関節リウマチの早期診断による発症及び重症化予防

文献情報

文献番号
200832015A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの早期診断による発症及び重症化予防
課題番号
H19-免疫・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
江口 勝美(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 清野 宏(東京大学医科学研究所)
  • 住田 孝之(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 藤尾 圭志(東京大学医学部附属病院)
  • 坂口 志文(京都大学 再生医科学研究所)
  • 土屋 尚之(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
  • 三森 経世(京都大学 大学院医学研究科)
  • 津坂 憲政(埼玉医科大学 総合医療センター)
  • 上谷 雅孝(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
  • 寺井 千尋(自治医科大学附属さいたま医療センター)
  • 青柳 潔(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節炎症状が出現して間もない診断未確定関節炎の時期に、将来関節破壊を伴ったRAに移行する症例を抽出し、自己抗原特異的免疫寛容誘導療法を施し、RAの発症及び重症化を阻止する。
研究方法
①抗原特異的アナログペプチドを用いたワクチン療法の開発、②制御性T細胞や自己反応性T細胞を標的としたRA発症阻止療法の開発、③RAの発症及び重症化関連遺伝子の探索、④診断未確定関節炎の臨床的検討と治療アルゴリズムの作成。
結果と考察
経口免疫寛容誘導ワクチン開発を目指して、FAE-M細胞特異的分子に対する抗GP2抗体を作成した。本抗体はこれまでに作成した抗M細胞特異的抗体と同様にデリバリー分子として働くことが期待される。RA患者においてBiP及び抗酸菌HSP70に対する免疫応答が抗CCP抗体産生及び関節炎の進行に関与している。HLA-DRB1※SEを保有するRA患者末梢血単核球を増殖させるBiPとMHSP-Epを同定した。両エピトープは高い相同性を持ち、HLA-DRB1※SEと高い結合性を示した。コラーゲンタイプⅡアナログペプチドの一部は関節炎に対し、予防及び治療効果を示した。さらに、このアナログペプチドを発現した米を収穫した。自己免疫性関節炎発症モデルSKGマウスでは、β-glucanが自然免疫系を刺激してTh17細胞を増殖させた。活動性RA患者の末梢血単核球ではCD4+CD25+CD127low/-制御性T細胞は健常人と比較して減少し、寛解導入で回復した。STAT4多型とRAの疾患感受性との関連が確認されるとともに、インフリキシマブ抵抗性との関連が示唆された。インフリキシマブ投与前のADAMTS5mRNA発現量を指標にすることによりRAに対する本薬の有効性を予測できた。診断未確定関節炎症例の中から自己抗体と手・指関節MRI画像所見の骨変化が共に陽性の症例をUMINに登録し、抗リウマチ薬を投与するNAGASAKI-Early Trialを開始した。
結論
M細胞特異的抗体を作製し、本抗体が抗原のデリバリー分子として働き、粘膜系のみならず、全身系に経口ワクチンによる抗原特異的免疫応答が誘導できるか検討する。抗酸菌HSPやBiPが抗CCP抗体産生や関節炎発症に関与していることを明らかにした。これらの抗原のT細胞エピトープを用いた抗原特異的免疫制御療法の開発につながることが期待される。CⅡアナログペプチドを発現した米を収穫した。今後、マウスやヒトの関節炎発症を阻止できるか検討する。診断未確定関節炎症例によるRA発症阻止、寛解導入を目指したNagasaki-Early Trialを開始した。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-