文献情報
文献番号
200831017A
報告書区分
総括
研究課題名
肝硬変を含めたウイルス性肝疾患の治療の標準化に関する研究
課題番号
H19-肝炎・一般-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
熊田 博光(虎の門病院 肝臓センター)
研究分担者(所属機関)
- 岡上武(大阪府済生会吹田病院)
- 恩地森一(愛媛大学医学系研究科先端病態制御内科学)
- 森脇久隆(岐阜大学大学院医学系研究科臓器病態学講座消化器病態学分野)
- 泉並木(武蔵野赤十字病院消化器科)
- 田中榮司(信州大学医学部消化器内科)
- 茶山一彰(広島大学大学院先進医療開発科学講座分子病態制御内科学)
- 向坂彰太郎(福岡大学医学部第三内科)
- 竹原徹郎(大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)
- 桶谷眞(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科健康科学専攻人間環境学講座消化器疾患・生活習慣病学)
- 鈴木文孝(虎の門病院肝臓センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
42,360,000円
研究者交替、所属機関変更
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研究報告書(概要版)
研究目的
慢性肝炎から肝硬変まで一連のガイドラインを作成し、将来的に我が国の発癌例が減少することを目的とした研究班でありB型およびC型慢性肝炎に対する治療の標準化ガイドラインを補足修正するとともに20年度は、肝硬変を含めた治療のガイドラインをさらに詳細に作成した。
研究方法
ウイルス性肝硬変に対する包括的治療のガイドラインは、ウイルスの排除(SVR)・減少によりAST・ALT値の正常化を目指し、代償性肝硬変では、C型はIFN、B型はEntecavirを主体とした治療でSVRを目指し肝組織学的な改善が認められることにより肝細胞癌の発生リスクを低くする治療法を詳細に示した。非代償性肝硬変は、代償性肝硬変への改善を目標として肝発癌予防を目指した治療法とした。1 b・高ウイルス量以外の症例はIFNβ製剤又はIFNα製剤で1b・高ウイルス量はIFNα製剤にてSVRを目指すこととした。一方、肝機能を維持し発癌抑制を目指す為には、従来の肝庇護剤に加え、分岐鎖アミノ酸製剤・瀉血療法・栄養補助療法をも含めた包括的な肝癌抑制の為のガイドラインを作成した。補足として代償性肝硬変でのIFN投与はできる限り初回投与量を600万単位 2-8週間連日投与とし、その後48週以上の長期投与が望ましくまた、12週以上投与してもウイルスが陰性化しない症例は、発癌予防に切り替え300万単位による長期投与を行う。血小板が5万以下の症例でのIFN治療は、脾摘手術または脾動脈塞栓術施行後治療を行うことが望ましい。また、発癌予防を目指す場合は、AST・ALT・AFP値の改善を目指しIFNのみでなく肝庇護剤(SNMC,UDCA)、瀉血療法、分岐鎖アミノ酸製剤を単独あるいは組み合わせて治療する。
結果と考察
班員・班友の施設での基礎研究と臨床データを集積しエビデンスデータを参考にして作成した。B型慢性肝炎のガイドラインでは、今年度からは、drug freeを意識した治療法をさらに盛り込んだ。C型慢性肝炎の治療では、今年度からgenotype 1b,高ウイルス量症例では、72週投与まで延長投与ができる規準を明記し延長投与によりウイルスの陰性化率が向上すると思われる。さらに肝硬変に対する包括的治療のガイドラインを充実させ今年度は、治療基準を明確に提示した。
結論
今後これらのガイドラインを基にB型、C型肝炎の治療が進められ、医療格差の是正、医療経済への効率的還元がなされるものと考えられる。またこれらのガイドラインを基に今後治療を進めていくが、その治療効果を常に検討しながら最適な治療法を研究することが大切である。
公開日・更新日
公開日
2009-04-06
更新日
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