社会構造の変化を踏まえた保健医療にかかる施策立案に資する国際疾病分類の国内導入のための研究

文献情報

文献番号
202101005A
報告書区分
総括
研究課題名
社会構造の変化を踏まえた保健医療にかかる施策立案に資する国際疾病分類の国内導入のための研究
課題番号
20AA1002
研究年度
令和3(2021)年度
研究代表者(所属機関)
小川 俊夫(学校法人摂南大学 農学部食品栄養学科)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 健(東京大学 大学院医学系研究科 疾患生命工学センター)
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 向野 雅彦(藤田医科大学 医学部リハビリテーション医学I講座)
  • 小松 雅代(大阪大学 大学院医学系研究科 社会医学講座環境医学)
  • 滝澤 雅美(国際医療福祉大学 医療福祉学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,308,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、ICD-11 の円滑な国内導入と普及・利活用に向け、ICD-11 国内導入に資する各種分析を行い、 その結果を基礎資料として取りまとめて厚労省や各学会などの意見集約と調整に活用し、情報発信を行うことを目的とする。具体的には、下記の3つの目的から構成される。
本研究の第一の目的は、ICD-11 国内導入のわが国の公的統計に与える影響を考察し、ICD-11 の円滑な国内導入に資する知見を集積することである。ICD-11 の国内導入に伴い、人口動態統計や患者調査など各種公的統計への影響について検証を行い、課題を抽出する。第二の目的は、わが国で標準的に利用されている臨床・研究を含む保健医療情報分野におけるICD-11 の普及や利活用に資する基礎資料を作成することである。従来広く用いられてきた標準病名マスターとICD-11との対応に関する基礎資料を作成するほか、ICD-11V 章の解析を通じてわが国におけるICD とICF の活用について考察する。第三の目的は、ICD-11 の国内導入に向けてICD 改訂動向や各国における ICD-11 導入状況等について情報収集し、わが国に適した ICD-11 の実現に資する基礎資料を作成することである。
研究方法
本研究は、(1)ICD改訂と国内導入に関する動向調査、(2)ICD-11の公的統計への影響分析、(3)ICD-11導入における医学用語集の改訂に関する研究、の3つの研究より構成される。 
 (1)ICD 改訂と国内導入に関する動向調査:研究代表者、研究分担者などより構成される研究班を組織したうえで、各種会議への参加などを通じて、ICD改訂動向、ニーズ調査を実施する。またICD-11 V 章を詳細に分析し、ICD と ICF との相互利用の可能性について考察する。
 (2)ICD-11 の公的統計への影響分析:ICD-11導入が死亡・罹患統計など公的統計に与える影響について検証を行い、課題を抽出する。
 (3)ICD-11 導入における医学用語集の改訂に関する研究:ICD-11日本語版とわが国で広く用いられている標準病名マスターとの対応に関する分析を行い、基礎資料を作成する。
結果と考察
 (1)ICD 改訂と国内導入に関する動向調査:本研究の実施にあたり、研究班を組織して研究班会議を開催した。また、WHO-FICネットワーク会議などWHO主催の会議への出席と第40回医療情報学連合大会で研究発表などを通じて、わが国の関係諸機関と情報共有と発信を実施した。さらに、ICD-11のV章の国内導入のための支援ツールの作成のため、V章の採点リファレンスガイドの更新と活用に向けた既存の評価尺度等の項目からV章の構成分析と今後の活用方法の検討に取り組んだ。
 (2)ICD-11 の公的統計への影響分析:WHOにより公開されているICD-10・ICD-11のマッピングテーブルを用いて、ICD-11準拠の新たな死因簡単分類の構築を試行した。また、平成29年度の人口動態調査の結果表を用いて、集計値の変化について推計を実施した。本研究で構築を試行した死因簡単分類の項目数が増加することとなり、また死亡者数が変化する項目が3割以上存在することが明らかとなった。これにより、ICD-11国内導入に伴い、死因簡単分類など公的統計への影響があることが明らかになった。
 (3)ICD-11 導入における医学用語集の改訂に関する研究:研究2年目の本年は、昨年度に引き続きICD-11と標準病名マスターとのマッピング作業を行った。またICD-11コーディングを行う上で注意すべき点や問題点について分析を行った。
 本年度の研究実施にあたり新型コロナウイルスの影響を大きく受けたが、オンラインツールなどを効果的に活用し、本研究はほぼ計画通りに進行している。本研究により、ICD-11のわが国への導入に向けた基礎資料の作成を行なったほか、導入の課題の一部も明らかになったことから、今後さらなる検討と課題解決のための方策について検討する必要がある。
結論
 ICD-11の国内導入は、わが国の医療全般に関わることからその影響は非常に大きい。わが国の実態を踏まえた適切な医療情報を将来に渡って確保するためには、ICD-11の分類体系や内容を正確に把握し、わが国で公的統計や臨床で用いられている各種分類との整合性をとりつつ、わが国への影響について詳細に検討したうえで、ICD-11の国内導入を実施する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2022-08-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2022-07-13
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202101005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,800,000円
(2)補助金確定額
10,800,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 780,263円
人件費・謝金 2,979,445円
旅費 88,280円
その他 4,460,012円
間接経費 2,492,000円
合計 10,800,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-01-19
更新日
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