造血幹細胞移植におけるドナーの安全性と倫理的保護を確保したコーディネートシステム構築に関する研究

文献情報

文献番号
200832025A
報告書区分
総括
研究課題名
造血幹細胞移植におけるドナーの安全性と倫理的保護を確保したコーディネートシステム構築に関する研究
課題番号
H19-免疫・若手-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
金 成元(国立がんセンター中央病院 特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 細谷 亮太(聖路加国際病院 小児科)
  • 笠井 正晴(特定医療法人北楡会 札幌北楡病院 院長)
  • 上田 恭典(財団法人倉敷中央病院 血液内科・血液治療センター)
  • 吉場 史朗(東海大学医学部 基盤診療学系 再生医療科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,305,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨髄バンク登録非血縁移植コーディネート(Co)とは異なり、コーディネーター不在で進行することが多い血縁移植Coは確立しておらず、ドナー(候補者)、レシピエントとその家族に対する倫理性が十分確保されているとは言い難い。血縁移植Coシステムを構築することを目的とする。
研究方法
平成19年度に開催した11回の検討会、2回の勉強会を基に、平成20年度は主研究「血縁者間同種造血幹細胞移植におけるドナーコーディネートの多角的検証」、分担研究「血縁者間造血幹細胞移植における小児のドナーのリクルートに関する研究(ドナー倫理性の確保)-その倫理的ならびに心理的問題-」、「血縁者間造血幹細胞移植ドナーの倫理的保護を核としたコーディネートシステムの確立」、「血縁者間造血幹細胞移植ドナーの新たなコーディネートシステムの普及・均てん化」、「血縁ドナーにおける安全な造血幹細胞採取法の確立」を実施した。
結果と考察
主研究において、Coに関わる医療者(n=16)、ドナー(候補者)(n=8)、ドナー(候補者)(n=5)の配偶者にそれぞれ面談調査を行い、現状と望まれていることを網羅した「血縁ドナーCoリスト」を作成し、医療者へのデルファイ法による質問紙調査(n=24)、ドナー経験者への質問紙調査(n=107)によって重要度を設定した。また、ドナー経験者がリストの各項目を実際に経験したかどうかの質問紙調査回答分布(n=107)とリストの各項目の重要度を基に、網羅的Coリストに沿ったCo担当者のためのCoプロセス評価ツールを作成した。さらに、上記の質問紙調査結果を用いて、コーディネーター配置施設群と未配置施設群毎に回答分布を算出した上で群間比較を行った結果、ドナーが支援を経験したと感じる割合はコーディネーター配置施設において統計学的に有意に高かった。分担研究において、血縁ドナー適格基準および術前検査項目を策定し、「造血細胞移植クリニカルコーディネート入門」を刊行した。健常小児ドナーからの造血幹細胞採取に関する倫理指針・パンフレットについても、米国の主要医療機関との議論でその有用性や問題点が再確認された。
結論
血縁移植Co担当者が活用可能な資料を科学的見地に立って作成した。コーディネーターが増え、日本全国で倫理性が十分担保された造血幹細胞移植Coが実施されることが強く望まれる。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-

