肝炎の予防および治療対策に関する費用対効果分析

文献情報

文献番号
200831031A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎の予防および治療対策に関する費用対効果分析
課題番号
H20-肝炎・若手-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
井出 博生(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
4,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、1)感染の予防(B型)、2)キャリアに対する治療とその予後に関する費用対効果分析を行うことを目的とした。
研究方法
肝炎の予防対策の手法に関する費用対効果分析を行うにあたり、シミュレーションモデルの基本構造、費用対効果分析の技術的な面において現時点で満たすべき基準、課題について、先行研究のレビューなどによって検討した。さらに、技術的な側面からシミュレーションモデルの適用状況と条件設定について検討した。
結果と考察
80年代から諸外国ではB型肝炎の予防及び治療をターゲットとした多くの先行研究が出ている状況であるが、今日まで概して分析モデルの選択状況には大きな変化はなかった。先行研究では主に意思決定樹解析およびマルコフモデルのコホート・シミュレーションが用いられていた。したがって、わが国でも比較的単純なモデルを用いることが適当であると考えられた。ただし、わが国におけるB型肝炎ウイルスの遺伝子型の流行が、他国からの流入によって変化していることを踏まえ、ウイルス型の変化を取り扱うことができるようなモデルを検討した。
諸外国では、費用対効果分析の結果がワクチン接種政策に反映されているが、B型肝炎の自然経過については、未だに不明な点が多く、さらに最近では遺伝子型によって病態・経過が異なることが明らかになっていることから、先行研究の質に関しては、各国で再考の余地があると考えられた。しかし、ある程度疫学的な情報が欠落していても、条件付きそれを明示した上で、シミュレーションを実施することが必要であるとの結論に至った。B型肝炎の自然経過については、おおよそ10年以内で国内の事例として明らかになっているデータを用い、今後の分析作業を進めることとした。
結論
わが国でもマルコフモデルのコホート・シミュレーションを実施し、先行事例と同水準の研究結果を得ることが望ましい。国内での疫学調査の結果が断片的であることが本研究の障害であるが、国内のデータに加えて、海外事例等から暫定的に採取したものを使用し、研究を推進する。

公開日・更新日

公開日
2009-04-15
更新日
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