文献情報
文献番号
202106001A
報告書区分
総括
研究課題名
循環器病対策推進基本計画に基づく、重点的に推進すべき循環器病の研究領域の同定及び研究開発戦略の策定のための研究
課題番号
21CA2001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
永井 良三(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 小川 久雄(国立研究開発法人国立循環器病研究センター)
- 小室 一成(国立大学法人 東京大学大学院 医学系研究科 循環器内科学)
- 峰松 一夫(医療法人医誠会 本部)
- 宮本 享(国立大学法人京都大学 医学研究科 脳神経外科)
- 相澤 健一(自治医科大学 附属病院臨床薬理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
我が国の循環器病(主に心臓血管病と脳卒中)の死亡数はがんをしのぎ、心不全や脳虚血、心筋虚血の有病率は高齢者において極めて高く、心臓発作や脳卒中は要介護の最大の要因となっていることから、医学および医療政策上の重要性は高い。しかし我が国の循環器病の医薬品・医療機器研究開発費は他の国や他の疾患(がん等)と比較して小さいことなどにより開発が十分に進まず、医薬品や医療機器の輸入超過が続き、経済的負担も大きい。また健康・医療戦略やバイオ戦略において循環器病研究の方向性は必ずしも明確に打ち出されていない。
本研究では、日本における第一人者を中心とした構成で、循環器病対策に関わる有識者を研究分担者として、官民における循環器病研究の実態に関する情報収集を行い、必要に応じて関係学会から意見聴取を行い、現状における循環器病研究の実態とその問題点を概観する。これにより真に国民のためとなり、かつ将来に向けて発展性のある循環器病研究を推進するために、国が支援をすべき研究について優先順位をつけて提案する。特に分子細胞レベル、組織・器官レベル、ゲノムレベル、臓器連関などのレベルの研究が、臨床的予後の改善、予防効果、生活の質改善、さらに近年求められる我が国のイノベーションにどのように貢献するかを技術的な評価ポイントとしつつ、あわせて人材育成や患者教育の方法、民間との役割分担についても検討する。これにより社会参加型で個々の市民に最適な循環器病予防と対策を可能とする研究の方向性を明らかにする。
本研究では、日本における第一人者を中心とした構成で、循環器病対策に関わる有識者を研究分担者として、官民における循環器病研究の実態に関する情報収集を行い、必要に応じて関係学会から意見聴取を行い、現状における循環器病研究の実態とその問題点を概観する。これにより真に国民のためとなり、かつ将来に向けて発展性のある循環器病研究を推進するために、国が支援をすべき研究について優先順位をつけて提案する。特に分子細胞レベル、組織・器官レベル、ゲノムレベル、臓器連関などのレベルの研究が、臨床的予後の改善、予防効果、生活の質改善、さらに近年求められる我が国のイノベーションにどのように貢献するかを技術的な評価ポイントとしつつ、あわせて人材育成や患者教育の方法、民間との役割分担についても検討する。これにより社会参加型で個々の市民に最適な循環器病予防と対策を可能とする研究の方向性を明らかにする。
研究方法
研究班は、永井を研究代表者として、循環器研究で実績を残し、かつ関連学協会の代表を務める小川、小室、峰松、宮本が研究分担者として、各種情報収集、アンケート調査等を行う。また、将来の循環器病対策を担うと考えられる相澤が、また本研究の事務局、まとめ役として、人材育成も兼ね、研究分担者として参加する。研究協力者としては、データ分析の専門家である坂田恒昭が、産学連携の理念の元、データの収集分析システム、開発研究、イノベーション開発をまとめることを担当する。また、日本科学技術振興機構(JST)辻真博フェローが参加し、我が国の科学技術政策や研究土壌を多角的に検討し、我が国に適した研究のあり方に関する提言を行う。
