肝癌早期発見を目的とした分子マーカーおよび画像診断システムの開発

文献情報

文献番号
200831019A
報告書区分
総括
研究課題名
肝癌早期発見を目的とした分子マーカーおよび画像診断システムの開発
課題番号
H20-肝炎・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
有井 滋樹(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 稲澤 譲治(東京医科歯科大学難治疾患研究所 ゲノム応用医学研究部門 分子細胞遺伝)
  • 坂元 亨宇(慶応義塾大学 医学部 病理学)
  • 泉 並木(武蔵野赤十字病院 消化器科)
  • 森安 史典(東京医科大学 消化器内科)
  • 松井 修(金沢大学 大学院医学系研究科 循環医科学専攻血管病態制御学講座経血管診療学)
  • 佐田 通夫(久留米大学 医学部 内科学講座消化器内科部門)
  • 青柳 豊(新潟大学 教育研究院医歯学系(医学部第三内科))
  • 田中 博(東京医科歯科大学 大学院生命情報科学教育部)
  • 川崎 誠治(順天堂大学 医学部 肝胆膵外科)
  • 角谷 眞澄(信州大学 画像医学講座)
  • 高山 忠利(日本大学 医学部 消化器外科)
  • 國土 典宏(東京大学 医学部附属病院 肝胆膵外科)
  • 山本 雅一(東京女子医科大学 消化器外科)
  • 飯島 尋子(兵庫医科大学 内科肝胆膵科、超音波センター)
  • 佐賀 恒夫(放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター)
  • 井本 逸勢(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 ゲノム応用医学研究部門 分子細胞遺伝)
  • 田中 真二(東京医科歯科大学 肝胆膵外科、情報処理センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
86,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
分子マーカーと画像診断的手法により臨床に有用な肝癌早期発見システムを構築することを主たる目的とする。
研究方法
(1)分子マーカーによる早期発見システムの開発
1. 腫瘍マーカーによる複合的早期発見システムの開発;既存の腫瘍マーカーに加え、最近注目されている分子についてその意義を検証する。
2. 包括的分子解析に基づく新規早期発見マーカーの開発
臨床検体による分子生物学的方法から早期肝癌、悪性度判定などに有用な分子マーカーを同定し、分子標的治療へと繋げる。
(2)早期画像診断システムの開発
1. 新しい肝癌スクリーニング法の開発
慢性肝疾患患者に対するsuper high risk groupを特定する。
2. 精緻な質的診断の開発
造影超音波法、EOB-MRIの早期診断、悪性度判定などへの有用性を検討する。新規分子マーカーを用いた分子イメージングの開発を行う。
結果と考察
約6ヶ月で 既に約200例の早期肝癌症例を登録しており、予定の300症例は達成可能と考えられる。
(結果:1)分子マーカーによる早期発見システムの開発;該当分子の血清蛋白ELISA解析を開始し、21年度初頭には解析結果が得られる。切除標本を用いた研究で、肝癌の進展、悪性度を予測する新規分子マーカー候補を同定し、分子標的治療の前臨床試験を行い、一定の成果を挙げた。
(結果:2)早期画像診断システムの開発;EOB造影MRI(EOB-MRI)、造影超音波が従来法に比べて結節検出力が優れていることが明らかとなった。さらに、造影超音波検査による肝癌の血流動態イメージングが分化度、浸潤能などを反映する可能性を見いだした。
(考察:1)分子マーカーについて;まもなく当該分子の新規血清マーカーとしての意義が明らかにされる予定である。また、切除標本の分子生物学的解析により得られた候補遺伝子・分子について分子マーカーとしての意義、新たな悪性度判定などへの応用、分子標的薬の開発が期待される。
(考察:2)早期画像診断システムについて;EOB-MRI、造影超音波により発見率の向上のみならず、dsyplastic noduleと早期肝細胞癌との鑑別、分化度診断、悪性度診断などの可能性について研究を進めている。
分子イメージングについてはまだ基礎研究であるが本研究で同定された分子マーカーを用いることにより、新たな進展が期待される。
結論
予定通り順調に症例の集積が行われた。早期診断、悪性度判定、分子標的治療などへの展開が期待される。

公開日・更新日

公開日
2009-05-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-11
更新日
-