インターネット利用層への行動科学的HIV予防介入とモニタリングに関する研究

文献情報

文献番号
200830047A
報告書区分
総括
研究課題名
インターネット利用層への行動科学的HIV予防介入とモニタリングに関する研究
課題番号
H20-エイズ・若手-013
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
日高 庸晴(関西看護医療大学看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 浩司(東京大学大学院人文社会系研究科)
  • 橋本 充代(獨協医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
MSMのインターネット利用層におけるHIV感染予防行動の動向把握と予防介入に資することである。
研究方法
1)インターネットによるMSMのHIV感染予防に関する行動疫学研究-REACH Online 2008-、2)行動科学的手法を用いたインターネット予防介入に関する文献研究、3)インターネットを利用するMSMのHIV感染リスク行為をめぐる意味づけと行為の検討を実施した。
結果と考察
1)5,525人の有効回答があり、全体の90.4%は学校教育で同性愛について不適切な対応をされ、12.7%は男性同性間性的接触によるエイズ予防教育を受けていないことが明らかになった。HIV/STD知識の正答割合は比較的高かったが、HIV感染予防行動を阻害する心理的態度があり、全体の42.3%は抑うつ傾向であり精神的健康の悪さが示された。過去6ヶ月間の男性とセックス経験割合は87.2%、アナルインターコース経験者は81.5%、コンドームを常時使用しない無防備な性行動実践割合は48.5%であった。HIV抗体検査受検経験は生涯経験割合は44.9%、過去1年間では24.1%であった。過去1年間のプライベートな海外旅行経験割合は全体の19.9%であり、うち68.1%はアジア諸国への旅行であり旅先での無防備な性行動の現状が示唆された。
2)179文献を検討対象とした結果、HIV関連の介入9件、うちMSM対象は4件であった。認知行動療法を用いたプログラムの58文献について検討を行った。介入期間は最短で1週間、最長で6ヶ月であり、6~10週間が48.3%で最も多かった。また、多くのプログラムにはメール配信、事後評価終了者への報酬配布、オンラインディスカッショングループへの参加、電話や対面による対象者との接触の機会があった。
3)MSMとして生きる上で生きにくさを感じていると、ハッテン場での性交渉がストレス解消・自我滅却的な「没頭型の自分本位な性器刺激による性欲求充足」につながる可能性が示唆されたが、「冷静型」といえるような、コンドーム常用を欠かさない性交渉も展開されていることなどが判明した。
結論
インターネットによるMSM対象のモニタリング調査としてはアジアで最大規模の研究となり、過去10年間に実施してきた同研究の累積参加者数は2万人を超えた。今後は調査データの経年比較を行うことにより、わが国のMSMの動向を詳細に把握することを目指す。また、次年度実施予定のインターネットHIV予防介入プログラムの開発・実施に資する情報を文献およびインタビューから収集すること出来た。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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