関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究

文献情報

文献番号
200832032A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチ患者の現状と問題点を解析するための多施設共同疫学研究
課題番号
H20-免疫・一般-007
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
當間 重人(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 衛藤 義人(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 末永 康夫(独立行政法人国立病院機構別府医療センター)
  • 千葉 実行(独立行政法人国立病院機構盛岡病院)
  • 松井 利浩(独立行政法人国立病院機構相模原病院 )
  • 金子 敦史(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 佐伯 行彦(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 税所 幸一郎(独立行政法人国立病院機構都城病院)
  • 吉永 泰彦(財団法人倉敷成人病センター)
  • 森 俊仁(独立行政法人国立病院機構相模原病院 )
  • 杉井 章二(東京都立府中病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
32,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本邦における関節リウマチ(RA)患者に関する種々の情報を多施設共同で収集解析し、その現状や問題点を明らかにする。
研究方法
毎年度1回患者情報を収集、データの収集管理は独立行政法人国立病院機構相模原病院に設置されている統合サーバーを用いている。参加施設は2009年3月現在29施設である。
結果と考察
1.毎年5000人程度のデータベースが追加蓄積。
2.RA患者の疾患活動性を経年的横断的に観測した結果、CRP・DAS28医師VAS・mHAQの改善が確認。
3.4年間連続収集データの1599人のRA患者には、各種疾患活動性指標の改善が確認されるも、身体機能評価指標は徐々に悪化。罹患年数が3年以下では全ての指標が改善、早期の適切な治療介入の重要性を示している。
4.抗リウマチ薬使用比率は毎年増加、生物学的製剤の使用頻度も徐々に増加(9.9%)。
5.2003年度から2007年度へと経年的に手術総数の頻度は減少。
6.RA患者における結核のSIR(標準化罹病率)は、4.19、2003-2004年度のNinJa登録生物学的製剤非投与RA患者の結核SIR 3.98に比べ有意な増加ではなかった。
7.肺合併症について①肺結核のSIRは4.19と高いが予後は良好。②肺癌の発生率(SIR:1.22)は高くない。③間質性肺炎(PCP含む)発生率は0.41%、内死亡率は16.4%。④その他の肺炎発生率は0.41%、内死亡率は3.50%。
8.RAにおける悪性腫瘍全般のSIRはほぼ1.0、悪性リンパ腫の発生率は高く、消化器系癌が少ないことを再確認。
9.2007年度国立病院機構12施設の手術症例738例中、創遷延治癒例は20例(2.7%)、感染例8例(1.1%)。生物学的製剤の投与例48例(インフリキシマブ24例、エタネルセプト24例)中、創遷延治癒例は1例(2.1%)、感染例はなし。生物学的製剤使用例と非使用例に差異なし。
10.2007度も過去同様、平均死亡時年齢は高くなっており、RA患者の生命予後は改善していることが示唆された。死因は前回の報告では悪性腫瘍が第1位であったが、2007年度は再び感染症が第1位となった。
結論
新規治療法が続々と導入される現在、本データベースは継続的に蓄積されていくべきものであり、本邦におけるRA実状の把握、治療法検証、及び有害事象の測定に極めて有用性の高いデータベースである。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-