抗ウイルス作用をもつ宿主防御因子APOBEC3GとHIV-1 Vifとの結合領域および特性の解明と、その阻害化合物の検索

文献情報

文献番号
200830032A
報告書区分
総括
研究課題名
抗ウイルス作用をもつ宿主防御因子APOBEC3GとHIV-1 Vifとの結合領域および特性の解明と、その阻害化合物の検索
課題番号
H19-エイズ・若手-002
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
武田 哲(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
3,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、レトロウイルスの増殖を抑制する生体宿主因子 APOBEC3Gの生体防御機構を活用した新たな機序による抗 HIV-1 薬を開発するための基礎研究を行う。宿主の抗ウイルス因子である A3G とHIV-1 Vif タンパクの相互作用に焦点を当て、構造生物学及び生化学的解析により両者の結合特性を解明し、抗HIV-1 薬の開発に結びつくような基礎研究を行うことを目的とする。

研究方法
昨年度の研究成果である、APOBEC3GとVifの至適結合条件から様々な組み合わせを検討し、96穴プレートスケールのELISA系を確立する。また、二次スクリーニング用にAPOBEC3Gを発現していない細胞をHeLa細胞、SupT1細胞を用い、Tet-OffのAPOBEC3G発現発現細胞系を作製する。
結果と考察
固層化した抗A3G 抗体でA3G と GST-Vifタンパクの複合体をキャプチャーし、HRP-conjugated 抗GST抗体でサンドイッチした後、化学発光を用いて定量する系を確立した。もし結合阻害化合物が存在する場合、A3G/GST-Vif 複合体形成が阻害されGST-Vif がプレートにキャプチャーされず、化学発光が認められなくなる。また、HeLa細胞、SupT1細胞を用い、テトラサイクリンを細胞培養液に添加することにより、濃度依存的に APOBEC3G 発現量が減少させることが出来、APOBEC3Gの発現の有無での候補化合物の効果を確認することによりAPOBEC3G/HIV-1Vifの相互作用に効果を示す化合物のスクリーニングが可能となる。これらの系を確立したことにより、候補化合物のスクリーニング準備も完了した。
結論
宿主の抗ウイルス因子である APOBEC3G と HIV-1 Vif タンパクの相互作用に焦点を当て、構造生物学及び生化学的解析により両者の結合特性を解明し、新規抗 HIV-1 薬開発への新たな道を模索している。平成20年度は2期目として、A3G と Vif との結合阻害剤スクリーニングに向けたELISA系の確立を行った。さらに、二次スクリーニングに必要なA3G発現細胞系も作製した。最終年度のケミカルスクリーニングに向けて前進することができた。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2009-12-01
更新日
-