文献情報
文献番号
202101020A
報告書区分
総括
研究課題名
保健医療福祉資格に共通して求められるコンピテンシー習得に向けた教育コンテンツに関する研究
課題番号
21AA2009
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 聰子(慶應義塾大学 大学院健康マネジメント研究科)
研究分担者(所属機関)
- 大西 弘高(東京大学 医学系研究科 医学教育国際研究センター)
- 小野 太一(政策研究大学院大学 政策研究科)
- 川越 雅弘(埼玉県立大学 大学院保健医療福祉学研究科)
- 柴崎 智美(埼玉医科大学 医学部)
- 田口 孝行(埼玉県立大学 保健医療福祉学部)
- 平野 隆之(日本福祉大学大学院 社会福祉学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和3(2021)年度
研究費
10,848,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
平成28年度~令和2年度に実施した関連する厚生労働科学研究を踏まえて、保健医療福祉の専門資格に共通の基礎課程創設に向けた具体的な提案を行うことを目的とする。
研究方法
(1)共通基礎課程のモデルカリキュラムの検証とその実装にかかわる課題抽出
①共通基礎課程を当初実装対象とする7職種の教育課程のシラバスと対人支援職種に共通して求められるコンピテンシー試案を紐づけた現行課程での修学状況の調査
②共通基礎課程に必要な時間数や単位数、講義・演習・実習の区別の改訂と関係課程の検討
③共通基礎課程の実装に向けた国内外の資格制度の認証プロセスの論理構成等の文献調査
④自らが保有する資格にかかわる卒前教育におけるコンピテンシー習得状況及び他の資格取得以降の把握にかかわる対人支援職種へのアンケート
(2)共通基礎課程のコンピテンシー習得に向けた教育コンテンツ等の開発・評価
①コンピテンス領域Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの5領域に関する教材開発
②コンピテンス領域Ⅵに関する実態把握と映像の教材化、有用性の評価
③コンピテンス領域Ⅱに関連する教材作成の検討
(3)共通基礎課程にかかわる教育・学習支援の在り方の検討
コンピテンス領域Ⅵを例にとり、共通基礎課程の導入を検討している7職種において、卒前及び卒後教育で、何をどの程度、どのような方法や教材により展開されているのか、新しい学修領域に取り組む教員向けの支援プラットフォームの在り方について文献レビュー及びデスクトップリサーチ
①共通基礎課程を当初実装対象とする7職種の教育課程のシラバスと対人支援職種に共通して求められるコンピテンシー試案を紐づけた現行課程での修学状況の調査
②共通基礎課程に必要な時間数や単位数、講義・演習・実習の区別の改訂と関係課程の検討
③共通基礎課程の実装に向けた国内外の資格制度の認証プロセスの論理構成等の文献調査
④自らが保有する資格にかかわる卒前教育におけるコンピテンシー習得状況及び他の資格取得以降の把握にかかわる対人支援職種へのアンケート
(2)共通基礎課程のコンピテンシー習得に向けた教育コンテンツ等の開発・評価
①コンピテンス領域Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの5領域に関する教材開発
②コンピテンス領域Ⅵに関する実態把握と映像の教材化、有用性の評価
③コンピテンス領域Ⅱに関連する教材作成の検討
(3)共通基礎課程にかかわる教育・学習支援の在り方の検討
コンピテンス領域Ⅵを例にとり、共通基礎課程の導入を検討している7職種において、卒前及び卒後教育で、何をどの程度、どのような方法や教材により展開されているのか、新しい学修領域に取り組む教員向けの支援プラットフォームの在り方について文献レビュー及びデスクトップリサーチ
結果と考察
2大学のシラバスと対人支援職種に共通して求められるコンピテンシー試案の紐づけによると、8~9割の内容が現行課程で既習となること、一部学科においては全内容が既習となることが確認できた。また、共通基礎課程の実装において、科目の追加、既存カリキュラムを圧迫しないような配慮、新たな科目と既存科目が干渉しないような配置の考慮が必要なことも判明した。