具体的には、まず分子・細胞レベル、オミックスに視点を置いた要素還元型研究の現状と課題を抽出する。同時に循環器病を生体システムの恒常性破綻という視点から、臓器連関をはじめとする循環器系の制御システムの研究についても検討する。これらの基礎研究は、トランスレーショナルリサーチ(TR)と治験により臨床に応用されるが、循環器TRに求められるテーマ、設備、研究費の実態を調査する。とくに分析機器の進歩により、循環器病研究は近年急速に大型化しつつあり、個々の研究室で可能な研究と、拠点化すべき研究とに分かれつつある。こうした変化しつつある循環器病研究の方向性、とくにビッグデータ解析や、基礎から臨床にわたる分野横断的かつ統合循環器病研究の方向性を、官民の役割分担も踏まえながら本研究により提示する。同時に、臨床研究中核拠点の抱える課題、さらに臨床研究法や各種研究ガイドライン、承認制度などの社会的課題についても明らかにする。
具体的には、まず分子・細胞レベル、オミックスに視点を置いた要素還元型研究の現状と課題を抽出する。同時に循環器病を生体システムの恒常性破綻という視点から、臓器連関をはじめとする循環器系の制御システムの研究についても検討する。これらの基礎研究は、トランスレーショナルリサーチ(TR)と治験により臨床に応用されるが、循環器TRに求められるテーマ、設備、研究費の実態を調査する。とくに分析機器の進歩により、循環器病研究は近年急速に大型化しつつあり、個々の研究室で可能な研究と、拠点化すべき研究とに分かれつつある。こうした変化しつつある循環器病研究の方向性、とくにビッグデータ解析や、基礎から臨床にわたる分野横断的かつ統合循環器病研究の方向性を、官民の役割分担も踏まえながら本研究により提示する。同時に、臨床研究中核拠点の抱える課題、さらに臨床研究法や各種研究ガイドライン、承認制度などの社会的課題についても明らかにする。
結果と考察
本研究では、疫学、臨床研究、基礎研究、医療情報、産業界など、幅広い専門家が集まり、循環器研究における国内外の実態を把握し、今後の循環器病の研究についての方向性について議論を行った(永井、小川、小室、峰松、宮本、坂田、相澤)。
関係学会(循環器連合など約20程度の学会)に、今後の優先的に行うべき研究について、その背景となるエビデンスと共に提出を求めるアンケート調査などを実施して意見聴取などを行い、それぞれの研究について研究の推進が必要となる根拠や、データを示した資料なども含めた情報収集を行い、官民における役割分担を意識して、国において進めるべき研究について優先順位を含めて検討した。循環器病対策推進のため、循環器病研究における今後の方向性をつけ、報告書を作成した(小室、峰松、宮本)。
関係学会(循環器連合など約20程度の学会)に、今後の優先的に行うべき研究について、その背景となるエビデンスと共に提出を求めるアンケート調査などを実施して意見聴取などを行い、それぞれの研究について研究の推進が必要となる根拠や、データを示した資料なども含めた情報収集を行い、官民における役割分担を意識して、国において進めるべき研究について優先順位を含めて検討した。循環器病対策推進のため、循環器病研究における今後の方向性をつけ、報告書を作成した(小室、峰松、宮本)。
結論
循環器病の多くは、成長期・若年期の生活習慣を背景として生じ、生涯にわたってすべての人が抱えうる疾患である。このため多段階にわたる検証と長期の縦断的調査を欠かすことができない。その意味で情報科学と連携する必要があり、循環器病研究を通じて、国際的に進められている情報革命への対応と、情報による付加価値を通じて、我が国のイノベーション政策にも寄与することが期待できる。このように本研究は、循環器病対策推進基本計画への反映、AMEDや厚生労働科学研究費による研究実施の基盤になるとともに、医療研究開発戦略やバイオ戦略に反映され、イノベーションにも貢献すると期待される。
公開日・更新日
公開日
2023-02-08
更新日
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