わが国におけるICD-11コーディング導入に関する問題点の抽出と解決及び先進国における疾病統計に係る情報分析

文献情報

文献番号
202102002A
報告書区分
総括
研究課題名
わが国におけるICD-11コーディング導入に関する問題点の抽出と解決及び先進国における疾病統計に係る情報分析
課題番号
19AB1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
末永 裕之(一般社団法人日本病院会 執行部)
研究分担者(所属機関)
  • 須貝 和則(国立国際医療研究センター 医事管理課)
  • 住友 正幸(徳島県立三好病院)
  • 瀬尾 善宣(社会医療法人医仁会 中村記念病院 診療部 脳神経外科)
  • 高橋 長裕(公益財団法人ちば県民保健予防財団 総合検診センター)
  • 塚本 哲(日本保健医療大学 保健医療学部 看護学科)
  • 牧田 茂(埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科)
  • 松本 万夫(埼玉医科大学国際医療センター 医学部)
  • 水島 洋(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、わが国へのICD-11導入に際し、問題点の抽出とそれを解決し、普及と啓発に資することにある。もう一つの課題としてわが国の患者調査(疾病統計)のあり方の検討を目的に、先進国の疾病統計の回収データを分析し、現況について基礎資料をまとめる。
ICD-11を導入するにあたり各公的業務が円滑に行われることが求められる。特に疾病コーディングは、統計数値に影響する可能性がある。そこで疾病コーディングにあたり、ICD-10との差異・同等性を検証。ICD-11の有用性や問題点を抽出し、有用性の向上と問題の解決策を図ることを目的とした。
研究方法
 研究最終年度となる本年度(令和3年度)は、ウェブ講習会を継続し実施すると共に、本邦における3大死因疾患のうち代表的な疾患に関してICD-10とICD-11の差異・同等性を詳細に検証しまとめた。さらに、ICD-11を学習する際にもちいる初歩的なコーディング問題と解説集を作成した。またサウジアラビア王国およびタイ王国に対する追加の調査を行った。
結果と考察
(3大疾患に関する検証)
 本邦の死因のうち、老衰を除く上位の3疾患(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)について、ICD-10とICD-11の差異や同等性の詳細な分析、検証を行った。
 ICD-11の体系における3疾患のコーディングは、分類軸の変更と項目数の増加により臨床的な病態、重症度を反映しやすくなっており、索引しやすい工夫もみられると評価された。一方でエクステンションコードには不備が残されており、今後のICD-11の改善に向けて、例えばセルフポストコーディングを行った際にその項目を標識する工夫があれば、役に立つと考えられる。またコーディングにあたり、診療情報管理士に要求される医学的知識が増加することや、医師を含む関係者への啓発の必要性が指摘された。
(コーディング教材の作成)
 教材の使用者がICD-11の全体像を理解でき、コーディングプラットフォームおよびポストコーディング、クラスターコーディング、エクステンションコーディングを理解したうえで使用できるよう、ICD-11MMSの28章それぞれから代表的項目を1~6題ずつ抽出し、コーディングの例題と解説からなる教材を作成した。特にクラスターコーディングとエクステンションコード付与の理解に重点を置いて作成した。
(海外諸国におけるICD-11導入にかかわる現状調査)
 サウジアラビア王国とタイ王国の2か国についてキーパーソンにインタビューを行い、サウジアラビアにおいては積極的にICD-11導入に向けた準備が進められていて、まずは国営病院でのICD-11およびICHI導入が計画されていること、また公表されているアラビア語版のICD-11ではなく英語版ICD-11を使用する予定であること等の新たな知見を得た。
またタイにおいてはICD-11のタイ語翻訳がほぼ完成したこと、普及に向けて書籍を作成中であること等を明らかにした。
結論
1,本邦における三大死因疾患におけるICD-10とICD-11の差異と、ICD-11の特徴を検討した。その結果、ICD-11はより臨床的な分類項目をふやし、分類軸を変更した。特にエクステンションコードを用いた臨床的状態を詳細に分類することができるようになった。一方で準備されたポストコーディネーションが十分でない箇所もあり、今後の改善が期待される。
2,ICD-11MMSコーディング問題集を過去2年間の講習会等からの意見を参考に作成した。ICD-11の全体から構成されているが、日本語訳の問題も残されており、実際使用経験に基づき今後さらに改善しなければならない。
3,各国におけるICD-11の導入事例を参考にしながら、我が国における国内導入の参考にすることが効果的であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2022-05-25
更新日
2024-06-06

