HIVの感染予防に関する研究

文献情報

文献番号
200830004A
報告書区分
総括
研究課題名
HIVの感染予防に関する研究
課題番号
H18-エイズ・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山本 直樹(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 俣野 哲朗(東京大学 医科学研究所)
  • 志田 壽利(北海道大学 遺伝子病制御研究所)
  • 庄司 省三(熊本大学 薬学部)
  • 玉村 啓和(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
  • 森 一泰(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 三浦 智行(京都大学 ウイルス研究所)
  • 保富 康宏(医薬基盤研究所 霊長類医科学研究センター)
  • 石川 晃一(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 高橋 秀実(日本医科大学 微生物学免疫学教室)
  • 網 康至(国立感染症研究所 動物管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
87,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染予防の総合的研究のための研究を行った。真に有効な感染予防ワクチン開発のため、新たなアプローチを導入した。とくにプライムブースト、新規ベクター開発、免疫原デザイン、弱毒生ワクチン、アジュバント、感染防御免疫、小動物モデル、HIVの多様性、粘膜局所でおこる超早期の感染機序などの問題に総合的に迫り、細胞性免疫と中和抗体、さらには自然免疫まで駆使した真の感染予防ワクチンの開発を目指した。
研究方法
多数の研究者と様々なテーマをこの限られたスペースに記述することは不可能であるが、一般的なウイルス学、免疫学、分子生物学、臨床医学などの方法論を駆使した。
結果と考察
Sendaiワクチンは慢性エイズモデルで発症抑制効果を示した。一方、液性免疫誘導のため、BCG/DIsのコンセプトを用いて連続免疫投与法によるマルチクレイドワクチンの開発を行った。また強い感染中和活性を有する立体構造特異的抗体を効率的に誘導するエンベロープ抗原の系統的探索を行った。またペプチド合成化学を巧みに用い、複数のワクチン候補抗原を作成した。同様のアプローチで、コレセプターの第二細胞外ループの小ループを抗原として修飾することにより、「飲むワクチンの創製」を行っている。独自のnef欠失SHIV、またはd-5Gという生ワクチンを用いて、MHC非拘束性に効果を示す感染防御について非相同性ウイルスに対する効果を検討した。ワクシニアm8delta株は、安全性と免疫原性において各段に優れた効果が得られた。キトサンや抗酸菌蛋白Ag85Bを用いアジュバント効果を見出した。粘膜組織における、樹状細胞、NKT細胞、におけるエイズウイルスの動態を明らかにするとともに、その制御法の開発をめざした。これらの研究結果は、真の感染予防エイズワクチンの開発に寄与すると期待される。
結論
真の感染予防ワクチンの開発を目指し、新たなアプローチの導入により、プライムブースト、新規ベクター開発、免疫原デザイン、弱毒生ワクチン、アジュバント、感染防御免疫、小動物モデル、HIVの多様性、粘膜局所でおこる超早期の感染機序などの研究などを行った。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

