NSAIDs不耐症の病態解明と診断治療指針作成に関する研究

文献情報

文献番号
200832030A
報告書区分
総括
研究課題名
NSAIDs不耐症の病態解明と診断治療指針作成に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
谷口 正実(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学大学院 医学研究科・環境免疫病態皮膚科学)
  • 榊原 博樹(藤田保健衛生大学医学部 呼吸器内科・アレルギー科)
  • 長瀬 隆英(東京大学 呼吸器病学)
  • 春名 眞一(獨協医科大学 耳鼻咽喉科)
  • 藤枝 重治(福井大学医学部 感覚運動医学講座・耳鼻咽喉科頭頸部外科学)
  • 玉利 真由美(独立行政法人理化学研究所 ゲノム医科学研究センター 呼吸器疾患研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アスピリン喘息は成人喘息の約10%を占め、難治病態や喘息死に強く関与しているとされる。本研究班では、日本人での頻度、難治化への関与、鼻茸の機序病態、メディエーターの関与、遺伝子多型、試験管内の診断方法の試み、NSAIDs過敏モデルの作成、NSAIDsとアナフィラキシー増強作用など多方面から、国際的な成果を挙げることをまず目標とする。さらに未だ作成されていない診断治療指針の作成完成を目指す。
研究方法
日本人の成人喘息551例や慢性副鼻腔炎におけるAIAの頻度や臨床像を明らかにする。日本人の成人喘息2000余例における難治化やリモデリングに、AIAが関与するかを明らかにする。AIAに合併する副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術の効果を非AIAと比較する。AIAに合併しやすい好酸球性鼻茸の病態を明らかにする。さらに鼻茸がCys-LTs過剰産生とアスピリン過敏性に及ぼす影響を明らかにする。NSAIDs過敏反応にマスト細胞活性化と抗炎症性メディエーターが関与している仮説をたて、新規測定系を用いて検証するさらにNSAIDs過敏を末梢血で診断する試みやNSAIDs過敏に関連する遺伝子多型、発生工学を用いたアスピリン喘息の発症機序に関する基礎的検討、即時型食物アレルギーに対するNSAIDsの増強効果に関する研究も行う。
結果と考察
日本人成人発症喘息におけるAIAの頻度は約9%で、難治化やリモデリングに強く関与していることが初めて証明された。一方副鼻腔炎患者の中の頻度は5.8%であった。本症の鼻茸は再燃しやすいことが再確認された。鼻茸はCys-LTs過剰産生だけでなく、NSAIDs過敏性も調節する可能性が示唆された。AIAの負荷時に、新規マスト細胞活性化マーカーの著明な増加が認められた。AIAでは、Cys-LTs過剰産生と同時にLTXの産生低下が特徴的病態であることが示唆された。IL-19がNSAIDs不耐性における鼻茸治療の標的分子の可能性が見出せた。AIAにおける遺伝子多型、試験管内診断方法は今年度では結論でず、今後検討を続けたい。NSAIDsは即時型食物アレルギーを増悪させることが示唆された。
結論
以上、多角的にNSAIDs不耐症および関連病態を今年度は明らかにできた。これらには、世界的な新しい知見を多く含んでおり、非常に価値があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
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