関節リウマチの関節破壊ゼロを目指す治療指針の確立、及び根治・修復療法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200832026A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの関節破壊ゼロを目指す治療指針の確立、及び根治・修復療法の開発に関する研究
課題番号
H20-免疫・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田中 良哉(学校法人 産業医科大学 医学部 第1内科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座・第二内科)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻臨床免疫学)
  • 竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科)
  • 三森 経世(京都大学大学院医学研究科 内科学講座 臨床免疫学)
  • 宮坂 信之(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 膠原病・リウマチ内科学)
  • 山中 寿(東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学研究科 内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチ(RA)は、進行性関節破壊を必発し、機能予後、生命予後不良に伴う社会的損失や経済的問題等を生じてきた。しかし、本邦ではRA患者の50%が抗リウマチ薬で治療されているに過ぎず、治療指針の設定が最重要課題である。一方、TNF阻害薬は疾患活動性を抑制し、関節破壊を制御することが分かってきた。そこで、(1)関節破壊ゼロを目指す関節リウマチの治療指針の確立、および、(2)関節リウマチの根治療法、関節破壊修復療法の開発を主目的として研究を行った。
研究方法
関節破壊『ゼロ』を目標としたプライマリケア医から専門医まで保険診療内で実施できる治療ガイドラインを早急に作成し、これを本研究班で試用し、関節破壊を『ゼロ』にできることを検証した。また、間葉系幹細胞(MSC)等を用いた骨芽細胞分化誘導系を確立し、破壊された関節の修復・再生を目指した動物モデル研究を開始した。
結果と考察
(1)関節破壊ゼロを目指す関節リウマチの治療指針の確立
RAに対してMTXとTNF阻害薬の併用療法により、関節破壊を抑止するとの結果が得られた。また、関節破壊や身体機能障害が不可逆的になる以前の早期からの治療介入の必要性が示された。これらの結果を基に、発症早期から関節破壊『ゼロ』を目標としたプライマリケア医から専門医まで保険診療内で実施できる治療指針を作成した(UMIN登録済)。この治療指針に則れば関節破壊を『ゼロ』にできることを検証すべく、倫理委員会の承認を得た施設を中心に既に60例以上の症例登録を開始した。
(2)関節リウマチの関節破壊修復療法の開発
関節が破壊されるタイプに特異的な抗シトルリン化酵素であるPADI4ノックアウトマウスの作製、特定の遺伝子型が骨・関節破壊の進行と関連するtristetraprolineを用いたTNF転写制御、DKK1抗体を用いた骨芽細胞分化誘導系など、関節炎動物モデルを用いた研究を開始した。さらに、MSCから骨芽細胞等を誘導して、関節破壊を修復する研究を開始した。MSCは免疫抑制作用、破骨細胞制御作用を有し、関節炎症制御、破壊抑制、修復作用を併せ持ち、修復療法を目指すに適したツールと考えられた。今後、RAに伴う関節組織の再生・修復に関して更なる探究を展開していく。
結論
早期のRAに対して、関節破壊『ゼロ』を目標とした保険診療内で実施できる治療指針を作成し(UMIN登録済)、倫理委員会の承認を得た施設を中心に多数症例を登録して指針の検証を開始した。一方、破壊された関節に対しては、MSCなども活用して、関節の再生・修復を目指した研究に着手した。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-