沖縄県における男性同性愛者へのHIV感染予防介入に関する研究

文献情報

文献番号
200830046A
報告書区分
総括
研究課題名
沖縄県における男性同性愛者へのHIV感染予防介入に関する研究
課題番号
H20-エイズ・若手-012
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 慶(横浜国立大学大学院環境情報研究院社会環境と情報部門)
研究分担者(所属機関)
  • 健山 正男(琉球大学大学院医学研究科感染症病態制御学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
沖縄県は、平成19年の新規HIV感染者・AIDS患者の報告数が、東京都に次いで全国第2位(2.34人/10万人)と、極めて高い数値を示しており、その82.6%が同性間性的接触を理由とするものであった。なぜ沖縄県において、このような現象が発生しているのか。その社会構造の特性はいかなるものか。そして、どのような情報提供が予防啓発に効果的であるのか。これらの事柄は明らかとなっていない。本研究は、この点を地域の拠点病院と協力しながら、同性愛者コミュニティにおけるHIV予防啓発ネットワークを構築し、検討するものである。
研究方法
関係の構築をはかり、地域の同性愛者コミュニティに根ざした活動を展開するため、PRAにより研究を行う。PRAは、地域住民が自らの生活知識や状況を共有し、高め、分析し、さらに計画し、行動し、評価することを可能にする方法である。
結果と考察
 本研究により、沖縄県のゲイスポットの規模が、人口比では東京都に次いで2番目であることが明らかとなった。離島のゲイスポットも活性化しており、離島対策も重要である。沖縄県は観光県であることから、毎年多くの観光客が訪れており、同性愛者も例外ではない。
また、非大都市圏における当事者主体の予防介入は、人材・社会資源などの面において大都市圏とは大きな相違があり、大都市圏における人材・社会資源を活用しながら、非大都市圏を支えなければ、単独での活動を維持することは難しいことが示唆された。

結論
 沖縄県において男性同性間のHIV感染が広がっている原因を、沖縄県内だけに見出すことは難しい。沖縄県は、日本を代表する観光県であり、日本全国から観光客が訪れている。それは同性愛者も例外ではない。そのため、日本全国でHIV感染拡大が続く男性同性間性的接触の中継地点になっている可能性も示唆されることから、沖縄県における男性同性愛者へのHIV感染予防介入に関する研究は、沖縄県民に対する予防対策のみならず、日本全国のHIV感染予防に資するものと考えられ、継続的な感染予防介入研究が重要である。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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