次世代医療情報交換標準規格FHIRを用いたPHR統一プラットフォームの開発

文献情報

文献番号
202103008A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代医療情報交換標準規格FHIRを用いたPHR統一プラットフォームの開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
20AC1007
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中山 雅晴(国立大学法人 東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
15,385,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在Personal Health Record(PHR)は民間企業ベースのサービスに基づいた日々の健康情報の蓄積が一般的であるが、本来健診や採血検査結果、処方データなど医療機関における臨床情報を共有し、個人の生活情報と紐付け、健康増進や疾患増悪防止に役立てることが理想である。それが可能となれば、PHRを介した生涯にわたる個人データが一元管理されることとなり、より有効な臨床データとしての2次活用も期待される。そのためには多種多様なPHRにおいて、データ項目の標準化およびデータ送受信の互換性の担保が重要である。そこで本研究では、日本において複数の病院情報システム間の情報共有目的で頻用されるStandardized Structured Medical Information eXchange version 2 (SS-MIX2)を介したPHRによるデータ共有から開始し、その後次世代医療情報交換標準規格FHIRを用いた互換性の確立と対象データの拡張を進め、PHRの統一プラットフォームを構築することを目的とする。
研究方法
みやぎ医療福祉情報ネットワークに保存されているSS-MIX2データを用いて、PHRアプリケーションの開発、改良を行い、データはFHIR形式へ変換した。データ変換にはIRIS-Health(インターシステムズ社)を用いた。SS-MIX2標準化ストレージのデータでは採血検査結果、処方、病名などが主に扱われるが、臨床医の意見を取り入れることにより、PHRを用いて患者を診る際に必要とする情報を検討し、アプリケーションに実装した。また、本邦におけるFHIR実装ガイド(JP CORE DRAFT V1)が発表されたことにより、今まで行っていたマッピングとの差異を確認し、修正した。
結果と考察
1)PHRアプリケーションの開発・改良
SS-MIX2標準化ストレージに格納されている病名、アレルギー、採血検査、処方および注射情報に加え、患者が日々測定する血圧や体重、及び症状、さらに内服薬の確認などのデータを記録し、可視化するPHRアプリケーションを開発した。これらのうち病名やアレルギーには、病院情報システムから全てのデータを転送した際に正確性の低い情報も多く含まれていることもあるため、一律には表示せず、オンオフの設定で表示できる機能を追加した
2)各データのFHIR形式への変換
日本におけるFHIRプロファイルは、NeXEHRSコンソーシアムのHL7FHIR作業部会で定められているJP-COREを参考に、各診療データをFHIR形式に変換してきた。2022年3月にいよいよFHIR実装ガイド(JP CORE DRAFT V1)が発表されたため、整合性の確認と改善を行い、PHRとして必要な部分に対する対応の可否や差異に関しては改めてまとめた。
3)臨床医が通常の診療に使うために必要なPHRにおける機能検討
循環器疾患、特に心不全患者を対象として、診療するための必要なデータセットを検討し、体重、血圧脈拍などの他に、内服確認、日々の活動度や症状などの記録を可能とした。採血検査結果においても、より参照頻度の高い項目を選択し、関連性の高いもの同士を時系列でグラフ表示するなどの臨床医の意見を取り入れた機能を実装した。その機能は、他の診療科でも応用できるような拡張性を備えるようアプリケーションのモジュールを作成した。
4)FHIRデータを交換する際に必要な認証・認可の検討
認証認可の仕組みはFHIRとは別に備える必要があり、IRISHealthの機能をもとに複数のPHRがデータを共有する仕組みを検討している。
5)PHRとして必要な項目の拡大
SS-MIX2標準化ストレージ内のデータのみならず、SEAMAT形式で表される循環器データや画像データなどを、FHIRを介して対応できるようマッピングを行っていた。
6)クラウドサービスにおけるFHIRデータとのPHR連携
クラウド上のPHRサービスとの連携について検討を始め、本研究で定めたマッピングや開発アプリケーションとの互換性を検討している。
結論
SS-MIX2データ共有によるPHRサービスを開始し、臨床医が望むデータセットも取り込める仕様の確定、及び機能改善を行った。実患者をリクルートし、活用を開始することで課題や継続のための工夫などにも取り組んでいる。また、JP CORE DRAFT V1が公式に発表されたことに伴い、もともと我々が行ってきたマッピングとの整合性を検証した。来年度は、クラウドサービスにおけるFHIRデータ連携を行い、より普遍性のある統合プラットフォームの確立のための準備を行う。さらに、介護分野に力を入れる予定であり、PHRの幅広い活用に向けてまとめていく。

公開日・更新日

公開日
2025-04-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2022-06-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202103008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 5,451,652円
人件費・謝金 0円
旅費 26,960円
その他 9,906,388円
間接経費 4,615,000円
合計 20,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2025-04-30
更新日
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