内外の教育機関の課程に関する認証プロセスを踏まえると、共通基礎課程の実装に際しては、現行の保健医療福祉関係の諸資格において用いられている行政機関による教育機関の指定以外の多様な方法で、認証ないし教育内容の担保を行い得る可能性がある。
埼玉県内2市1町で働く保健医療福祉専門職のうち現在とは別の資格取得を希望する者の割合は4割近くにのぼった。またコンピテンシー試案のうち「Ⅱ.科学的思考とその展開」と「Ⅵ.地域・社会活動とソーシャルアクション」の領域が、他の領域より自らの保有する資格職養成教育において教育程度が有意に低いと考えられている。
コンピテンス領域Ⅰ.Ⅲ.Ⅳ.Ⅴ.Ⅵに対応する15の演習教材を、統一した構成要素(事例、考えるテーマ、キーワードの解説)で作成、領域ⅡとⅣについてはこれとは別に映像教材を含む教材開発を行った。
地域包括ケアシステムの推進、療養の場の多様化が進む中で、地域との接続や協働の必要性が対人支援職種のなかで高まっていること、そうしたなかで特に1年次もしくは2年次での地域・社会にかかわる教育設計には、従来と異なる教育手法を導入する必要を確認した。
教員支援について、いくつかの手法が試行されているが、それぞれの特性を組み入れた包括的な仕組みを検討する余地がある。
内外の教育機関の課程に関する認証プロセスを踏まえると、共通基礎課程の実装に際しては、現行の保健医療福祉関係の諸資格において用いられている行政機関による教育機関の指定以外の多様な方法で、認証ないし教育内容の担保を行い得る可能性がある。
埼玉県内2市1町で働く保健医療福祉専門職のうち現在とは別の資格取得を希望する者の割合は4割近くにのぼった。またコンピテンシー試案のうち「Ⅱ.科学的思考とその展開」と「Ⅵ.地域・社会活動とソーシャルアクション」の領域が、他の領域より自らの保有する資格職養成教育において教育程度が有意に低いと考えられている。
コンピテンス領域Ⅰ.Ⅲ.Ⅳ.Ⅴ.Ⅵに対応する15の演習教材を、統一した構成要素(事例、考えるテーマ、キーワードの解説)で作成、領域ⅡとⅣについてはこれとは別に映像教材を含む教材開発を行った。
地域包括ケアシステムの推進、療養の場の多様化が進む中で、地域との接続や協働の必要性が対人支援職種のなかで高まっていること、そうしたなかで特に1年次もしくは2年次での地域・社会にかかわる教育設計には、従来と異なる教育手法を導入する必要を確認した。
教員支援について、いくつかの手法が試行されているが、それぞれの特性を組み入れた包括的な仕組みを検討する余地がある。
結論
今後、共通基礎課程の対象職種の職能団体及び教育関係者等と支援ニーズの変化を踏まえた教育の在り方について意見交換を重ね、共通基礎課程のモデルカリキュラムを精査・オーソライズするとともに、導入の検討や実装にあたって必要となる対応を整理すること、さらに実装後の継続的かつ主体的な発展の在り方について検討を深めることが求められる。
なお、大学等が共通基礎課程の実装の意思決定を行ううえでは、対象職種のカリキュラム改正等との関係の整理、共通基礎課程に関する需要の見通し、将来的な対象職種や課程の拡大を含む運用についても検討が急務となる。あわせて、実際に共通基礎課程を実装する大学においては、カリキュラムの計画、教材及び教育方法の整備等、準備段階でさまざまな後方支援が必要となることが見込まれ、モデル校等を設定してその知見を蓄積・共有することが期待される。
なお、大学等が共通基礎課程の実装の意思決定を行ううえでは、対象職種のカリキュラム改正等との関係の整理、共通基礎課程に関する需要の見通し、将来的な対象職種や課程の拡大を含む運用についても検討が急務となる。あわせて、実際に共通基礎課程を実装する大学においては、カリキュラムの計画、教材及び教育方法の整備等、準備段階でさまざまな後方支援が必要となることが見込まれ、モデル校等を設定してその知見を蓄積・共有することが期待される。
公開日・更新日
公開日
2022-09-16
更新日
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