関節リウマチにおける間質性肺病変発症に関わる遺伝子の探索

文献情報

文献番号
200832011A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチにおける間質性肺病変発症に関わる遺伝子の探索
課題番号
H18-免疫・若手-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
島田 浩太(独立行政法人国立病院機構相模原病院 リウマチ科)
研究分担者(所属機関)
  • 山田亮(東京大学医科学研究所・ヒトゲノム解析センター・ゲノム機能解析分野)
  • 大村浩一郎(京都大学大学院医学研究科臨床免疫学分野)
  • 中込一之(東京大学医学部附属病院・アレルギーリウマチ内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の関節リウマチ(RA)診療における種々の治療薬の格段の進歩にもかかわらず、RAにしばしば合併し生命予後に重大な影響を及ぼしうる間質性肺病変(ILD)の発症機序の解明や治療法の確立に関しては未だ不十分である。また、本邦RA患者では薬剤誘発性ILDの発症頻度が他国と比して著しく高いとの報告もあることから、RAに関連するILD発症機序の解析は極めて重要な研究課題である。
研究方法
対象である、ILD合併RA患者及び非合併RA患者より文書による同意を得たのち、末梢静脈血約7mlを採取、DNAを抽出する。ILDの合併の有無については原則、胸部高分解能CTに基づいて評価を行う。採取したゲノムDNA検体については、これまでに特発性を含めたILDの病態に関連が示唆されている分子、およびこれにパスウェイ上で関連する分子の遺伝子を対象とした候補遺伝子アプローチによる一塩基多型(SNP)解析をしてきた。昨年度までの研究で確定的な候補遺伝子が認められなかったため、今年度は採取したゲノムDNA検体から全ゲノムを対象にしてSNP解析を行った。
結果と考察
今年度は本課題遂行に必要な、下記検討を進めた。(1)DNA検体収集体制の確立と検体・臨床情報収集 相模原病院、京大病院、道後温泉病院、東大病院にて同意患者からの末梢血検体採取および京大ゲノム医学センターでの検体保存・解析が承認された。京大病院347検体、道後温泉病院472検体、相模原病院1118検体、東大病院48検体、合計1985検体が収集された。(2)対象患者の選定作業とSNP解析 ILD合併群136例、非合併例177例について、全ゲノム上の277420SNPsについてタイピングを行った。タイピングのデータクオリティコントロールは、最近のゲノムワイドスタディの基準に照らして、十分に良いものであった。複数の日本国内地域からのサンプルには集団構造化が存在し、その影響への配慮が必要であることが知られているが、今回のわれわれのサンプルは複数地域からのサンプルではあったが、ケース・コントロールの分布に地域間の偏りがあまりなかったことから、検定結果に重大な影響がないことが確認された。
結論
単独SNPとして有意な頻度差を有するものは認められなかった。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200832011B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチにおける間質性肺病変発症に関わる遺伝子の探索
課題番号
H18-免疫・若手-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
島田 浩太(独立行政法人国立病院機構相模原病院 リウマチ科)
研究分担者(所属機関)
  • 山田 亮(東京大学医科学研究所・ヒトゲノム解析センター・ゲノム機能解析分野)
  • 大村浩一郎(京都大学大学院医学研究科臨床免疫学分野)
  • 中込 一之(東京大学医学部附属病院・呼吸器病学・内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年の関節リウマチ(RA)診療における種々の治療薬の格段の進歩にもかかわらず、RAにしばしば合併し生命予後に重大な影響を及ぼしうる間質性肺病変(ILD)の発症機序の解明や治療法の確立に関しては未だ不十分である。また、本邦RA患者では薬剤誘発性ILDの発症頻度が他国と比して著しく高いとの報告もあることから、RAに関連するILD発症機序の解析は極めて重要な研究課題である。
研究方法
対象である、ILD合併RA患者及び非合併RA患者より文書による同意を得たのち、末梢静脈血約7mlを採取、DNAを抽出する。ILDの合併の有無については原則、胸部高分解能CTに基づいて評価を行う。採取したゲノムDNA検体から全ゲノムを対象にして、一塩基多型(SNP)解析を行った。
結果と考察
(1)DNA検体収集体制の確立と検体・臨床情報収集 相模原病院、京大病院、道後温泉病院、東大病院にて同意患者からの末梢血検体採取および京大ゲノム医学センターでの検体保存・解析が承認された。これまでに京大病院347検体、道後温泉病院472検体、相模原病院1118検体、東大病院48検体、合計1985検体が収集されており、今なお継続中である。検体収集と平行して、検体に付帯させる臨床情報の収集をさらに進めている。(2)対象患者の選定作業とSNP解析 収集された検体のうち、画像によるILD合併に関する臨床情報がすでに付帯されているものの中から、ILD合併群136例、非合併例177例を関連解析の対象とした。これらについて、全ゲノム上の277420SNPsについてタイピング・解析を行った。タイピングのデータクオリティコントロールは、最近のゲノムワイドスタディの基準に照らして、十分に良いものであった。
結論
単独SNPとして有意な頻度差を有するものは認められなかった(最小のp値は1.4X10-5)。SNPのアレル頻度が一定ならば、統計学的有意差(p<2.0X10-7)を検出するには、検体数を1.5倍程度にすれば十分(試算値ではp=1.2X10-7)と考えられる。そこで、今後RA1000例のゲノムDNAの採集を計画しているが、すでに300検体以上採集されており、あわせてHRCTの読影等の臨床情報も収集していく予定である。

公開日・更新日

公開日
2009-06-05
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200832011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
我々の作成した高分解能CT所見に基づいた間質性肺病変(ILD)評価基準に従って抽出された、136例のILD合併例と177例の非合併例について全ゲノムを対象にして一塩基多型(SNP)解析を行った。統計学的に有意な頻度差を示すSNPは認められなかったが、候補遺伝子と目されるものも挙げられた。今後これらの候補遺伝子について、疾患モデル動物・遺伝子改変動物を用いてILD発症への寄与の有無を証明する。
臨床的観点からの成果
有意な頻度差をありするもの示すSNPは認められなかった(p=1.4X10-5)。統計学的有意差(p<2.0X10-7)を検出するには、検体数を1.5倍程度にすれば十分(p=1.2X10-7)と考えられる。そこで、RA1000例のゲノムDNAの採集を計画し、すでに300検体以上採集した。薬剤誘発性ILD症例についても上記候補遺伝子が発症に寄与しているか解析を行い、各ILD感受性遺伝子が明らかになれば、RA治療薬の選択基準作成のみならず、患者生命予後改善や分子標的薬の将来的開発の可能性も期待できる。
ガイドライン等の開発
特記事項なし。
その他行政的観点からの成果
特記事項なし。
その他のインパクト
特記事項なし。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
7件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
35件
学会発表(国際学会等)
4件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-