ヒト肝細胞キメラマウスを用いた治療抵抗性の肝炎に関する研究

文献情報

文献番号
200831027A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト肝細胞キメラマウスを用いた治療抵抗性の肝炎に関する研究
課題番号
H20-肝炎・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
茶山 一彰(広島大学病院 消化器・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 吉里勝利(株式会社フェニックスバイオ)
  • 金子周一(金沢大学 医薬保健研究域医学系)
  • 土方誠(京都大学 ウイルス研究所)
  • 高倉喜信(京都大学大学院 薬学研究科)
  • 前川伸哉(山梨大学大学院 医学工学総合研究部)
  • 松浦善治(大阪大学 微生物病研究所)
  • 菅野雅元(広島大学 医歯薬学総合研究科)
  • 今村道雄(広島大学病院 消化器・代謝内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
65,334,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
クローンの投与により,モノクローナルなHCVを感染させたマウスモデルを用いて,1) HCVのコア領域70および91番目のアミノ酸変異の生物学的特徴およびインターフェロン(IFN)感受性の検討,2) 変異型HCVのprotease inhibitor感受性および耐性株出現の検討を行った。
研究方法
Genotype 1b型C型急性肝炎患者の血清よりクローニングしたHCV全長cDNAを用いて,Core領域のaa70およびaa91が野生型クローン(野生型),いずれもが変異型クローン(Core-Mutant),NS3領域にprotease inhibitor耐性であるA156S変異を挿入したクローン(NS3-Mutant)を作製した.これらのcDNAよりHCV RNAを合成し,ヒト肝細胞キメラマウスの肝臓内に直接注入し,感染成立率,血中HCV RNA量,さらに抗ウイルス剤の薬効を評価した。
結果と考察
野生型およびCore-MutantおよびCore-Wildの投与による感染成立および血中HCV RNAは同程度であった.またIFN-α投与による血中HCV RNA低下量も同程度であった.NS3-Mutant感染マウスは,野生型感染マウスに比べ,血中HCV RNAは低値であり,耐性クローンは複製効率が低下していることが示唆された.Telaprevir投与によるHCV RNAの低下量を比較すると,A156S変異は明らかにtelaprevir耐性を示した.野生型感染マウスにおいても,telaprevir投与中,薬剤耐性株が出現するマウスが存在した.Core領域のアミノ酸変異は,IFN-α+リバビリン治療抵抗性であることが報告されているが,今回の検討では感染成立,ウイルス複製,IFN感受性は野生型と変異型で同程度であった.これらの結果から,Core変異と治療効果の違いにはリバビリンの関与も考えられる.Telaprevirは新規治療薬として期待されているが,単独投与では効率に耐性株が出現する.投与中,新たな変異株が出現した場合,本システムを用いて変異ウイルスの薬効評価が可能である。
結論
種々の変異を挿入した変異クローンを用いて,変異HCV感染マウスの作成が可能であり,これらのシステムを用いて,変異ウイルスの生物学的特徴および抗ウイルス剤の治療効果の検討が可能である。

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
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研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-11
更新日
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