文献情報
文献番号
200829035A
報告書区分
総括
研究課題名
テロの可能性のある病原体等の早期検知・迅速診断法の開発とその評価法の確立に関わる研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H20-新興・一般-006
研究年度
平成20(2008)年度
研究代表者(所属機関)
佐多 徹太郎(国立感染症研究所 感染病理部)
研究分担者(所属機関)
- 森川 茂(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 加来 義浩(国立感染症研究所 獣医科学部)
- 高橋 英之(国立感染症研究所 細菌第一部)
- 堀野 敦子(国立感染症研究所 細菌第二部)
- 牧野 壮一(国立大学法人帯広畜産大学 大動物特殊疾病研究センター)
- 高橋 元秀(国立感染症研究所 細菌第二部)
- 安藤 秀二(国立感染症研究所 ウイルス第一部)
- 黒田 誠(国立感染症研究所 病原体ゲノム解析研究センター)
- 田中 智之(堺市衛生研究所)
- 岩本愛吉(東京大学医科学研究所 先端医療研究センター)
- 松本 哲哉(東京医科大学 微生物学講座)
- 中村 修(慶応義塾大学 環境情報学部)
- 尾家 重治(山口大学 医学部附属病院薬剤部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
90,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
バイオテロ関連病原体等の迅速診断検査、病原体分離同定法と検査ネットワークの整備と人材育成、および病原体ゲノムデータベースの作製、臨床診断支援法の構築とアップデート、そして除染法について確立することを目的とする。
研究方法
バイオテロ関連病原体等の迅速診断法を開発し、地方衛生研究所に導入する。次世代シーケンサによる超高速病原体ゲノム解読システム、未知の病原体も検出できるシステムを構築する。地研におけるバイオテロ対応能力強化と人材育成を行う。バイオテロ関連疾患の臨床診断支援法としてバイオテロ対応ホームページのアップデート、Web情報の管理方法の確立として情報公開の仕組みに関する研究開発を行う。有効な除染方法を開発する。
結果と考察
生物テロとしてウイルスが飲料水などに混入された事態を想定し、検出法、感染に与える影響、ウイルスの回収について検討した。新種あるいは新型のエボラウイルスを検出する目的で新たにリアルタイムRT-PCRを構築した。抗ニパウイルスF, G蛋白質ウサギポリクローナル抗体を用いた抗原検出capture ELISAを開発した。新規に解読を行ったR. japonicaのゲノム情報を用いて特異的標的配列を同定した。ペスト菌のF1 antigen に対するモノクローナル抗体を用いたペスト菌検出法を作成・評価した。核酸検出系および類鼻疽菌の分離培養法の検討を行った。次世代シーケンサを用いたSNPs解析法は、バイオテロに使われた炭疽菌株の由来を特定することに有効と考えられた。網羅的に検出できる細菌の遺伝子検出法および免疫学的検出法の開発研究を行った。ボツリヌス毒素の高感度迅速検出系を開発した。特定病原体取り扱いについて地衛研の現状をアンケート調査した結果、対応能力は備わっているものと判断された。生物テロに関連する疾患についてホームページを作成し、修正とアップデートをおこなってきた。CD-ROMを作成し地方衛生研究所全国協議会加入機関などに配布した。コンテンツ管理システムへの機能の追加を行った。過酢酸および次亜塩素酸ナトリウムに対する抵抗性の強さは、枯草菌、炭疽菌の順であった。
結論
バイオテロ関連病原体等の迅速検出法の開発については順調に進んだ。とくに次世代シーケンサを用いた解析により病原体の由来調査ができる可能性がでてきた。地研が対応したいわゆる「白い粉事件」の経験を今後にも生かせるように集約した。
公開日・更新日
公開日
2010-01-12
更新日
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