文献情報
文献番号
200832001A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息難治・重症化の病因・病態の解明に関する研究
課題番号
H18-免疫・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
森 晶夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 高橋 清(独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター臨床研究部)
- 相澤 久道(久留米大学)
- 藤澤 隆夫(独立行政法人国立病院機構三重病院)
- 庄司 俊輔(独立行政法人国立病院機構東京病院)
- 田中 宏幸(岐阜薬科大学)
- 大田 健(帝京大学)
- 烏帽子田 彰(広島大学)
- 中村 裕之(金沢大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国の重症、難治性喘息は、非アトピー型、成人発症が多く、ステロイド抵抗性を有し、軽症ないし中等症の喘息とは発病初期から異なる病態を特徴とする。吸入ステロイド薬の効果が乏しいこと、QOLの障害、社会的、医療的コストが著しいことが明らかで、ステロイドに替わる有力な治療法、予防法の開発をめざして、生物学的要因の解明と、新規介入法の検討を行っている。
研究方法
非IgE依存性の喘息反応メカニズムを明らかにするため、T細胞クローン移入により、抗原チャレンジ後のT細胞活性化に続く気道抵抗上昇をモデルを構築した。また、ヒト培養気管支平滑筋細胞ゲルを利用したin vitro気管支平滑筋収縮メカニズムを解析した。好酸球、平滑筋細胞の新たな活性化(TSLP)、制御(PTEN)メカニズムを解析した。喘息モデルでは、アジュバントフリーモデルでウィルス感染の増悪効果を解析した。早期診断に向け、重症化臨床マーカーを、炎症指標、器質化指標の観点から分類し、予知の観点からは、難治、重症化に関連する遺伝子多型を見出した。一次、二次予防介入の観点から、非晶鉄、活性炭を含む除去フィルターを開発した。
結果と考察
costimulatory signal制御によるT細胞レベルのステロイド感受性回復、非IgE依存性・T細胞依存性の気道閉塞メカニズムの解析を進めた。EBCの気道炎症指標、COPD合併重症喘息に対する長時間作用性抗コリン薬の有用性、アレルギー性鼻炎合併患者での、対鼻炎治療の有用性、好中球プロテアーゼが好酸球性炎症を増悪すること、TSLPが好酸球を直接活性化すること、気管支平滑筋細胞がフィブロネクチンを認識し遊走すること、RNAウィルスアナログの喘息増悪・重症化作用、PTENのin vivoにおける炎症制御、過敏性制御効果、HO-1遺伝子多型が喫煙者での喘息重症化に関与すること、水道水および大気中にアレルギー反応促進化学物質が存在し、新開発フィルターにより除去できること、等が明らかになった。
結論
本研究班によって抗原レベル、免疫細胞レベル、好酸球レベル、リモデリング、遺伝子多型の諸要因が解析された結果、ステロイド感受性回復、リモデリング回復による難治性喘息の治療法、新規診断、予防法開発に向け新たな知見が得られた。
公開日・更新日
公開日
2009-03-30
更新日
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