文献情報
文献番号
200831001A
報告書区分
総括
研究課題名
E型肝炎の感染経路・宿主域・遺伝的多様性・感染防止・診断・治療に関する研究
課題番号
H18-肝炎・一般-001
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 公士(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 三代 俊治(東芝病院 研究部)
- 日野 学(日本赤十字社 血液事業本部)
- 姜 貞憲(手稲渓仁会病院 消化器病センター)
- 田中 靖人(名古屋市立大学大学院 医学研究科・臨床分子情報医学)
- 岡本 宏明(自治医科大学 感染免疫学講座ウイルス学部門)
- 李 天成(国立感染症研究所 ウイルス第2部)
- 桶谷 眞(鹿児島大学病院 消化器センター)
- 津田新哉(独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構中央農業総合研究センター 病害防除部病害防除システム研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
21,168,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
E型肝炎の感染経路・宿主域を明らかにし、感染防止に関する方策を考案し、重症E型肝炎の診断・治療方法を確立すること。
研究方法
発生動向とリスク因子の解析、北海道の献血者における感染実態の実態調査、ウイルス株塩基配列の収集と解析、ウイルスの培養系の応用、宿主動物調査、ワクチン開発の予備調査等による。
なお、行ったすべての調査・研究は、個人情報保護および「疫学研究に関する倫理指針」、「臨床研究に関する倫理指針」を旨とする倫理規定を厳守しつつ行う。
なお、行ったすべての調査・研究は、個人情報保護および「疫学研究に関する倫理指針」、「臨床研究に関する倫理指針」を旨とする倫理規定を厳守しつつ行う。
結果と考察
近年の本邦におけるE型肝炎の発生状況として、北海道(札幌地区)での減少傾向と全国的な増加傾向が認められ、今では、いずれの地域でも非A非B非C型肝炎の10%強がE型肝炎である。ただし、北海道血液センターによるHEV NATの結果はこの地域での感染が減少することなく発生し続けていることを示唆しており、北海道地区の重症型の発生頻度はなおも高いことから、同地区におけるE型肝炎の重要性はなおも大きい。本年も、イノシシ摂食後の重症E型肝炎型肝炎が報告されており、媒介動物の対策が重要である。また、世界初の安定したHEVの細胞培養系が確立され、これを基に感染性cDNAクローンが作成された。これを利用して、これまで原因不明であったORF3領域の機能解析や、HEVの安定性の検討が行われた。劇症肝炎、LOHFの成因としてのE型肝炎は亜急性型の発症と関連している可能性が示唆された。
結論
E型肝炎ウイルスは急性肝炎の原因ウイルスとして重要であり、北海道を中心に日本国中に遍在している。重症肝炎、劇症肝炎を引き起こすこともあり、伝搬経路の一つとして注目されるブタ、イノシシの対策が急務である。
公開日・更新日
公開日
2009-05-08
更新日
-