肝炎状況・長期予後の疫学に関する研究

文献情報

文献番号
200831014A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎状況・長期予後の疫学に関する研究
課題番号
H19-肝炎・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
田中 純子(広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 疫学・疾病制御学)
研究分担者(所属機関)
  • 小山 富子(岩手県予防医学協会 県南センター)
  • 日野 啓輔(川崎医科大学 内科学(肝胆膵))
  • 三浦 宜彦(埼玉県立大学 保健医療福祉学部情報科学)
  • 阿部 弘一(岩手医科大学 内科学講座消化器・肝臓分野)
  • 池田 健次(虎の門病院 消化器科)
  • 鳥村 拓司(久留米大学 医学部消化器内科)
  • 相崎 英樹(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
  • 酒井 明人(金沢大学附属病院 光学医療診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
52,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国における肝炎、肝がん対策の推進に資する基礎的データを収集、提示すること
研究方法
基礎医学、臨床医学、社会医学の専門家の参加を得て実施する
結果と考察
1)地域・背景の異なる各種大規模集団を検討した結果、同一地域内における大規模集団では出生年別のHCVキャリア率は、ほぼ同等の値を示すこと。
2)1917年と1947年の出生年においてHBVキャリア率のピークが認められること。
3)HBV母子感染防止事業の実施によりHBVキャリア率の低下と共に、自然感染によるHBs抗体陽性率の低下が著しいこと。
4)職域集団の検討ではHCVキャリア率の性差はみられず、高い年齢集団で高い値を示すこと、HCV感染の新規発生率は、極めて低率であること。
5)HCVキャリアを見出すための検査手順の妥当性の検討により、HCV抗体高力価かつHCV-RNA陰性検体の存在が認められ、IFN治療直後の可能性が高く、判定理由1の場合「医療機関でHCV-RNA検査を実施する」必要性があること。
6)肝炎対策事業の進捗状況に関する全国調査からほぼ整備は良好であり、モデル地区における種々の改善点、取り組み点が明らかとなった。
7)職域集団における調査より、肝炎ウイルス検査未受診者が多いこと。今回初めてHBs抗原陽性と判明したキャリアがいること、職域集団における対策が必要であること。
8)一般住民における調査から、50歳以上の男性では肝炎ウイルス検査の必要性の普及、40歳以上の女性では検査の機会を設ける等、ターゲットを絞った対策が必要であること。
9)住民基本台帳を用いた調査結果から、肝炎検査受診率は40%であったが、無料検査等制度の認知度が低いこと。
10)感染症研究所のホームページ内に準備したサイトで、疫学等に関する情報を更新中。
11)B型慢性肝疾患患者の健康管理、治療指針の策定などを行う際の基礎的資料として役立る有用なデータがマルコフモデルにより得られたこと
12)専門病院での定期的なサーベイランスが肝細胞癌の早期発見の観点から重要であること、HBV(-), HCV(-)肝疾患患者の観察が必要であること。
13)近年の我が国では、10-20歳代の若年層を中心に新たな(遺伝子型の)HCV感染が発生している可能性があること。
14)高感度HBs抗原測定検出系は、患者血清中では必ずしもHBV- DNA量と相関しないこと
結論
得られた知見は、標記の研究目的に適うものである

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2010-01-27
更新日
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