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202102002B
報告書区分
総合
研究課題名
わが国におけるICD-11コーディング導入に関する問題点の抽出と解決及び先進国における疾病統計に係る情報分析
課題番号
19AB1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
末永 裕之(一般社団法人日本病院会 執行部)
研究分担者(所属機関)
  • 須貝 和則(国立国際医療研究センター 医事管理課)
  • 住友 正幸(徳島県立三好病院)
  • 瀬尾 善宣(社会医療法人医仁会 中村記念病院 診療部 脳神経外科)
  • 高橋 長裕(公益財団法人ちば県民保健予防財団 総合検診センター)
  • 塚本 哲(日本保健医療大学 保健医療学部 看護学科)
  • 牧田 茂(埼玉医科大学国際医療センター心臓リハビリテーション科)
  • 松本 万夫(埼玉医科大学国際医療センター心臓内科)
  • 水島 洋(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
令和1(2019)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、わが国へのICD-11導入に際し、問題点の抽出とそれを解決し、普及と啓発に資することにある。もう一つの課題としてわが国の患者調査(疾病統計)のあり方の検討を目的に、先進国の疾病統計の回収データを分析し、現況について基礎資料をまとめる。
 ICD-11を導入するにあたり各公的業務が円滑に行われることが求められる。特に疾病コーディングは、統計数値に影響する可能性がある。そこで疾病コーディングにあたり、ICD-10との差異・同等性を検証。ICD-11の有用性や問題点を抽出し、有用性の向上と問題の解決策を図ることを目的とした。
研究方法
(1年目)
【ICD-11に関わる研究】
1.ICD-10とICD-11を比較検討し、基本的知識やICD-10とICD-11の差異について教材を作成。
2.教材をもとに関係病院担当者へ講習会を実施。
【先進国における疾病統計に係る情報分析】
1.オーストラリアの疾病統計について情報収集。
2.カナダの情報収集。
(2年目)
【ICD-11に係わる研究】
1.ICDコーディングに適した仮想の退院時サマリー問題を作成。
【先進国における疾病統計に係る情報分析】
 「死亡と疾病統計の現況とICD-11導入計画の各国調査」として、WHO-FIC、IFHIMA(International Federation of Health Information Management Associations、診療情報管理協会国際連盟)関連の30か国にウェブ方式を主体に調査を実施。
(3年目)
【ICD-11に係わる研究】
1.我が国における死因のに注目し、老衰を除く上位3疾患(悪性新生物、心疾患、脳血管疾患)について詳細に検討した。
2,ICD-11MMSの28章それぞれより、代表的項目を1~6題ずつ、計106題抽出し、コーディングの例題と解説を記載した教材を作成した。特にクラスターコーディングとエクステンションコード付与の理解に重点を置いて作成した。
【海外諸国におけるICD-11導入にかかわる現状調査】
WEB方式によるインタビューにより、サウジアラビア、タイにおけるICD-11導入に関する責任的役割を果たしている担当者を対象に質問を行い、各国のICD-11導入状況と問題点について調査を行った。
結果と考察
 ICD-11の普及と啓発、有用性の向上を目的とした3年間の研究により、①日本における3大死因である、がん、脳卒中、心臓病におけるICD-10とICD-11の差異とICD-11利用における利点と注意点を詳細にまとめたほか、②ウェブ研修会を累計2,264名に対して実施し啓発に努めつつ、我が国では初となる、ICD-11を学習するための初歩的な教材を作成することができた。また③諸外国におけるICD-11導入に関わる現状調査を広く実施し、我が国における導入の参考となる資料を得ることができた。
結論
1,本邦における三大死因疾患におけるICD-10とICD-11の差異と、ICD-11の特徴を検討した。その結果、ICD-11はより臨床的な分類項目をふやし、分類軸を変更した。特にエクステンションコードを用いた臨床的状態を詳細に分類することができるようになった。一方で準備されたポストコーディネーションが十分でない箇所もあり、今後の改善が期待される。
2,ICD-11MMSコーディング問題集を過去2年間の講習会等からの意見を参考に作成した。ICD-11の全体から構成されているが、日本語訳の問題も残されており、実際使用経験に基づき今後さらに改善しなければならない。
3,各国におけるICD-11の導入事例を参考にしながら、我が国における国内導入の参考にすることが効果的であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2022-05-25
更新日
2024-06-06

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202102002C

成果

専門的・学術的観点からの成果
(1)成果:ICD-11の普及啓発活動、海外事情の調査および我が国初のICD-11コーディング教材を開発するなどの成果があった。
(2)意義:ICD-11の国内導入にあたり実務者の教育が必要となるが、人材育成、教材開発、啓発活動を行い、事前の環境整備を行った点で社会的意義がある。さらに死因上位3疾患についてICD-11を詳細に分析し、ICD-11コーディングに際し要求される医療的知識の水準を明らかにし、がん登録との関係性を指摘した点、また医師への啓発の必要性を指摘した点等は、学術的意義がある。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
国際標準であるICD-11の国際動向が見えたことで、わが国の政策策定において、各国と歩調を合わせた政策に結びつけることが期待される。
その他のインパクト
インターネット上のオンデマンド講習を継続し、広く累計2,264名に対してICD-11についての研修を実施、啓発を行った。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
1件
Kazuo Matsumoto What is ICD? APHRS Newsletter 2022,No.58;3-6
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
研修会の開催(WEB)1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2022-05-25
更新日
2024-05-24

収支報告書

文献番号
202102002Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,500,000円
(2)補助金確定額
4,500,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 637,710円
人件費・謝金 0円
旅費 344,400円
その他 3,520,697円
間接経費 0円
合計 4,502,807円

備考

備考
自己資金2,785円、利息22円、合計2,807円の差異

公開日・更新日

公開日
2024-06-06
更新日
-