患者報告アウトカム(patient reported outcomes:PRO)のICT化と社会実装推進のためのガイドライン作成に資する研究

文献情報

文献番号
202103002A
報告書区分
総括
研究課題名
患者報告アウトカム(patient reported outcomes:PRO)のICT化と社会実装推進のためのガイドライン作成に資する研究
課題番号
20AC1001
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
中島 貴子(京都大学 医学部附属病院 次世代医療・iPS細胞治療研究センター (Ki-CONNECT))
研究分担者(所属機関)
  • 堀江 良樹(聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座)
  • 土井 綾子(聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座)
  • 宮路 天平(東京大学大学院医学系研究科 臨床試験データ管理学)
  • 川口 崇(東京薬科大学 医療実務薬学教室)
  • 長島 文夫(杏林大学 医学部内科学腫瘍科)
  • 山口 拓洋(国立大学法人東北大学 大学院医学系研究科医学統計学分野)
  • 下妻 晃二郎(学校法人立命館 立命館大学 生命科学部)
  • 島津 太一(国立研究開発法人国立がん研究センター 社会と健康研究センター行動科学研究部)
  • 小倉 孝氏(聖マリアンナ医科大学 臨床腫瘍学講座)
  • 兼安 貴子(立命館大学 生命科学部生命医科学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(臨床研究等ICT基盤構築・人工知能実装研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
14,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、患者・医療機関へのアンケート調査によりPRO の ICT 化 ( ePRO )と社会実装推進に必要な課題を抽出し、普及・実装科学の手法で課題を特定し、ePRO実装モデルを提案する。併行して、各施設に適応したシステム構築とその利用経験をフィードバックしながら、ePRO実装モデルを構築する。またレジストリ試験における費用分析を含む本研究結果、同事業内の山口班でのレジストリ試験、下妻班で作成されたPRO関連ガイドラインをもとに、保険適用申請を行う。

研究方法
PRO の ICT 化 ( electronic PRO:ePRO )と社会実装推進に必要な課題を整理するため、アンケート調査を開始し、まず患者対象webアンケート調査、医療者対象郵送アンケート調査について解析した。併行して、単施設(聖マリアンナ医科大学病院)において、ePROシステムを病院情報システム、電子カルテへ実装し、レジストリ試験において使用を開始した。また多施設への展開例として、同カルテベンダーの聖マリアンナ医科大学附属研究所ブレスト&イメージング先端医療センター附属クリニックでも使用を開始し、別カルテベンダーの川崎市立多摩病院においてシステム構築を開始した。
結果と考察
PROデータの信頼性は評価スケールや収集システムにより異なるため、PROのICT化(ePRO)は重要である。令和3年度に解析したアンケート調査結果からも、アナログによる現状の症状モニタリング方法を早急に変革する必要があると考えられた。来年度は、モデル施設(聖マリアンナ医科大学病院を含め多施設)でのシステム構築と利用の過程で抽出された課題をもとに、実装科学の枠組みにおいて「がんの日常臨床において、ePROを用いた症状モニタリングを行うこと」に対する課題抽出と実装戦略の構築・提案を行う。その後、保険適用申請を予定しているが、これは厚生労働省データヘルス改革推進本部「今後のデータヘルス改革の進め方について(令和元年9月9日)」の「医療・介護現場の情報利活用の推進」に該当する。がん患者においては、がん対策基本計画(第3期)「患者本位のがん医療の実現」、また「尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築」の「社会連携に基づくがん患者支援」に該当する成果となると考えられる。
また本研究では、研究の各過程において研究協力者である患者団体の協力を得ながらディスカッションしており(PPI)、研究成果はより患者に寄り添うものとなることが期待される。
結論
アンケート調査結果から、アナログによる現状の症状モニタリング方法を早急に変革する必要があり、PROのICT化(ePRO)が急務であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2022-06-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202103002Z