次世代バイオデータ基盤の構築に向けたデータ連携の概念実証

文献情報

文献番号
202103018A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代バイオデータ基盤の構築に向けたデータ連携の概念実証
研究課題名(英字)
-
課題番号
21AC5003
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
寳澤 篤(国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
研究分担者(所属機関)
  • 長神 風二(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
  • 荻島 創一(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
  • 中村 智洋(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
  • 熊田 和貴(東北大学 東北メディカル・メガバンク機構)
  • 中谷 直樹(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
118,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
バイオ戦略2019やバイオ戦略2020等の各種戦略においてバイオデータを活用した産業創出が求められている。しかしながら企業においてコホート・バイオバンクの利活用に多くの課題が存在するにもかかわらず、その支援を行う体制が存在しなかった。そこで元施策を始めとするコホート・バイオバンクデータの活用を企業ニーズを踏まえて促進するため、5つの課題(1.産業利用促進策・コホート連携の検討、2.企業向け相談窓口機能の実証、3.実証を通じた横断検索システム機能の高度化及びWebシステムの開発、4.バイオデータ利活用ガイドライン等の策定、5.協調可能なバイオデータ等を活用した試行的取組)に分けて研究を実施した。
研究方法
【1.産業利用促進策・コホート連携の検討】企業のコホート利活用にあたってのニーズ・課題に対応する形でデータ連携基盤の形の検討を行った。 【2.企業向け相談窓口機能の実証】以下の3課題に分けて検討を行った。(1)企業ニーズから抽出した課題に対応する一括相談窓口機能の実証、(2)支援ツールの開発(3)一括相談窓口の社会実装に向けた要件、運営主体等の検討
【3.実証を通じた横断検索システム機能の高度化及びWebシステムの開発】以下の3課題に分けて検討を行った。(1)コホート横断検索システムの高度化の研究開発、(2)コホート横断検索システムカタログの研究開発、(3)企業向け相談窓口のWebシステムの開発とデータ説明書の研究開発 【4.バイオデータ利活用ガイドライン等の策定】企業の問い合わせや企業とのやり取りで発生する事項を中心に産業界・アカデミアがコホート研究等に由来する疫学データを利活用するときに必要な要件や注意事項を検討し、ガイドラインとしてまとめた。 【5.協調可能なバイオデータ等を活用した試行的取組】産業界とコホート拠点との連携促進を図るために協調可能なバイオデータ等を活用した試行に取り組んだ。
結果と考察
【1.産業利用促進策・コホート連携の検討】企業のフェーズに基づいたサービスの内容について検討した。試行的産業利用の促進、利用者向けガイドラインやWeb 相談窓口の整備、コホート横断検索システムカタログなどの充実、各コホートへの橋渡し機能の充実を一括相談窓口に備えるべきサービスとして確認し、その概要をまとめた。実際の対応に基づき必要な機能が増えていくことが予想される一方で、将来の自走を考え可能な限り自動化を進める必要もある。【2.企業向け相談窓口機能の実証】企業のニーズに対応できる一括相談窓口の機能の検討及び運用による実証を行った。窓口を明示し、相談から研究開始までのプロセスを可視化することで、効率向上と確実な進捗管理につながることを明らかとした。あわせてこのプロセスについてWeb 上で伴走支援を行うシステム及び企業向け情報提供ウェブサイトを開発した。さらに、一括相談窓口の社会実装に向けた要件や運営主体等を検討し、企業ニーズへの対応度合いと窓口規模が関連すること、運営主体について専門性、公平性・信頼性、サステナビリティ、経済安全保障、政策との連携等を考慮すべきこと、研究投資とイノベーションのエコシステムの一部としての検討が重要であること等を整理した。
【3.実証を通じた横断検索システム機能の高度化及びWebシステムの開発】コホート横断検索システムの時系列検索機能を拡充し、高度化した。また、コホート研究により収集されるデータの項目のメタデータを標準化し、各コホート研究のデータ項目のメタデータを公開するコホート横断検索システムカタログの研究開発を行い
公開した。データカタログの公開は大きな成果であったと考えている。【4.バイオデータ利活用ガイドライン等の策定】実際に産業界における利活用に係る様々なハードルを特定し、その対応策を検討した上で、「バイオデータ利活用ガイドライン」をまとめた。これは産業界におけるデータ利活用のハードルを下げることに貢献し、医療・ヘルスケア分野の両方のソリューション開発に繋がるマイクロバイオームデータを用いたデータ連携と利活用の実証に活用できると考える。【5.協調可能なバイオデータ等を活用した試行的取組】産業界とコホート拠点との連携促進を図ることを目的に協調可能なバイオデータ等を活用した試行的な取り組みをおこなった。40社を超える企業にアプローチし、そのうち約4割の企業がコホート・バイオバンクを活用したハッカソンや共同研究などを検討する段階へと進んだ。
結論
一括相談窓口の整備と試行的産業利用の準備を進めた。5つの分担研究で構成したがいずれも順調な進捗を認めた。今後、各コホート拠点への産学連携を拡大し、結果としてエビデンスに基づくヘルスケアが国民に早期に提供されることを目的として研究を進めていく。

公開日・更新日

公開日
2025-05-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2025-05-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202103018C

成果

専門的・学術的観点からの成果
産業界のニーズに基づく支援体制の概要のとりまとめを行った。さらにその構成要素である一括相談窓口の実証、横断検索システム機能の高度化及びWebシステムの開発を進めた。また、バイオデータ利活用ガイドライン等の策定も行うことで産業界がコホート・バイオバンク利活用を進めるための基盤構築が進んだ。実際に企業のデータ利活用の問い合わせが増えている。
臨床的観点からの成果
現段階では臨床までたどり着いた成果はないが、産業界が積極的にバイオデータを利活用することによりいずれ健康状態に直結する成果がもたらされると期待する。
ガイドライン等の開発
データ利活用については企業ごとにニーズが異なることが明らかとなった。また、実際の企業の問い合わせや企業とのやり取りで発生する事項を中心に産業界・アカデミアがコホート研究等に由来する疫学データを利活用するときに必要な要件や注意事項を検討し、整理した。
その他行政的観点からの成果
現段階で施策に反映される成果は上がってきていない。しかし産業界の協力も得ながらしっかりとした根拠に基づくヘルスケアが提供できる体制を推進していることは高く評価されていると考えている。
その他のインパクト
特になし

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-06
更新日
2025-04-30

収支報告書

文献番号
202103018Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
154,000,000円
(2)補助金確定額
154,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 19,522,205円
人件費・謝金 51,165,180円
旅費 1,141,950円
その他 46,632,665円
間接経費 35,538,000円
合計 154,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2025-04-30
更新日
-