HIV感染予防個別施策層における予防情報アクセスに関する研究

文献情報

文献番号
200830043A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染予防個別施策層における予防情報アクセスに関する研究
課題番号
H20-エイズ・一般-009
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
服部 健司(群馬大学大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 牧男(ネットワーク医療と人権〈MERS〉)
  • 長谷川 博史(日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
8,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1.他国における公衆衛生倫理に関する議論を概観し、人権に配慮したHIV感染予防対策のあり方を模索する。2.個別施策層のうち介入困難群と称されている人々によるHIV感染予防情報およびサービスへのアクセスを向上させる方法論の理論的基礎づけをマーケティング理論を参照し考察する。3.介入困難群の心理的社会的行動特性を浮き彫りにする。4.ゲイ/MSM層の中のさらに細分化したサブ人口の活動空間と行動特性を質的に探索することで、よりきめ細やかな保健情報・サービス提供の方法論を模索する。
研究方法
1.米国疾病管理予防センターのドキュメントならびにそこで言及されている公衆衛生倫理の文献を参照した。2.消費行動理論およびコミュニケーション理論に関する文献を参照し、その保健領域への適用可能性と限界性を検討した。3.ゲイ/MSM関係者に対する半構造化フォーカス・グループ・インタビューを行い、修正版グラウンデット・セオリーによって分析を行い、概念化およびその定義づけ、あるいは類型化を行った。

結果と考察
1.未だ途上的な公衆衛生倫理のほか社会哲学における諸議論を見据えていく必要がある。2.介入困難群までサービスを提供しようとする限りで、クライアントの多様な価値観を尊重した共感型の予防介入が、従来のサービス提供側を起点とするトップダウン型介入よりも有効だと考えられた。3.ゲイ/MSMの感染予防行動阻害要因として、予防情報の高度化・陳腐化、セックス至上主義、セックスと社会生活の分断化といった点が抽出された。しかし、ゲイ/MSMは一様ではなく、場の文化との距離感やコミュニケーション・スタイルにより細分化可能であり、本研究では28のサブ人口を描出した。
結論
 介入困難群にアウトリーチを伸ばすためには、これまで用いられてきた人口統計的要因や地理的要因といった客観的俯瞰的計測手法から一歩脱して、心理特性・行動特性といった主観的要因を重視した、当事者参画型の手法を採っていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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