中核拠点病院において行われるカウンセリングの質を向上させる研究

文献情報

文献番号
200830040A
報告書区分
総括
研究課題名
中核拠点病院において行われるカウンセリングの質を向上させる研究
課題番号
H20-エイズ・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山中 京子(大阪府立大学 人間社会学部)
研究分担者(所属機関)
  • 安尾 利彦(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 免疫感染症科 精神科 臨床心理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本年度の具体的目的は、研究1:中核拠点病院のカウンセリング(以下Co.と略記)体制の現状把握、課題抽出、課題解決方策の検討、研究2:医療者によるCo.導入方法の明確化、導入の力量形成の具体的介入の実施などである。
研究方法
研究1:全国54ヶ所の中核拠点病院の医師にアンケート調査を、さらに利用群および未利用群に聞き取り調査を実施した。研究2:Co.導入に実績のある医療者によるFGIを実施し、導入の具体的方法や工夫を聞き取った。またその結果を盛り込み、医療者向けのワークショップを開催し、参加者にアンケートを実施した。
結果と考察
研究1:38ヶ所の病院からアンケートを回収。Co.利用機関は30ヶ所、利用Co.の種類(複数回答)では、派遣Co.19ヶ所、中核Co.13ヶ所、院内一般Co.10ヶ所であった。利用群では、「患者が求めない」、「導入の判断がつきにくい」など導入上の課題や「Co.と患者の日程調整がむずかしい」という制度運用上の課題などが、また未利用群では、「制度情報が得にくい」など制度立ち上げ上の課題などが明らかとなった。課題解決方策として、利用群では導入判断の具体的情報の提供および「患者が求めない」理由の明確化、複数制度による相互補完体制の具体的方法の明確化などが、未利用群では行政による制度情報の確実な提供や具体的支援などが考察された。研究2:具体的方法・工夫はCoの初期導入とCo導入後の連携に関することに大別され、初期導入に必要な力量として身体、精神、生活上の変化などによるアセスメント能力と具体的なコミュニケーションスキルが、導入後の連携では、導入後も医療者としてモニターする支援の必要性が確認された。WSの参加者は68名であり、配布したアンケート結果(回収率47.1%)より、全体の66.0%がCo.利用上の課題を持ち、課題ありと答えた者の72.7%がこのWSで課題解決のヒントが得られたと答え、その内容として、「患者への勧め方」「Co.の支援内容や効果」などが指摘された。
結論
医師向けのアンケート調査などにより、中核拠点病院における複数制度によるCo.利用の実態とその課題が明らかとなり、課題解決方策を検討した。医療者によるFGIによりCo.利用に実績のある医療者の導入時のアセスメントや具体的コミュニケーションスキルが明らかとなり、その結果を盛り込んだWSは参加者より一定の肯定的評価を得た。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
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