non-coding RNAを用いた新たな慢性C型肝炎制御による治療法開発

文献情報

文献番号
200831011A
報告書区分
総括
研究課題名
non-coding RNAを用いた新たな慢性C型肝炎制御による治療法開発
課題番号
H19-肝炎・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
村上 善基(京都大学大学院医学研究科 付属ゲノム医学センター)
研究分担者(所属機関)
  • 井ノ上逸朗(東海大学基礎医学系ゲノム医学)
  • 下遠野邦忠(千葉工業大学付属総合研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
12,053,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
C型肝炎ウイルス(HCV)は感染すると高率に慢性化し,適切な治療を行なわないと肝硬変,肝細胞癌へと進展する.治療の中心はインターフェロンであるが,日本人に多いHCV遺伝子型1bの高ウイルス量患者では再発率が無視できない.HCV制御のための新規治療薬の開発は保険,医療の向上や,医療費削減に有用である.しかし,HCVの生活環に不明な点が多くコンプライアンスのよい治療方法の開発が遅れている.この問題を解決するためにウイルスの複製を制御する因子や,細胞の持つ抗ウイルス因子を発見することによって新規治療方法を開発し,HCV感染の制圧を目標とする.
研究方法
慢性C型肝炎組織を用いマイクロRNAチップにて慢性肝疾患(慢性肝炎,肝硬変,肝細胞癌)それぞれに特異的なマイクロRNA発現プロファイルの構築、とともに抗ウイルス療法、線維化の程度等の臨床情報に応じたマイクロRNA発現プロファイルの構築、マイクロアレイ解析で得られた情報をin vitro実験で観察した。
結果と考察
(1)HCVをターゲットとするマイクロRNAをマウス肝で肝毒性なく効率よく発現できた。マウス肝炎モデルを利用してマイクロRNAの効果をin vivo実験で確認する。(2)HCVレプリコンを抗ウイルス剤により検出できなくなった時に特異的に発現の変化したマイクロRNAの同定と、そのターゲット遺伝子の同定をした。またこのマイクロRNAの機能を抑制するとレプリコンの複製効率が低下した。この情報を利用してインターフェロン、サイクロスポリンの抗ウイルスメカニズムの解明と新規抗ウイルス活性をもつ細胞性因子の 同定を行なう。(3)抗ウイルス療法の結果別に(SVR (sustained virological responder) , TR (transient virological responder) , NR (non-virological responder) )マイクロRNA発現プロファイルを作成し、効果予測シミュレーションを行なった。(4)肝組織学的線維化の程度別に(F0、F1、F2、F3、F4)マイクロRNA発現プロファイルを作成し、線維化を規定するマイクロRNA候補を得た。(3、4)の情報をあわせて、患者個人の臨床情報に応じたテーラーメード治療の開発を試みる。
結論
個々のマイクロRNAの肝疾患に対する影響の解析は十分ではないが、数種類のマイクロRNAが協調して肝疾患の種々の変化に応じて現れていることより、肝疾患におけるマイクロRNA解析は有用であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2009-05-08
更新日
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