免疫疾患の病因・病態解析とその制御戦略へのアプローチ

文献情報

文献番号
200832031A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患の病因・病態解析とその制御戦略へのアプローチ
課題番号
H20-免疫・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
住田 孝之(筑波大学 大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻臨床免疫学)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座・第二内科)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
  • 小安 重夫(慶応義塾大学医学部免疫学)
  • 高橋 智(筑波大学大学院人間総合科学研究科生命システム医学専攻分子発生生物学)
  • 石川 昌(東京大学大学院医学系研究科分子予防医学)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院膠原病・リウマチ内科学)
  • 松本 功(筑波大学大学院人間総合科学研究科疾患制御医学専攻臨床免疫学)
  • 藤尾 圭志(東京大学医学部アレルギー・リウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
自己免疫疾患において、発症に関わる免疫担当細胞、免疫分子を明らかにし、それらを標的とした疾患特異的な治療法、予防法を開発することを目的とした。
研究方法
1.シェーグレン症候群(SS)や関節リウマチ(RA)を対象として、自己反応性T細胞エピトープ(M3R、CII、GPI)を明らかにし、アナログペプチドを選択した。CII免疫関節炎マウス、GPI免疫関節炎マウス、M3R誘導唾液腺炎において、選定したアナログペプチドによる抗原特異的治療効果を検討した。
2. 免疫抑制分子「E3ユビキチンリガーゼc-MIR」に注目し、アデノウイルスを用いた系でCIAの関節炎抑制効果およびその機序について検討した。
3. T-bet(TH1優位)、GATA-3(TH2優位)、RORγT(TH17優位)を過剰発現する3系統のトランスジェニックマウスを樹立し、接触性皮膚炎、自己免疫性腎炎に対する効果を検討した。
4.IL-10を産生する新規Treg細胞に注目し、その特徴、機能、誘導に関連する転写因子について検討した。
5.抗生物質投与がEAEを抑制する事実から、その抑制機序についてNKT細胞を中心に解析した。
結果と考察
1.SSおよびRAにおいて、M3RおよびCII、GPIのT細胞エピトープ、アナログペプチドを選定した。CIIおよびGPI免疫関節炎マウスにおいて、特定のアナログペプチドが関節炎を抑制、予防した。
2.c-MIR遺伝子導入により関節炎が抑制された。c-MIR遺伝子発現によるIL-6発現、産生の低下が一因であった。
3.T-betトランスジェニックマウスにおいて、接触性皮膚炎と自己免疫性腎炎の増悪が認められた。一方、GATA-3トランスジェニックマウスでは自己免疫性腎炎の改善が認められた。
4. Egr2遺伝子を高発現するIL-10産生CD4陽性CD25陰性LAG3陽性T細胞を同定した。この新規抑制性T細胞は腸炎を抑制しFoxp3陽性制御性T細胞と異なる分化を示した。
5. EAEに対する抗生物質の治療効果はTCRVa14+Ja18+iNKT細胞を介して認められた。腸管免疫におけるTh17細胞の生存、維持におけるNKT細胞の役割も証明した。
結論
自己免疫疾患におけるDC細胞、T細胞エピトープ、TH1, TH2, TH17細胞、IL-10産生Treg細胞、およびNKT細胞等が発症に係わる分子や細胞であること立証した。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
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