行う。
研究方法
本研究は、まず、健康日本21(第二次)の策定時の生活習慣病リスクに影響する飲酒習慣や飲酒量のエビデンスの更新を目的としてわが国の2000年代の研究を中心に検索式を用いてシステマティックレビューを行い、前向きコホート研究を抽出した。検索にはPubMedを使用した。また、若い成人を対象としたコホート研究におけるアルコール摂取量と高血圧及び糖尿病との関連についてレビューした。
次に、各国の飲酒に関するガイドラインをレビューし、わが国のガイドラインの作成において組み込める内容について検討した。
次に、各国の飲酒に関するガイドラインをレビューし、わが国のガイドラインの作成において組み込める内容について検討した。
結果と考察
「Never」、「Non」あるいは「Occasional」と比べて、総死亡及び脳卒中では「Light」(エタノール1-149 g/週)でリスク低下、「Heavy」(300-449 g/週)から発症リスクの増加が見られた。がんについては、部位別に検討した結果、男性で「Light」(1-149 g/週)から胃がん、「Moderate」(150-299 g/週)から大腸がん、前立腺がん(進行がん)、「Heavy」(300-449 g/週)から肺がん(喫煙者)、「Very heavy」(≥450 g/週)から肝がんの発症リスクが、「Heavy」から食道がんの死亡リスクが高くなった。女性では、「Light」(1-149 g/週)から乳がんの発症・死亡リスク、「Moderate」(150-299 g/週)から肝がんの発症リスクが高くなった。また、若い成人コホートにおける検討では、男性の36歳以上では「Light」(12-22 g/日)から、23-35歳では「Moderate」(≥23-45 g/日)から高血圧の発症リスクが高くなった。また、各国の飲酒ガイドラインについてもレビューを行い、一般向けのガイドラインに必要な項目やメッセージの内容について整理した。これらの結果を総括すると、1日あたりの飲酒量(純アルコール量)は、①男性で1日20g程度、②女性ではその半分に抑える、③大量飲酒(Binge drinking)を避ける、④休肝日を設けることが推奨される。
妊娠・出産に関わる検討では、エコチル調査から、妊娠中後期の飲酒量が「Moderate」(≥150 g/週)で妊娠高血圧症候群、「Heavy」(≥300 g/週)で早産のリスク増加との関連が報告されているが、わが国における研究は少なく、今後エビデンスの蓄積が求められる。
妊娠・出産に関わる検討では、エコチル調査から、妊娠中後期の飲酒量が「Moderate」(≥150 g/週)で妊娠高血圧症候群、「Heavy」(≥300 g/週)で早産のリスク増加との関連が報告されているが、わが国における研究は少なく、今後エビデンスの蓄積が求められる。
結論
1日あたりの飲酒量(純アルコール量)は、男性で1日20g程度、女性ではその半分に抑えること、大量飲酒(Binge drinking)を避けること、休肝日を設けることが推奨される。
公開日・更新日
公開日
2022-11-16
更新日
-