エイズ対策研究事業の企画と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200830017A
報告書区分
総括
研究課題名
エイズ対策研究事業の企画と評価に関する研究
課題番号
H18-エイズ・一般-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木村 哲(東京逓信病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染症とエイズを克服し、また新たな感染を防止するためには、基礎、臨床、更には社会医学の立場から幅の広い分野において研究を行い、限られた研究リソースを有効に使い成果を挙げることが必要である。本研究は幅広い立場からエイズ対策研究のあり方と方向性を検討し、エイズ対策研究事業が有効、適正かつ円滑に実施されるように支援することを目的とする。
研究方法
事前評価委員会、中間・事後評価委員会の2委員会と連携し、また国内外の有識者の意見を聴取し、新規研究課題と組織の提案、および研究成果の評価方法の在り方に関する提案を行う。対策に役立つ海外文献を紹介する。年度の前半にエイズ対策研究事業研究代表者会議を開催・運営し、評価委員と各研究代表者間、あるいは各研究代表者間の意見交換を行い各研究課題の相補性を高め、各研究班の研究の範囲と方向性を吟味する。年度の終盤に研究成果発表会を開き評価委員による評価の場を設定する。
結果と考察
1)エイズ対策研究事業研究代表者会議(ヒアリング会)を開催した(平成20年6月)。評価委員と研究代表者の相互の意図の理解が促進され有益であった。
2)国内の有識者からエイズ対策研究事業の今後の研究の方向性、およびその成果の評価方法に関する意見を収集・整理し、厚生労働省健康局疾病対策課に提案した。
3)必要と考えられる新規11課題などを厚生労働省健康局疾病対策課に提案した。
4)HIV抗体検査に対するWHO/UNAIDSのPITC実施方法に関するガイダンスを和訳し、医療関係者に配布し議論の素材とした。医療機関での検査の推進になると期待される。
5)研究成果発表会を開催・運営し意見交換すると共に、成果評価の場とした(平成21年2月)。成果発表の終了後、中間・事後評価委員会及び事前評価委員会を開催した。
結論
厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業の適正かつ効率的な実施を目指し、年度初めに「エイズ対策研究事業研究代表者会議」(ヒアリング会)を、また年度末に「研究成果発表会」を開催し討論及び評価の場とした。エイズ対策研究事業の方向性ならびに新たな研究課題について検討し提案した。エイズ流行国で行われるようになったPITCに関連し、WHO/UNAIDSによる「PITCのGuidance 」を日本語に翻訳し拠点病院に配布した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200830017B
報告書区分
総合
研究課題名
エイズ対策研究事業の企画と評価に関する研究
課題番号
H18-エイズ・一般-019
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
木村 哲(東京逓信病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染症とエイズを克服し、また新たな感染を防止するためには、基礎、臨床、更には社会医学の立場から幅の広い分野において研究を行い、限られた研究リソースを有効に使い成果を挙げることが必要である。本研究は幅広い立場からエイズ対策研究のあり方と方向性を検討し、エイズ対策研究事業が有効、適正かつ円滑に実施されるように支援することを目的とする。
研究方法
事前評価委員会、中間・事後評価委員会の2委員会と連携し、また国内外の有識者の意見を聴取し、新規研究課題と組織の提案、および研究成果の評価方法の在り方に関する提案を行う。対策に役立つ海外文献を紹介する。年度の前半にエイズ対策研究事業研究代表者会議を開催・運営し、評価委員と各研究代表者間、あるいは各研究代表者間の意見交換を行い各研究課題の相補性を高め、各研究班の研究の範囲と方向性を吟味する。年度の終盤に研究成果発表会を開き評価委員による評価の場を設定する。
結果と考察
1)エイズ対策研究事業研究代表者会議(ヒアリング会)を開催した(毎年度6月)。評価委員と研究代表者の相互の意図の理解が促進され有益であった。
2)国内の有識者からエイズ対策研究事業の今後の研究の方向性、およびその成果の評価方法に関する意見を収集・整理し、厚生労働省健康局疾病対策課に提案した。
3)必要と考えられる新規課題などにつき厚生労働省健康局疾病対策課に提案した。
4)日本のエイズ対策に資すると思われる海外の文献等の紹介・和訳を毎年行い、拠点病院等に配布した。
5)研究成果発表会を開催・運営し意見交換すると共に、成果評価の場とした(毎年度2月)。成果発表の終了後、中間・事後評価委員会及び事前評価委員会を開催した。
6)ACCによる臨床研修の評価調査およびエイズ予防財団による日本人研究者派遣事業の評価調査を行った。
結論
厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究事業の適正かつ効率的な実施を目指し、年度初めに「エイズ対策研究事業研究代表者会議」を、また年度末に「研究成果発表会」を開催し討論及び評価の場とした。エイズ対策研究事業の方向性ならびに新たな研究課題について検討し提案した。エイズ流行国で行われるようになったPITCに関連するCDCの勧告とWHO/UNAIDSによる「Guidance 」を日本語に翻訳し拠点病院に配布した。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200830017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
ヒアリング会および研究成果発表会により、基礎医学、臨床医学、疫学社会医学各分野の研究代表者全員と評価委員が最低年2回一同に会し議論する場を提供でき、相互理解の促進、分野内、分野間の研究の重複や欠損の調整、研究の方向性の決定に寄与することが出来た。これにより研究代表者、研究者のモチベーションが高まり、研究の進展に寄与した。基礎医学、臨床医学、疫学社会医学各分野で必要とされる研究課題の提案を行い、専門的、学術的研究の方向性を示した。
臨床的観点からの成果
臨床医学で必要とされる研究課題と臨床研究の方向性につき提案した。各臨床研究課題に適宜アドバイスをおこなった。医療機関におけるHIV感染症の見落としが多いことから、医療機関での抗体検査を促進するためCDCのPITC促進の勧告の翻訳に引き続き、今年度はWHO/UNAIDSによる「PITCの実施法に関するガイダンス」を日本語に翻訳し、拠点病院等に配布した。これによりHIV感染症の見落としが減少すると期待される。
ガイドライン等の開発