文献情報

文献番号
200830004B
報告書区分
総合
研究課題名
HIVの感染予防に関する研究
課題番号
H18-エイズ・一般-005
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
山本 直樹(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 俣野 哲朗(東京大学 医科学研究所)
  • 志田 壽利(北海道大学 遺伝子病制御研究所)
  • 庄司 省三(熊本大学 薬学部)
  • 玉村 啓和(東京医科歯科大学 生体材料工学研究所)
  • 森 一泰(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 三浦 智行(京都大学 ウイルス研究所)
  • 保富 康宏(医薬基盤研究所  霊長類医科学研究センター)
  • 石川 晃一(国立感染症研究所 エイズ研究センター)
  • 高橋 秀実(日本医科大学 微生物学免疫学教室)
  • 網 康至(国立感染症研究所 動物管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染予防の包括的研究のための研究を精力的に行った。理想的な感染予防ワクチン開発のため、3年にわたる計画の中で、新たなアプローチを導入し、プライムブースト、新規ベクター開発、免疫原デザイン、弱毒生ワクチン、アジュバント、感染防御免疫、小動物モデル、HIVの多様性、粘膜局所でおこる超早期の感染機序などの問題に総合的に迫り、細胞性免疫と中和抗体、さらには自然免疫まで駆使した真の感染予防ワクチンの開発を目指した。
研究方法
3年間、各年11名に及ぶ多数の研究者と個別の様々なテーマをこの限られたスペースに記述することは不可能であるが、一般的なウイルス学、免疫学、分子生物学、臨床医学などの方法論を駆使した。
結果と考察
3年間の研究を通し、Sendaiワクチンは慢性エイズモデルで発症抑制効果を示すことがわかった。その実用化を目指し、IAVIと共同研究を開始した。また、液性免疫誘導のため、BCG/DIsのコンセプトを用いて連続免疫投与法によるマルチクレイドワクチンの開発を行った。さらに強い感染中和活性を有する立体構造特異的抗体を効率的に誘導するエンベロープ抗原の系統的探索を行った。またペプチド合成化学を巧みに用い、複数のワクチン候補抗原を作成した。同様のアプローチで、コレセプターの第二細胞外ループの小ループを抗原として修飾することにより、「飲むワクチンの創製」を行っている。独自のnef欠失SHIV、またはd-5Gという生ワクチンを用いて、MHC非拘束性に効果を示す感染防御について非相同性ウイルスに対する効果を検討した。ワクシニアm8delta株は、安全性と免疫原性において各段に優れた効果を示した。キトサンや抗酸菌蛋白Ag85Bを用いアジュバント効果を見出した。粘膜組織における、樹状細胞、NKT細胞、におけるエイズウイルスの動態を明らかにするとともに、その制御法の開発をめざした。これらの研究結果は、難渋を極めているエイズワクチン開発に大きな貢献をすることが期待されている。
結論
すでに発病予防効果が確認されているBCGとSendai virusベクターによるCTL誘導型のプライム・ブーストワクチン研究のさらなる推進を行った。さらに新たな免疫原のデザイン、新規ベクター開発、感染防御免疫、小動物モデル、HIVの多様性、粘膜局所でおこる超早期の感染機序などの問題に総合的に迫り、ワクチンの開発研究を行った。

公開日・更新日

公開日
2009-05-18
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200830004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
3年間にわたり、班員が協力しながら様々な観点からエイズのワクチン研究を進めた。中でも発病予防効果が確認されているBCGとSendai virusベクターによるCTL誘導型のプライム・ブーストワクチン研究のさらなる推進を行った。さらに新たな免疫原のデザイン、新規ベクター開発、感染防御免疫、小動物モデル、HIVの多様性、粘膜局所でおこる超早期の感染機序などの問題に総合的に迫り、ワクチンの開発研究を行った。これらの研究成果は、難渋を極めているエイズワクチン開発に大きな貢献をすることが期待されている。
臨床的観点からの成果
該当なし
ガイドライン等の開発
該当なし
その他行政的観点からの成果
該当なし
その他のインパクト
山本直樹
2006年10月17日:日本記者クラブ 研究会「HIV/エイズ」
 他多数

