膠原病の生命予後規定因子である肺合併症の診断及び治療法の再評価と新規開発に関する研究

文献情報

文献番号
200832020A
報告書区分
総括
研究課題名
膠原病の生命予後規定因子である肺合併症の診断及び治療法の再評価と新規開発に関する研究
課題番号
H19-免疫・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
宮坂 信之(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 良哉(産業医科大学第一内科 膠原病内科学)
  • 亀田 秀人(埼玉医科大学総合医療センター 第二内科・膠原病内科学)
  • 杉山 温人(国立国際医療センター呼吸器科)
  • 曽根 三郎(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 高崎 芳成(順天堂大学医学部膠原病内科学講座)
  • 當間 重人((独)国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 土肥 眞(東京大学医学部附属病院アレルギー・リウマチ科)
  • 原 まさ子(東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター)
  • 針谷 正祥(東京医科歯科大学薬害監視学講座)
  • 平形 道人(慶應義塾大学医学部内科学血液・感染・リウマチ内科)
  • 保田 晋助(北海道大学大学院医学研究科病態内科学)
  • 吉澤 靖之(東京医科歯科大学統合呼吸器病学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、膠原病の最大の生命予後規定因子である肺合併症の早期診断法、鑑別法及び治療法の再評価と新規開発を行い、その成果を診療マニュアルとして公開することにより、国民に対する良質な医療を提供することを目的とする。
研究方法
1.膠原病の肺合併症診断及び治療法に関する後向き研究、特に肺合併症を有する膠原病患者の詳細調査を研究分担者に対してアンケートにより行う。2.膠原病における免疫抑制療法下の肺感染症に関する前向き研究をWeb登録により行う。3.NinJaデータベースを用いた関節リウマチにおける肺合併症の発生頻度の解析を行う。4.膠原病に合併する間質性肺炎に対するタクロリムスの有効性と安全性の検討を研究分担者の施設で行う。
結果と考察
膠原病患者における肺合併症としては、間質性肺炎および肺感染症が入院患者、死亡患者共に多く認められ、特にこの2つの肺合併症が膠原病患者の生命予後に重要であることが改めて確認された。これは、わが国で行われた膠原病の肺合併症に関しては最大のデータベースであり、わが国初のエビデンスが創出されたと考える。現在、膠原病における免疫抑制療法下の肺感染症に関する前向き研究が行われている。また、今回のNinjaデータベースの解析結果からは、肺合併症は本邦関節リウマチ患者における重篤な合併症として圧倒的に多いことが再確認された。また、膠原病に合併する活動性間質性肺炎に対するタクロリムスの有効性と安全性が明らかとなり、その有用性が示されたが、一方で治療抵抗例の存在も確認された。
結論
本研究により膠原病患者における肺合併症の現状が明らかになり、肺感染症と間質性肺炎が生命予後を規定する因子であることが判明した。また、膠原病に併発した活動性間質性肺炎に対して、タクロリムスの有用性が明らかとなったが、一部では抵抗性を示すものも認められたことから、さらなる治療法の開発が必要と思われる。本研究の結果を「膠原病における肺合併症に対する診療マニュアル」作成のためのエビデンスとして活用し、平成21年度中に当マニュアルを作成する運びとなっている。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-