文献情報

文献番号
200832025B
報告書区分
総合
研究課題名
造血幹細胞移植におけるドナーの安全性と倫理的保護を確保したコーディネートシステム構築に関する研究
課題番号
H19-免疫・若手-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
金 成元(国立がんセンター中央病院 特殊病棟部)
研究分担者(所属機関)
  • 細谷 亮太(聖路加国際病院 小児科)
  • 笠井 正晴(特定医療法人北楡会 札幌北楡病院 院長)
  • 上田 恭典(財団法人倉敷中央病院 血液内科・血液治療センター)
  • 吉場 史朗(東海大学医学部 基盤診療学系 再生医療科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨髄バンク登録非血縁移植コーディネート(Co)とは異なり、コーディネーター不在で進行することが多い血縁移植Coは確立しておらず、ドナー(候補者)、レシピエントとその家族に対する倫理性が十分確保されているとは言い難い。血縁移植Coシステムを構築することを目的とする。
研究方法
主研究「血縁者間同種造血幹細胞移植におけるドナーコーディネートの多角的検証」を多施設共同で倫理審査を経た上で実施した。分担研究「血縁者間造血幹細胞移植における小児のドナーのリクルートに関する研究(ドナー倫理性の確保)-その倫理的ならびに心理的問題-」、「血縁者間造血幹細胞移植ドナーの倫理的保護を核としたコーディネートシステムの確立」、「血縁者間造血幹細胞移植ドナーの新たなコーディネートシステムの普及・均てん化」、「血縁ドナーにおける安全な造血幹細胞採取法の確立」を実施した。
結果と考察
主研究において、Coに関わる医療者(n=16)、ドナー(候補者)(n=8)、ドナー(候補者)(n=5)の配偶者にそれぞれ面談調査を行い、現状と望まれていることを網羅した「血縁ドナーCoリスト」を作成し、医療者へのデルファイ法による質問紙調査(n=24)、ドナー経験者への質問紙調査(n=107)によって重要度を設定した。また、ドナー経験者がリストの各項目を実際に経験したかどうかの質問紙調査回答分布(n=107)とリストの各項目の重要度を基に、網羅的Coリストに沿ったCo担当者のためのCoプロセス評価ツールを作成した。さらに、上記の質問紙調査結果を用いて、コーディネーター配置施設群と未配置施設群毎に回答分布を算出した上で群間比較を行った結果、ドナーが支援を経験したと感じる割合はコーディネーター配置施設において統計学的に有意に高かった。分担研究において、血縁ドナー適格基準および術前検査項目を策定し、「造血細胞移植クリニカルコーディネート入門」を刊行した。健常小児ドナーからの造血幹細胞採取に関する倫理指針・パンフレットについても、米国の主要医療機関との議論でその有用性や問題点が再確認された。
結論
血縁移植Co担当者が活用可能な資料を科学的見地に立って作成した。コーディネーターが増え、日本全国で倫理性が十分担保された造血幹細胞移植Coが実施されることが強く望まれる。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200832025C

成果

専門的・学術的観点からの成果
多職種のメンバーによる計11回の検討会、計2回の勉強会を基に、主研究「血縁者間同種造血幹細胞移植におけるドナーコーディネートの多角的検証」、分担研究「血縁者間造血幹細胞移植における小児のドナーのリクルートに関する研究(ドナー倫理性の確保)-その倫理的ならびに心理的問題-」、「血縁者間造血幹細胞移植ドナーの倫理的保護を核としたコーディネートシステムの確立」、「血縁者間造血幹細胞移植ドナーの新たなコーディネートシステムの普及・均てん化」、「血縁ドナーにおける安全な造血幹細胞採取法の確立」を実施した。
臨床的観点からの成果
当班において検討・作成された網羅的な血縁者間造血幹細胞移植ドナーコーディネートリストおよび同コーディネートの評価ツール、「造血細胞移植クリニカルコーディネート入門」、血縁ドナー適格基準、血縁ドナー術前検査項目は、臨床の現場で直ちに活用可能である。また、米国の主要医療機関との議論でその有用性や問題点が再確認された既存の健常小児ドナーからの造血幹細胞採取に関する倫理指針・パンフレットについても、引き続き活用可能である。また、患者に対する外来診療とは別個にドナー外来を設けることの重要性も示された。
ガイドライン等の開発
主研究における理論的な検証を基に、網羅的な血縁者間造血幹細胞移植ドナーコーディネートリストおよび血縁者間造血幹細胞移植ドナーコーディネートのための評価ツールを開発した。また、分担研究において「造血細胞移植クリニカルコーディネート入門」(監修:上田恭典班員)を執筆・刊行した。
その他行政的観点からの成果
主研究の質問紙調査結果を用いて、コーディネーター配置施設群と未配置施設群毎に回答分布を算出した上で群間比較を行った結果、ドナーが支援を経験したと感じる割合はコーディネーター配置施設において統計学的に有意に高かった。この結果から、継続的支援における血縁ドナーコーディネートへのマンパワー充当、すなわち血縁者間造血幹細胞移植コーディネーターの増員・養成の重要性が示された。
その他のインパクト
前述の「造血細胞移植クリニカルコーディネート入門」を平成21年2月5日から同年2月6日の期間に札幌市で開催された第31回日本造血細胞移植学会総会(会長:笠井正晴班員)の参加者全員に無料で配布した。また、造血幹細胞移植コーディネートに関連した演題の増加を受け、同学会総会として初めてワークショップ「コーディネート」(座長:金成元班長、上田恭典班員)というセッションを設けることが出来た。

発表件数

原著論文(和文)
10件
原著論文(英文等)
24件
その他論文(和文)
1件
造血細胞移植クリニカルコーディネート入門 監修:上田恭典(先端医療研究支援機/株式会社アールイー)
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
35件
学会発表(国際学会等)
16件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-