関節リウマチの寛解導入療法体系化に関する研究

文献情報

文献番号
200832017A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの寛解導入療法体系化に関する研究
課題番号
H19-免疫・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
竹内 勤(埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科)
研究分担者(所属機関)
  • 山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻 アレルギーリウマチ学)
  • 西本 憲弘(和歌山県立医科大学医学部免疫制御学講座)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科 先端応用医学専攻臨床免疫学)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第1内科学講座 内科学・膠原病学・臨床免疫学)
  • 山中 寿(東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター)
  • 川上 純(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座 第一内科)
  • 南木 敏宏(東京医科歯科大学 薬害監視学講座)
  • 渥美 達也(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座・第二内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
42,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢者に多い関節リウマチ(RA)は、高度の破壊性関節炎を特徴とし機能予後のみならず生命予後も不良である。RA の自然経過を変えうる薬剤として抗リウマチ薬が積極的に投与されているが、生物学的製剤開始時すでに関節破壊が進展しており、また本邦のRAは欧米の症例より関節破壊度がより高度であることが明らかとなってきた。その原因として、効果判定の目標設定が低い、目標到達までの期間が長い、有効な抗リウマチ薬が十分量投与されていない、生物学的製剤導入決定の遅れ、などの要因が考えられる。それを解決するためには、治療の目標を臨床的寛解とし、厳密なモニタリングによって、早期から強力で積極的な治療を行い、関節破壊進行のない『真の寛解』を目指す治療戦略が必要である。そこで本研究では、機能予後改善を指向した薬物治療戦略を展開するため、わが国の治療の現状を分析、検討し、個々の症例に適した効率よい寛解導入法を構築し、それを体系化する事を目的とする。
研究方法
我が国の各種薬剤による臨床的寛解導入率の調査結果を収集し、寛解導入と関連する要因を解析する。臨床的寛解を初めとする寛解基準を見直し、その上で、我国において寛解達成率向上に向けた臨床研究を推進する。これら臨床研究を中心としたエビデンス作りを中心に研究を進めた。
結果と考察
関節リウマチの薬物治療の目標は、必ずしも明確に設定されていなかった。そこで、本研究班の班員を中心に、新規発症例の治療を念頭において薬物治療を行なう際の目標について検討した。診断、客観的な活動性評価によるtight controlのもと、優れた効果のある薬剤によって寛解は現実的な目標であるとのコンセンサスをえた。その上で、関節炎→関節破壊→機能障害へと進展する関節リウマチの病態を踏まえ、寛解を、臨床的寛解、関節破壊の進行阻止、機能的寛解へと順次達成することとした。これらすべてを満足するものを完全寛解とし、可能な症例では薬剤の中止を目指す。おのおのの寛解には、客観的な統一評価基準を用いる事とし、それを明示した
結論
インフリキシマブ、エタネルセプト、トシリズマブなどの生物学的製剤による日本人RAでの寛解導入率が報告され、それと関連する要因が明らかとなった。生物学的製剤投与までのタイムラグを減らすため、予後不良例を予測する試みが免疫遺伝学的アプローチによって進められ、同時に、臨床的寛解から真の寛解へと導く際の評価法としてMR検査を含めた新たな画像診断法の有用性と課題が明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
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