Vif/APOBEC3Gの相互作用を標的とした新規抗HIV-1薬の開発

文献情報

文献番号
200830038A
報告書区分
総括
研究課題名
Vif/APOBEC3Gの相互作用を標的とした新規抗HIV-1薬の開発
課題番号
H20-エイズ・一般-004
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
高折 晃史(京都大学医学研究科 血液・腫瘍内科学)
研究分担者(所属機関)
  • 錦織 桃子(京都大学医学研究科 血液・腫瘍内科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
7,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV-1 Vifは、ウイルス複製およびAIDS発症に必須の蛋白であるが、その機能の本態は、本来HIV-1の標的細胞が有する抗HIV-1宿主因子APOBEC3Gを中和することであることが近年明らかにされた。Vifがウイルス複製にとって必須の蛋白であること、およびVif/APOBEC3Gの相互作用の分子機構が詳細に明らかにされたことにより、これらの分子およびその相互作用は、新規の抗HIV-1薬の絶好の標的と考えられる。そこで、本研究では、Vif/APOBEC3G両分子およびその相互作用を標的とした新規抗HIV-1の開発を目指した研究を行う。
研究方法
本研究の特色は、Vif/APOBEC3Gという新規の分子が標的となる創薬研究である点である。またさらに、想定可能な複数の標的候補に対し多角的にアプローチを計ることにより、その実現の可能性を高める点が独創的な点である。具体的には、①VifによるAPOBEC3Gのユビキチン依存性分解を阻害する化合物、②APOBEC3Gの発現および活性を調節する化合物、③Vifのユビキチン依存性分解を促進する化合物に関する複数のスクリーニングを行う。
結果と考察
昨年度の研究結果として、前述の三つの柱のうち特に①VifによるAPOBEC3Gのユビキチン依存性分解を阻害する化合物にしぼって研究を展開した。残念ながらスクリーニング系として数種類の安定発現細胞株の樹立、およびKusabira-Greenを用いた蛋白質断片コンプリメンテーション法等を試みたが成功しなかった。しかしながら、昨年度、Nathansらが我々と基本的に同様のスクリーニング系を用いてVifによるAPOBEC3Gの分解を阻害する低分子化合物を同定したことを報告した(Nat Biotech 26:1187,2008)ことから、その報告同様一過性発現を用いたスクリーニング系の確立を試み、それに成功した。また、昨年度、我々は、APOBEC3Gのリン酸化がその抗HIV活性調節に重要な役割を果たしていることを世界に先駆けて報告した(Shirakawa, Nat Struct Mol Biol 15:1184, 2008)。従って、APOBEC3Gのリン酸化調節を視野にいれたスクリーニングも計画している。
結論
Vif/APOBEC3Gの相互作用を標的とした新規抗HIV-1薬の開発に関する研究が順調に進んだ。残り2年間で、適当なリード化合物の候補を選択できるところまで、研究を展開したい。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-