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
112件
その他論文(和文)
32件
その他論文(英文等)
13件
学会発表(国内学会)
206件
学会発表(国際学会等)
60件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計11件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Misumi S, Nakayama D, Kusaba M et al.
Effects of Immunization with CCR5-Based Cycloimmunogen on Simian/HIVSF162P3 Challenge.
J Immunol , 176 , 463-471  (2006)
原著論文2
Miyake A, Ibuki K, Enose Y et al.
Rapid dissemination of a pathogenic simian/human immunodeficiency virus to systemic organs and active replication in lymphoid tissues following intrarectal infection.
J Gen Virol , 87 , 1311-1320  (2006)
原著論文3
Kawada M, Tsukamoto T, Yamamoto H et al.
Long-term control of simian immunodeficiency virus replication with central memory CD4+ T-cell preservation after non-sterile protection by a cytotoxic T lymphocyte-based vaccine.
J Virol , 81 , 5202-5211  (2007)
原著論文4
Misumi S, Takamune N, Shoji S.
Immunoreactive cycloimmunogen design based on conformational epitopes derived from human immunodeficiency virus type 1 coreceptors: cyclic dodecapeptides mimic undecapeptidyl arches of extracellular loop-2 in chemokine receptor and .....
Endocrine, Metabolic & Immune Disorders - Drug Targets , 7 , 141-152  (2007)
原著論文5
Pereira LE, Villinger F, Onlamoon N et al.
SIV infection influences the level and function of Tregs in SIV-infected rhesus macaques but not SIV-infected sooty mangabeys.
J Virol , 81 , 4445-4456  (2007)
原著論文6
Shimizu Y, Inaba K, Kaneyasu K et al.
A genetically engineered live-attenuated simian-human immunodeficiency virus that co-expresses the RANTES gene improves the magnitude of cellular immunity in rhesus macaques.
Virology , 361 , 68-79  (2007)
原著論文7
Tanaka-Takahashi Y,Yasunami M, Naruse T et al.
Reference strand-mediated conformation analysis (RSCA)-based typing of multiple allelles in the rhesus macaque MHC class I Mamu-A and Mamu-B loci.
Electrophoresis , 28 , 918-924  (2007)
原著論文8
Nakagawa Y, Kikuchi H, Takahashi H.
Molecular analysis of TCR and peptide/MHC interaction using P18-I10-derived peptides with a single D-amino acid substitution.
Biophysical J , 92 , 2570-2582  (2007)
原著論文9
Dewan MZ, Takamatsu N, Hidaka T et al.
Critical role of TSLC1 expression in the growth and organ-infiltration of adult T-cell leukemia cells in vivo.
J Virol , 82 (23) , 11958-11963  (2008)
原著論文10
Kubo Y, Yoshii H, Kamiyama H et al.
Ezrin, Radixin, and Moesin (ERM) proteins function as pleiotropic regulators of human immunodeficiency virus type 1 infection.
Virology , 375 (1) , 130-140  (2008)
原著論文11
Saitoh Y, Yamamoto N, Dewan MZ et al.
Overexpressed NF-kappaB-inducing kinase contributes to the tumorigenesis of adult T-cell leukemia and Hodgkin Reed-Sternberg cells.
Blood , 111 (10) , 5118-5129  (2008)
原著論文12
Moriya C, Igarashi H, Takeda A et al.
Abrogation of AIDS vaccine-induced cytotoxic T lymphocyte efficacy in vivo due to a change in viral epitope flanking sequences.
Microbes Infect , 10 , 285-292  (2008)
原著論文13
Kawada M, Tsukamoto T, Yamamoto H et al.
Gag-specific cytotoxic T lymphocyte-based control of primary simian immunodeficiency virus replication in a vaccine trial.
J Virol , 82 , 10199-10206  (2008)
原著論文14
Nomura W, Tanabe Y, Tsutsumi H et al.
Fluorophore Labeling Enables Imaging and Evaluation of Specific CXCR4-Ligand Interaction at the Cell Membrane for Fluorescence-Based Screening.
Bioconjugate Chem , 19 , 1917-1920  (2008)
原著論文15
Tanaka T, Tsutsumi H, Nomura W et al.
Structure-activity Relationship Study of CXCR4 Antagonists Bearing the Cyclic Pentapeptide Scaffold: Identification of the New Pharmacophore.
Org Biomol Chem , 6 (23) , 4374-4377  (2008)
原著論文16
Sugimoto C, Nakayama EE, Shioda T et al.
Impact of glycosylation on antigenicity of simian immunodeficiency virus SIV239: induction of rapid V1/V2 specific non-neutralizing antibody and delayed neutralizing antibody following infection with an attenuated deglycosylated Mutant.
J Gen Virol , 89 , 554-566  (2008)
原著論文17
Fukazawa Y, Miyake A, Ibuki K et al.
Small intestine CD4+ T-cells are profoundly depleted during acute infection of simian-human immunodeficiency virus regardless of its pathogenicity.
J Virol , 82 , 6039-6044  (2008)
原著論文18
Wakabayashi A, Nakagawa Y, Shimizu M et al.
Suppression of Already Established Tumor Growing through Activated Mucosal CTLs Induced by Oral Administration of Tumor Antigen with Cholera Toxin.
J Immunol , 180 , 4000-4010  (2008)
原著論文19
Yoshino N, Kanekiyo M, Hagiwara Y et al.
Mucosal administration of completely non-replicative vaccinia virus recombinant Dairen I strain elicits effective mucosal and systemic immunity.
Scand J Immunol , 68 (5) , 476-483  (2008)
原著論文20
Suzuki H, Kidokoro M, Fofana IB et al.
Immunogenicity of newly constructed attenuated vaccinia strain LC16m8delta that expresses SIV Gag protein.
Vaccine  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
-