文献情報
文献番号
200832016A
報告書区分
総括
研究課題名
金属アレルギーの克服へ向けた効果的診断・予防・治療法の開発研究
課題番号
H19-免疫・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
小笠原 康悦(国立国際医療センター 研究所、難治性疾患研究部、臨床免疫研究室)
研究分担者(所属機関)
- 菅原俊二(東北大学大学院歯学研究科、口腔分子制御学)
- 遠藤康男(東北大学大学院歯学研究科、口腔分子制御学)
- 高田春比古(東北大学大学院歯学研究科、口腔細菌学)
- 西屋禎(北海道大学大学院医学研究科、細胞薬理学)
- 大津浩(東北大学大学院工学研究科、医工学)
- 戸倉新樹(産業医科大学、皮膚科学)
- 椛島健治(京都大学大学院医学研究科、皮膚科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
金属アレルギー等のアレルギー性皮膚炎は増加の一途であり、大きな問題となっている。本研究はこれまで不明であった金属アレルギー発症の分子機構を明らかにし、アレルギーの診断、予防、治療に役立つ理論的基盤の確立を目指すことを目的としている。
研究方法
1)金属暴露と養子移入を繰り返すことで、エフェクター細胞を濃縮することを試みた。2)樹状細胞をin vitroでで刺激しマウスに移入、アレルギーが誘導できるか検討した。3)各種TLR系ならびにNOD系リガンドなどを用いて金属アレルギーにおける細菌成分の重要性について検討した。4)マウスの背部皮下に種々の金属を植え込み、周辺組織中の金属濃度の測定法を検討した.5)金属アレルギー患者の末梢血を用いて、新規診断法の開発を試みた(LTT)。
結果と考察
動物モデルによる基盤的研究から、金属暴露によりCD8/CD4比が変化しCD8+T細胞が濃縮されること、NKG2Dの発現が誘導されること、TCRレパトアが変化することが明らかになった。また、in vitroで樹状細胞を金属感作し、マウスに移入することで金属アレルギーを誘導することが可能となった。臨床的観点からは、ヒトLTTアッセイにおいて、制御性T細胞を除去することで感度を高めることができた。また、内因性アトピー性皮膚炎患者1例において、金属アレルギーとのかかわりが疑われた。工学的観点からの研究では、溶出金属イオンの測定法には、Newport Green法、およびICP-AES法が有効である。今後多面的かつ総合的に、新規診断、治療法を開発していく予定である。
結論
金属暴露、養子移入を繰り返すことにより、CD8+T細胞が濃縮されることが判明した。In vitroで金属刺激した樹状細胞を移入することにより、金属アレルギーの感作が成立した。溶出金属イオンの測定法には、Newport Green法、およびICP-AES法が有効である。感染や微生物成分が極めて重要な金属アレルギー促進因子であることが判明した。ヒトサンプルLTTアッセイにおいて、制御性T細胞を除去することにより感度が高まった。内因性アトピー性皮膚炎患者1例において金属アレルギー陽性反応をみた。
公開日・更新日
公開日
2009-06-05
更新日
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