ウイルス肝炎感染防止体制の確立に関する総合研究

文献情報

文献番号
200831008A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス肝炎感染防止体制の確立に関する総合研究
課題番号
H19-肝炎・一般-003
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山口 一成(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 高橋孝喜(東京大学・医学部・輸血部)
  • 半田誠(慶応義塾大学・医学部・輸血・細胞療法部)
  • 田所憲治(日本赤十字中央血液研究所)
  • 高松純樹(名古屋大学・医学部・輸血部)
  • 大戸斉(福島医科大学・輸血・移植免疫部)
  • 紀野修一(旭川医科大学・臨床検査・輸血部)
  • 浜口功(国立感染症研究所・血液・安全性研究部)
  • 古田里佳(大阪府赤十字血液研究センター・研究部)
  • 水谷哲也(国立感染症研究所・ウイルス1部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
39,984,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液製剤(輸血含む)を介する肝炎ウイルス(HBV、HCV、HEV)感染症は、日本赤十字血液センター、血液製剤メーカーの対策にもかかわらず、いまだ未解決の問題が残されている。日本赤十字中央血液研究所、全国大学病院輸血部、細胞治療部、及び日本輸血・細胞治療学会等の学会との緊密な研究体制を築き、総合的な肝炎ウイルス感染防止体制を確立する。

研究方法
本研究課題では、1)肝炎ウイルスと院内感染及び潜伏肝炎ウイルス再活性化2)輸血・細胞療法のウイルス安全性のための病原体検出システムの構築3)安全な血液を確保するための総合戦略を確立について、日赤、全国輸血部及び感染症研究所の研究者が共同研究を行い、相互に情報の共有を行い、輸血血液の肝炎ウイルスの安全性に関する総合的研究を展開する。
結果と考察
1)肝炎ウイルスと院内感染及び潜伏肝炎ウイルス再活性化において、院内感染、潜伏肝炎ウイルス再活性化の実態を輸血前後の感染症検査の結果を解析したところ、輸血後感染症検査陽性例に既感染例、再活性例(HBV)が含まれることが明らかとなった。また、輸血前後の検査および検体保存については、実効性をあげる必要があると考えられる。
2)輸血・細胞療法のウイルス安全性において、検体中のウイルス核酸をウイルス特異的なプライマーを用いてPCRで増幅と標識を行い、増幅領域内配列の一部を標的とするオリゴヌクレオチドを固定したDNA チップ上で検出するためのマイクロアレイシステムを構築した。これまでに、血漿検体中のHIV、HCV、HBVのウイルス核酸に対して、NATを用いた場合と同等以上(5~8IU/反応)の検出感度で検出することができた。
3)安全な血液を確保するための総合戦略を確立においては、「安全な血液製剤の安定供給の確保」および「安全で適正な輸血医療」を実現するための必要な方策として、病原体不活化の海外の現状調査を行い、有効性と安全性について検討した。

結論
血液を介した肝炎対策は実態調査が推進され、未解決の問題点が明らかとなった。今後の検査および検体保存のあり方を含めて、実効性のある方策が必要である。また新しい検出システムの開発も順調に進んでおり、不活化等の検討とともに、安全な血液確保のための総合戦略をさらに推進する。

公開日・更新日

公開日
2009-04-06
更新日
-