同性愛者等への有効な予防介入プログラムの普及に関する研究

文献情報

文献番号
200830021A
報告書区分
総括
研究課題名
同性愛者等への有効な予防介入プログラムの普及に関する研究
課題番号
H18-エイズ・若手-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
嶋田 憲司(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会 リサーチ部門)
研究分担者(所属機関)
  • 鳩貝 啓美(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「同性愛者等の個別施策層対策の各地への普及」と「行政-NPO連携によるHIV対策事業の必要性」に基づき、1)行動変容につながる普及啓発の実施・推進、2)中小都市・NGO不在地域における同性間HIV対策の普及、3)コミュニティ内部への啓発効果の波及、を研究目的とした。
研究方法
研究1ではコミュニティを対象に、1)バー介入型ワークショップ「LIFEGUARD」の実施、2)ゲイコミュニティへのアウトリーチを行い、研究2では自治体を対象とし、1)同性間HIV対策とNPO連携に関する質問票調査、2)MSM向けHIV対策における地方公共団体―NPO連携事例の実施と分析、3)一般層向けHIV対策における地方公共団体―NPO連携事例の実施と分析、4)「地方公共団体―NPO連携事業事例集」の作成をおこなった。
結果と考察
(研究1)バー介入型ワークショップ「LIFEGUARD」を、全国(18箇所、のべ472名参加)で介入を計画、実施し効果評価をした。また、アウトリーチ(ゲイバー、新宿二丁目路上、クラブイベント、ハッテンバ、コミュニティ・イベント、ゲイ・サークル)を実施した(23箇所6種別)。(研究2)全国地方公共団体134箇所に、「同性間HIV対策とNPO連携」に関する質問票調査を実施した(回収率95.5%)。同性間HIV対策については、エイズ予防指針改正後の変化を評価し、NPO連携については、地方公共団体の実態を初めて把握した。また、「地方公共団体とNPOとの事業連携モデル」をもとに、7自治体との事業連携を実施した。その内、1自治体とNPOとの連携で即日検査事業の事業化を行い、検査事業を実施した(12回、受検者計419名)。経年比較や受検者への質問票調査をもとに、事業の影響および効果の評価を行った。さらに、事業化に至るプロセスについて、4段階のモデルに整理した。その上で、19年度の「MSM向けHIV対策事例集」に、「一般層向け検査事業連携事例」を加え改訂した。
結論
18箇所での啓発プログラムの計画・実施・評価及び6種類23箇所でのアウトリーチによる対象層の拡大を行った。NPO連携による検査事業の実践により、これまで、地方公共団体のみでは困難のあった「利便性の高い場所」「時間帯」に配慮した検査・相談室の設置が可能となった。NPO連携によるHIV対策を新規に事業化することにより、保健サービスの効果的な提供が可能となり、地方公共団体が中心となって実施するHIV対策の支援を強化した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200830021B
報告書区分
総合
研究課題名
同性愛者等への有効な予防介入プログラムの普及に関する研究
課題番号
H18-エイズ・若手-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
嶋田 憲司(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会 リサーチ部門)
研究分担者(所属機関)
  • 鳩貝 啓美(特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会 ソーシャルサービス部門)
  • 河口 和也(広島修道大学 人文学部 教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「同性愛者他の個別施策層対策の各地への普及」と「NPO等との連携強化の必要性」に基づき、各地域でのHIV対策の促進のため、1)行動変容につながる普及啓発の実施、2)中小都市・NGO不在地域における同性間HIV対策の普及、3)コミュニティ内部への啓発効果の波及、を研究目的とした。
研究方法
本研究はコミュニティを対象とした研究1、地方公共団体を対象とした研究2で構成される。研究1では、1)予防啓発プログラムの実施と評価(バー介入ワークショップ型啓発の実施、効果評価)、2)コミュニティ実態調査(MSMの性行動調査)、3)コミュニティ開発(コミュニティ開発と教育実施、ゲイコミュニティへのアウトリーチ)を行い、研究2では、1)地方公共団体のHIV対策に関する実態調査、2)地方公共団体との事業連携(MSM向け、一般層向け)を行った。
結果と考察
全国61箇所1568人対象に同性愛者向けワークショップ型啓発手法での介入と評価を行った。MSM性行動調査では、リスクのある性行動をとる人の傾向やコミュニティへの関与傾向を確認、若年層への啓発の必要性を確認した。コミュニティ開発では、コミュニティアクセス手法の整理、コンタクトパーソン教育とボランティア教育を行った。
地方公共団体のHIV対策に関する実態調査からは、MSM向けHIV対策については対策の必要性の認識はあるものの予算化につながっていない現状と個別施策層向けのHIV対策におけるNPO等との連携が進んでいない現状が確認された。このような状況を受け、本研究では「NPO連携によるHIV施策」普及のため、合計33例の事業連携を達成、それらを事例としてまとめた。MSM向けのHIV対策における連携では2種のモデル化により総合的な連携の枠組みが示された。さらに一般層向けのHIV対策において連携例として、地方公共団体-NPO連携によるHIV検査相談事業を実践し「NPO等との連携強化」の具体的事例を達成した。
結論
啓発プログラムによる介入を実施、効果を確認した。MSM性行動調査により、同性愛者のリスク行動の実態と若年層のMSMに対する啓発を重点化する必要が示された。地方公共団体-NPO連携によるMSM向け対策事業連携例の事例化により、MSM向け普及啓発事業のNPO連携による実施と普及を行い、HIV対策の事業化を促進した。さらに一般施策である検査事業連携を実践し「NPO等との連携強化」の具体的事例を達成した。今後はNPO連携による検査事業の普及を開始する必要がある。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200830021C