文献情報
文献番号
202106009A
報告書区分
総括
研究課題名
認定臨床研究審査委員会の質向上と臨床研究におけるCOI管理の適切な管理対応策の検討
課題番号
21CA2009
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
吉田 雅幸(国立大学法人東京医科歯科大学 統合研究機構)
研究分担者(所属機関)
- 尾崎 雅彦(国立研究開発法人国立がん研究センター東病院 臨床研究支援部門 研究実施管理部 治験事務室)
- 井上 悠輔(東京大学 医科学研究所)
- 山口 育子(認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル))
- 山本 洋一(大阪大学医学部附属病院)
- 飯田 香緒里(東京医科歯科大学 統合イノベーション推進機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
5,920,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究は、平成30年4月に施行された臨床研究法において新たに設置された認定臨床研究審査委員会(以下、CRBという。)による審査意見業務について、その審査の質の向上に資する提案を行い、CRBの審査能力の評価手法の確立を目指すことを目的とする。
研究方法
計7回の班会議およびCRB事務局に対する2回の実態調査によって、全国のCRBが抱える問題点を共有し、論点をまとめるとともに研究班の検討によってCRBの審査能力の評価手法の確立とCOI管理手法の見直しの方向性について提言を行った。
結果と考察
本研究班では、厚生科学審議会臨床研究部会におけるCRBの認定更新要件、さらには臨床研究法の見直しの議論の基礎となる考え方について、下記5項目として論点整理を行った。
・論点1.CRBの審査状況に関する実態調査
2021年5月12日から27日にかけてメールによる全国CRBを対象とした実態調査を行った。97CRBに調査を依頼し、83CRBより回答を得た。各CRBにおける新規審査件数は、ばらつきは大きいが概ね年間3,4件程度であった。また、CRB設置機関の自機関からの申請が7割を占めており、外部CRBへの審査委託はあまり進んでいなかった。
・論点2 CRBの更新要件について
本研究班では平成26年度医療技術実用化総合研究事業「倫理審査委員会の認定制度と要件に関する検討」楠岡班で提案された倫理審査委員会の認定要件を参考として定量的なチェックリストを作成することに着手した。
・論点3 CRBの審査の質担保について
CRBにおける審査意見業務の質の担保については、2021年度厚労省特別研究堀田班の報告のなかで、専門委員会による調査や模擬審査、ピアレビューといった仕組みが提案された。前述した平成26年楠岡班において提案された指標などを参考として、定量化指標を織り込むなど精緻化したチェックリストを作成し、模擬審査事業において試験的に利用した。
・論点4 COI管理手法の見直しについて
臨床研究法におけるCOI管理の実態を把握するため、研究責任医師とその所属機関に対して調査を実施した。集計結果から、研究者が容易に回答できる項目と事実確認に難渋する項目があることが判明した
・論点5 患者負担の大きい研究の取扱いについて
臨床研究法の対象から除外される観察研究の定義について、「いわゆる観察研究」(臨床研究法施行規則第二条第1項第一号)の定義が明確でないため、全国CRBおよび医学系指針対応の倫理審査委員会を対象に質問紙調査を行い、患者負担の大きい研究に関する類型化を試みた。
・論点1.CRBの審査状況に関する実態調査
2021年5月12日から27日にかけてメールによる全国CRBを対象とした実態調査を行った。97CRBに調査を依頼し、83CRBより回答を得た。各CRBにおける新規審査件数は、ばらつきは大きいが概ね年間3,4件程度であった。また、CRB設置機関の自機関からの申請が7割を占めており、外部CRBへの審査委託はあまり進んでいなかった。
・論点2 CRBの更新要件について
本研究班では平成26年度医療技術実用化総合研究事業「倫理審査委員会の認定制度と要件に関する検討」楠岡班で提案された倫理審査委員会の認定要件を参考として定量的なチェックリストを作成することに着手した。
・論点3 CRBの審査の質担保について
CRBにおける審査意見業務の質の担保については、2021年度厚労省特別研究堀田班の報告のなかで、専門委員会による調査や模擬審査、ピアレビューといった仕組みが提案された。前述した平成26年楠岡班において提案された指標などを参考として、定量化指標を織り込むなど精緻化したチェックリストを作成し、模擬審査事業において試験的に利用した。
・論点4 COI管理手法の見直しについて
臨床研究法におけるCOI管理の実態を把握するため、研究責任医師とその所属機関に対して調査を実施した。集計結果から、研究者が容易に回答できる項目と事実確認に難渋する項目があることが判明した
・論点5 患者負担の大きい研究の取扱いについて
臨床研究法の対象から除外される観察研究の定義について、「いわゆる観察研究」(臨床研究法施行規則第二条第1項第一号)の定義が明確でないため、全国CRBおよび医学系指針対応の倫理審査委員会を対象に質問紙調査を行い、患者負担の大きい研究に関する類型化を試みた。
結論
本研究班では、厚生科学審議会臨床研究部会におけるCRB認定更新要件の見直しの議論の基礎となる実態調査や、今後のCRBの質の担保のためのピアレビューを試行し、実施の意義や検討課題を確認した。今後、CRBの認定更新要件の見直しや質の向上に資する取り組みが継続的に行われることが、日本の臨床研究の質の担保に資すと考えられる。
公開日・更新日
公開日
2022-06-10
更新日
-