PITCに関するガイドライン、CDCおよびWHO/UNAIDSによるガイダンスをそれぞれ日本語に翻訳し「医療機関における成人・若者・妊婦のHIV検査に関する勧告改訂版」および「医療保健施設での医療者主導によるHIV検査およびカウンセリングに関するガイダンス」として配布した。検査に関する日本のガイドライン作成の基本となる重要な貢献である。
その他行政的観点からの成果
「基礎医学-臨床医学-社会医学の連携による研究が必要である、基礎医学ではワクチン開発の研究、HIVのウイルス学、臨床医学では全国的規模の臨床研究の基盤強化、社会医学分野の研究班では小班の乱立を避けて事業の統廃合を進める」などの提案を行った。評価委員会の構成について「三分野のバランスを考慮した構成とすべき」などの提案を行った。これらエイズ研究施策に関する提案は他の研究からは得られず、エイズ対策研究事業の調和的進展に寄与するものである。
その他のインパクト
これまで、ACCによる臨床研修の評価調査およびエイズ予防財団による日本人研究者派遣事業の評価調査などを行い、その課題を明らかにしてきた。昨年度はCDCのPITC推進勧告の考え方に対し医師の80%前後が賛成で、また、それを採用することにより、約75%が検査が増えると予測したことを報告した。今年度WHO/UNAIDSによる「Guidance」を紹介することにより、日本でPITCを実施する際の方略に大きなインパクトを与えるものである。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
12件
その他論文(和文)
38件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
22件
学会発表(国際学会等)
1件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
東京都エイズ専門家会議座長として都対策指針策定
その他成果(普及・啓発活動)
3件
エイズ予防財団理事長、PITC関連2件翻訳

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
T.Yoshikawa, K.Kidouchi, S.Kimura, et al.
Needlestick injuries to the feet of Japanese healthcare workers; A culture-specific exposure risk.
Infect Control Hosp Edidemiol , 28 (2) , 215-218  (2007)
原著論文2
M.Nishigaki, M.Shimada, K.Ikeda, et al.
Process and contents of telephone consultations between registered nurses and clients with HIV/AIDS in Japan.
J Assoc Nurses AIDS Care , 18 (6) , 85-96  (2007)
原著論文3
H.Gatanaga, T.Hayashida, K.Tsuchiya, et al.
Successful efavirenz dose reduction in HIV type 1-infected individuals with cytochrome P450 2B6*6 amd *26.
Clinical Infectious Diseases , 45 , 1230-1237  (2007)
原著論文4
K.Koike, K.Tsukada, H.Yotsuyanagi, et al.
Prevalence of coinfection with human immunodeficiency virus and hepatitis C virus in Japan.
Hepatology Research , 37 , 2-5  (2007)
原著論文5
A.Kawana, K.Teruya, T.Kirikae, et al.
“Syndromic surveillance within a hospital”for the early detection of a nosocomial outbreak of acute respiratory infection.
Jpn J Infect Dis , 59 , 377-379  (2006)
原著論文6
H.Gatanaga, N.Tachikawa, Y.Kikuchi, et al.
Urinary β2-Microglobulin as a possible sensitive marker for renal injury caused by tenofovir disoproxil fumarate.
AIDS Research and Human Retroviruses , 22 (8) , 744-748  (2006)
原著論文7
S.Matsuoka-Aizawa, H.Gatanaga, H.Sato, et al.
Cooperative contribution of gag substitutions to nelfinavir-dependent enhancement of precursor cleavage and replication of human immunodeficiency virus type-1.
Antiviral Research , 70 , 51-59  (2006)
原著論文8
M.Kawado, S.Hashimoto, T.Yamaguchi, et al.
Difference of progression to AIDS according to CD4 cell count, plasma HIV RNA level and the use of antiretroviral therapy among HIV patients infected through blood products in Japan.
J Epidemiology , 16 (3) , 101-106  (2006)
原著論文9
Y.Hirabayashi, K.Tsuchiya, S.Kimura, et al.
Simultaneous determination of six HIV protease inhibitors (APV, IDV, LPV, NFV, RTV and SQV), the active metabolite of nelfinavir (M8) and non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor (EFV) in human plasma by high-performance liquid chromatography.
Biomed Chromatogr , 20 , 28-36  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-07-03
更新日
-