リアルワールドヘルスデータのブリッジング標準化のためのシステム開発~マイクロバイオーム分析データのブリッジング標準化~

文献情報

文献番号
202103020A
報告書区分
総括
研究課題名
リアルワールドヘルスデータのブリッジング標準化のためのシステム開発~マイクロバイオーム分析データのブリッジング標準化~
課題番号
21AC5005
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 國澤 純(医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所)
  • 宮地 元彦(早稲田大学 スポーツ科学学術院)
  • 水口 賢司(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 バイオインフォマティクスプロジェクト)
  • 南里 妃名子(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 身体活動研究部)
  • 寺内 淳(一般社団法人日本マイクロバイオームコンソーシアム 運営委員会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
103,081,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本事業の内容は、統合イノベーション戦略2021に記載の「知のフロンティアを開拓し価値創造の源泉となる研究力の強化」にある「(2)新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)」について、マイクロバイオームのデータを例に、収集したデータを共有し、最大限利活用するためのデータ連係の基盤を構築するものであり、データ駆動型研究の加速化に貢献すると期待される。さらに、本事業で構築するシステムが「戦略的に取り組むべき技術基盤(1)AI技術」においても活用可能となると予想され、同時に「戦略的に取り組むべき応用分野(5)健康・医療」への展開も可能となる。
健康に対する意識が高まる中、腸内細菌などのマイクロバイオームは健康に影響を与える重要因子として注目されている。腸内細菌のゲノムデータの取得においては、便の回収から遺伝子の抽出、増幅、解読などゲノム情報を得るまでの手法がそれぞれ複数あり、また手法の違いが得られるデータに影響を与えることが分かっている。本事業では、健康との関連が注目されている腸内細菌を例に、異なる手法で取得したデータを同じデータリソースとして有効活用できるようデータ変換によりブリッジングするシステムを開発し、標準化することを目的とする。
研究方法
NIBIOHN JMD (Japan Microbiome Database)などのデータリソースの利活用、妥当性検証や高度化のための新規サンプルの収集、他コホートとの連携などデータブリッジングシステムの開発や最適化のための研究倫理ならびに体制を整備し、全ての研究は倫理指針に従って遂行した。
異なるプロトコル(保存液or冷凍保管、ビーズ破砕法or酵素法、自動抽出orキット、V1-V2 or V3-V4領域、16S rRNAアンプリコンシーケンシングorショットガンメタゲノムシーケンシングデータなど)で取得された遺伝子配列データについて、異なるデータベース(SILVAやGreengeneなど)や解析ソフトを用い、ブリッジングの計算に供するための菌叢データを取得した。
結果と考察
本年度は、日本国内の複数の地域の方を対象に7,000名を超える方のマイクロバイオームデータベースなど医薬基盤・健康・栄養研究所で確立してきた研究基盤や、JMBCが別事業の糞便メタゲノム解析推奨プロトコル開発においてDNAや菌体カクテルから取得しているDNA抽出やライブラリ調整に関する比較データを活用し、データブリッジングの予備検討に用いるデータの取得を行った。具体的には、本ブリッジングデータを取得するための倫理計画を作成し、承認を得た後、予備検討として収集済みデータなどを用いて、データ取得の手法(16S rRNA or ショットガン解析)や情報解析の手法(データベース)について検討を行い、各手法による解析結果への影響を把握し、ブリッジング実行可能性を検証した。さらに、異なる前処理手法(便の採取、DNA抽出、ライブラリ調整など)でのデータ取得やフローサイトメトリーや質量分析などを用いた新規手法の動向調査やデータ取得も開始した。
また、JMBC内に本プロジェクト専任のデータブリッジングシステム開発チームを立ち上げ、知財・標準化検討委員会を設置した。マイクロバイオームに関連のある複数の業種の企業で構成されている本チームを中心に、データブリッジングの標準化に向けた検討会を開催し、ヘルスケアや創薬に興味を持たれている企業の方から実用化のために希望される項目の調査などを行い、アプリケーションの開発コンセプトを明確化し、システム開発に着手した。
結論
医薬基盤・健康・栄養研究所のNIBIOHN JMDデータベースなどを活用することで、データブリッジングのための予備検討を実施し、ブリッジングの実行可能性を確認した。解析結果に加えて、検討会やユーザーの意見などを踏まえ、アプリケーションの開発コンセプトを明確化し、システム開発に着手した。本事業において、ブリッジングシステムを開発し、標準化することで、異なる手法で取得したマイクロバイオームデータの相互利用やデータ連携が促進し、関連領域の製品開発や産業創出へつながると期待できる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-07
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202103020C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ブリッジングシステムを開発し、標準化することで、異なる手法で取得したマイクロバイオームデータの相互利用が可能となる。これにより、これまで個別の比較的小さなコホートで取得してきたデータであっても、データ連係による規模の拡大によって、データを最大限有効活用出来るようになり、データ駆動型研究の加速化に貢献できると期待する。
臨床的観点からの成果
腸内細菌などのマイクロバイオームは健康に影響を与える重要因子として注目されていることから、本事業によりマイクロバイオームデータなどの有効な利活用やデータ連携が促進、健康や疾患のバイオマーカーや発症要因を見出し、各種製品開発・産業創出へつながると期待できる。
ガイドライン等の開発
特に審議会などで参考にはされていないが、本事業で進めている倫理整備や知財・標準化検討委員会における検討は医療・ヘルスケア領域におけるビッグデータの利活用や統合解析に関するガイドライン作成などにおいて、有用な情報になると予想される。
その他行政的観点からの成果
本事業でデータ連携システムが開発・標準化されることで、データ駆動型研究の加速化し、医療やヘルスケア領域の製品開発や産業創出を通じて、国民の健康増進へとつながると期待される。
その他のインパクト
本事業ではマイクロバイオームに主眼をおいて標準化を進めているが、本システムは他の領域でも、測定方法の統一化が困難なデータ間の比較に資する可能性等が期待されることから、今後、幅広い研究領域へ波及することが期待される。

発表件数

原著論文(和文)
3件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-06
更新日
2023-06-09

収支報告書

文献番号
202103020Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
134,005,000円
(2)補助金確定額
134,005,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 88,081,000円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 15,000,000円
間接経費 30,924,000円
合計 134,005,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-06-07
更新日
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