国際会議で効果的な介入を行うための戦略的・効果的な介入手法の確立に資する研究

文献情報

文献番号
202105002A
報告書区分
総括
研究課題名
国際会議で効果的な介入を行うための戦略的・効果的な介入手法の確立に資する研究
課題番号
20BA1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
磯 博康(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 中谷 比呂樹(国立国際医療研究センター グローバルヘルス人材戦略センター)
  • 明石 秀親(国立国際医療研究センター 国際医療協力局)
  • 坂元 晴香(東京女子医科大学 国際環境・熱帯医学講座)
  • 石塚 彩(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
  • 梅田 珠実(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
  • 勝間 靖(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
  • 細澤 麻里子(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
  • 齋藤 英子(国立国際医療研究センター 国際医療協力局 グローバルヘルス政策研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題解決推進のための行政施策に関する研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
・研究分担者交代 石塚 彩(令和3年4月1日~令和3年8月31日) →齋藤 英子(令和3年11月1日以降) ・所属機関異動 研究分担者 坂元 晴香 慶應義塾大学(令和3年4月1日~令和3年11月1日) →東京女子医科大学(令和3年12月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
日本の保健分野の国際協力は、G8洞爺湖サミット以来、一貫して保健システムの強化やUniversal Health Coverageの主流化を先導してきたことが国際的に高い評価を得ており、我が国の国際保健外交を牽引する国内関係者や専門家の経験が積み重ねられてきている。しかしながら、それらの土台となる知見や国際会議の経験は、必ずしも系統的に分析されて共有可能な形でとりまとめられたり、若手の国際保健人材育成に活用されたりするには至っていない。
本研究は、国際保健外交及び実務にて経験豊富な研究者及び実務者連携を図りながら、World Health Organization (世界保健機関)主要会合並びに総会を中心に、グローバルヘルスの今日的課題に関する経緯や、日本及び各国政府の動向を分析したうえで、我が国が国際的な議論に戦略的に介入し、日本の立場を主張するための手法開発と若手や中堅実務者向けの効果的な教育プログラムの確立を目的としている。
研究方法
WHO主要会合等において各国の対立が不可避なテーマ等、合意形成が困難な事案について、その歴史的・政治的背景を分析し、日本がどのような立場で主張を行うべきかケース・スタディーを行った。また、研修プログラムに、日本の立場を効果的に主張するための手法を取り入れ、フィージビリティーについて評価を行った。
ケース・スタディーに関しては、WHOやその他の国際機関での活動経験を有する若手の女性分担研究者である坂元、齋藤が主に担当した。その際、国際機関やグローバルヘルス活動の経験の豊かな中谷、明石、梅田、勝間が助言と支援を行った。
結果と考察
ケーススタディ輪読会では、米国ジョージタウン大学外交ケーススタディ教材を用いたグローバルヘルス外交の主要課題の中から、保健課題として「家族計画・人口問題」「官民連携」「新興感染症・健康危機」「知的財産、医薬品へのアクセス」「国際保健における支援の枠組み」を取り扱った。分析の結果、課題共通の日本のグローバルヘルス外交の強みとして、これまでの国際保健課題への関与を通して培ってきた実績と信頼がある、国際保健課題解決に活用できるような技術や政策実績がある、相手国での人材育成を含めた技術移転を行っている、国際保健課題について省庁横断的に協議するプラットフォームが形成されてきていることが挙げられた。
国際保健外交ワークショップでは、国際保健外交やガバナンスを理解するために、日本とタイの 国際保健外交史の講義の後、世界保健総会( WHA )や主要関連会合における決議作成プロセスに関 する講義 を行った。また、国益の主張と国際益との調和の難しさを理解するために、交渉術に関するノウハウの講義、過去の主要保健議題に基づくケーススタディに関するオンライン講義を実施した。対面式演習では、世界保健総会(WHA)や主要関連会合における決議作成プロセスに関する概要説明の後、実践的なスキル習得のために、模擬 WHA 方式で介入の演習を行った。具体的には、本ロールプレイ演習のために用意した WHO 執行理事会における架空の議題をテーマに、決議案を含む
会議文書の読解、対処方針の検討、他国との交渉、会議での発言などを、一連のロールプレイを通じて、各国の意見が対立する中、どのように自国の主張を行うかという実践的な演習を行った。
結論
ケーススタディから得られた課題として、今後日本が保有する技術や政策実績を国際保健課題の解決に活用していくにあたっては、相手国の需要や文化的背景を踏まえた持続可能な形での支援の提供、民間企業への国際保健市場への参入プロセスの支援などを通じた官民連携の促進、国際機関での規範設定の場への戦略的な人材拠出、政策モニタリングを通した国内外の関係者や国民の共通理解を醸成していく必要性があげられた。今後さらに検討を加えた上で日本におけるグローバルヘルス外交の教本化に役立てていく。
また、国際保健外交ワークショップのような対面でのロールプレイ演習は、国際会議での暗黙知を共有するために効果的な方法であり、今後も継続して毎年実施していくことが望ましい。

公開日・更新日

公開日
2022-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-05-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202105002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,500,000円
(2)補助金確定額
4,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 60,543円
人件費・謝金 1,924,974円
旅費 0円
その他 1,514,483円
間接経費 1,000,000円
合計 4,500,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2022-09-21
更新日
-