肝発癌抑制を視野に入れた肝硬変の栄養療法のガイドライン作成を目指した総合的研究

文献情報

文献番号
200831023A
報告書区分
総括
研究課題名
肝発癌抑制を視野に入れた肝硬変の栄養療法のガイドライン作成を目指した総合的研究
課題番号
H20-肝炎・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 一幸(岩手医科大学 医学部内科学講座 消化器・肝臓内科)
研究分担者(所属機関)
  • 森脇 久隆(岐阜大学大学院 医学系研究科・消化器病態内科学)
  • 加藤 章信(岩手医科大学 医学部内科学講座 消化器・肝臓内科)
  • 高後 裕(旭川医科大学 医学部内科学講座消化器・血液腫瘍制御内科学 )
  • 鈴木 壱知(獨協医科大学 越谷病院 消化器内科)
  • 西口 修平(兵庫医科大学 内科学肝胆膵科)
  • 坂井田 功(山口大学大学院 医学系研究科 消化器病態内科学)
  • 片山 和宏(大阪厚生年金病院 消化器内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
14,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝発癌抑制を視野に入れた肝硬変患者の栄養療法ガイドライン作成を目指した総合的研究を行う。
研究方法
1.研究班を発足させ、班研究の目的・目標および研究分担者の役割分担を明確化する。2.肝硬変患者の肥満度、栄養摂取状況(BCAA製剤の服薬状況調査も含む)、メタボリック症候群合併と肝病態の関連を検討する。3.BCAA製剤を用いた分割食(LES)の意義と糖吸収抑制薬の評価を検討する。4.鉄過剰蓄積による酸化ストレスのマーカーとしての非トランスフェリン結合鉄測定法を確立する。5.肥満関連肝発癌モデルを作成し、BCAAの発癌抑制効果に関する基礎的検討を行う。6.多施設共同研究案を立案する。
結果と考察
1.3回の班会議を開催し、班研究の目的・目標および研究分担者の役割・分担を確認し、最終報告会で今年度の成果を報告した。2.1)肝硬変患者の肥満度(BMI)は、成因に関わらず25以上を占める割合が30%強を占め、肥満患者ではインスリン抵抗性を示し、肝予備能の低下傾向を示した。2)栄養摂取調査においてエネルギー・蛋白摂取量が適正な肝硬変患者は約31%であり、蛋白・エネルギー代謝異常と栄養摂取状況、蛋白摂取量と血清アルブミン値とは一致しない例が多く認められた。3)分岐鎖アミノ酸製剤(BCAA顆粒、肝不全用経腸栄養剤)はChild B患者の約60%に使用されており、C型肝硬変に限ると発癌率は5年時においてBCAA使用群で低い傾向を示した。4)非トランスフェリン結合鉄測定法を確立し、測定を開始した。5)肝硬変患者の血清亜鉛値に利尿薬の使用が影響することを示した。6)肝不全用経腸栄養剤を用いたLESは耐糖能異常を改善させ、α-グルコシダーゼ阻害薬の併用はその是正にさらに有効であることを確認した。7)肥満関連肝発癌モデルでは、BCAAの投与により発癌抑制効果を示した。8)2年次(平成21年度)から行う前向き共同研究(食事栄養摂取状況調査、BCAA顆粒による二次発癌抑制効果に関する研究、鉄代謝に関する研究、など)を決定し、各施設での倫理委員会への審査申請を行った。
結論
肝発癌抑制を視野に入れた肝硬変患者の栄養療法ガイドライン作成を目指した総合的研究を開始し、今日の肝硬変患者の肥満度、栄養摂取状況などを明らかにするとともに2年次に向けた研究体制を整えた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-08
更新日
-