標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究

文献情報

文献番号
202103011A
報告書区分
総括
研究課題名
標準化クリニカルパスに基づく、医師行動識別センサや問診AIなどのICTを用いた医師の業務負担軽減手法に関する研究
課題番号
21AC1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 中尾 浩一(済生会熊本病院)
  • 岡田 美保子(一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)
  • 河村 進(四国がんセンター)
  • 杉田 匡聡(NTT東日本関東病院 産婦人科)
  • 若田 好史(独立行政法人国立病院機構九州医療センター 医療情報管理センター)
  • 井上 創造(九州工業大学大学院生命体工学研究科)
  • 筒井 裕之(国立大学法人九州大学 大学院医学研究院)
  • 的場 哲哉(九州大学病院 循環器内科)
  • 山下 貴範(九州大学 病院 メディカル・インフォメーションセンター)
  • 平田 明恵(国立大学法人九州大学 大学病院)
  • 奥井 佑(九州大学 病院)
  • 野原 康伸(熊本大学大学院先端科学研究部)
  • 横地 常広(一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会)
  • 井口 健(大阪医科薬科大学 情報企画管理部)
  • 康 東天(九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野)
  • 佐藤 寿彦(株式会社プレシジョン)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
23,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、医師業務負担軽減のあるべき姿を広い視野から考察すると同時に、標準型クリニカルパスシステム(ePath)、医師行動識別アプリ、問診支援システムなどのICTを用いて、データに基づいた医師の業務負担軽減の実証を行う。業務削減されなかった業務に対しては、他職種へのタスクシフト/シェアあるいはICTへの置換の実証試験を行い、医師の業務負担軽減全体の医療への影響、つまり医療の質や安全性に関しての影響や、他職種の業務への影響(看護師の業務量、検査技師の病棟業務の拡大)について検証する。
3年間で実施する本研究の最終目的は、それらの成果を合わせて医師の業務削減に関するガイドライン案を策定することである。
研究方法
九州大学病院MICに設置した研究事務局(担当:山下貴範)で研究事業の進捗管理を行う。また、日本医療情報学会と日本クリニカルパス学会の合同委員会が継続的に月に3~4回開催しているePath会議で毎回進捗を報告し、各学会との連携を取ることとする。WGとして以下の7つを構築した。括弧内はリーダである。
WG1(中島直樹):倫理対応
WG2(的場哲哉):医師行動識別アプリ対応
WG3(佐藤寿彦):問診AI対応
WG4(的場哲哉):研究用ePath開発対応
WG5(横地常広):検査技師業務拡大対応
WG6(若田好史):解析対応
WG7(岡田美保子):ガイドライン策定対応
各WGは、2021年度は、以下を行うこととした。
WG1:人を対象とした生命科学・医学系研究に関する倫理指針に基づいた手続きを行う。
WG2:医師行動識別アプリの臨床の場への導入について検証する。
WG3:問診支援システムの臨床の場への導入について検証する。
WG4:循環器領域・肺がん手術の本研究用のePathパスを4病院で整備する。
WG5:臨床検査関連業務の解析を行い、臨床検査技師へタスクシフト/シェア可能な範囲を見出す。
WG6:ePathのデータから、医師業務削減の解析手法を確立する。
WG7:国内外の事例を含む調査により、医師業務改善のあり方に関して、議論を進めるとともに、報告書にまとめて、ガイドライン策定の準備を進める。
結果と考察
研究結果
2021年度は、2022年度~2023年度に実施する予定の病棟における医師業務負担軽減実証研究の準備を行った。
まず、研究デザイン策定、倫理審査申請承認を行い、準備を進めた。
またそれらに基づいた技術的な準備として、
・医師行動識別アプリ(2022年度から使用)
・研究用のePathの開発(2022年度から使用)
・医師業務負担軽減のための解析手法確立(2022年度から使用)
・病棟に新設する臨床検査技師の業務調査(2023年度から使用)
・問診AIシステム(2023年度から使用)
を進めた。
さらには、本研究の最終目的である「本実証研究成果を踏まえた医師業務負担軽減に関するガイドライン」の策定に向けた準備を開始した。
なお、2024年度の「医師の働き方改革」に資するために、同ガイドライン第1版の提出期日を当初の予定である2023年度末から、2022年度の解析・検討結果を整理した形で2023年夏頃に提出し、第2版(改正版)を2023年度末に提出することと前倒しの形で変更した。
考察
2021年度は、順調に研究開発を進めることができ、2022年度、2023年度の病棟における実証研究の準備を進めることができた。
一方で、研究デザイン構築において、ePathを用いるようなLearning Health System(LHS)の社会実装については、従来の臨床研究ではほとんど用いられていないPDCA型の現場改善手法であるため、介入研究の倫理審査での申請フォーマットや説明との整合が必ずしも良くないことが判明した。このことは、今後の課題として明記しておきたい。
結論
 ePathに基づきICTを活用した医師の業務負担軽減手法に関する研究の研究デザイン構築など、実施準備が整った。今後、同研究デザインに基づいた研究を実施する。

公開日・更新日

公開日
2022-06-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202103011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
30,000,000円
(2)補助金確定額
30,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,347,355円
人件費・謝金 6,868,066円
旅費 2,902,219円
その他 11,290,124円
間接経費 6,923,000円
合計 30,330,764円

備考

備考
補助金確定額と支出合計の差異330,764円は差額分は代表機関:九州大学で負担した。

公開日・更新日

公開日
2023-06-28
更新日
-